せんにゅう‐かん〔センニフクワン〕【先入観】例文一覧 14件

  1. ・・・ 以上の所説は、一見はなはだしく詭弁をろうしたもののように見えるかもしれないが、もし、しばらく従来の先入観をおいて虚心に省察をめぐらすだけの閑暇を享有する読者であらば、この中におのずから多少の真の半面を含むことを承認されるであろうと信ず・・・<寺田寅彦「科学と文学」青空文庫>
  2. ・・・補助的なものという先入観で見られつつ現実にはその収入で一家を支えてゆかなければならない世帯主であるところに、異常な苦しみを負わされているのである。 銃後の力としての女の労働力は、決して貴方が七分、私が三分的な和気あいあい的なものではない・・・<宮本百合子「新しい婦人の職場と任務」青空文庫>
  3. ・・・ わたしたちは、こんにちこそ、国際的な先入観や偏見から自由に解き放されなければならないときだと思う。同時に、自国の権力が与えるめかくしも、拒絶すべき時期だと思う。偏見のない人民こそは、最もあざむきにくい民である。 第九巻には、主とし・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第八巻)」青空文庫>
  4. ・・・人間の社会の歴史のある発達の段階では、アインシュタインのような卓絶した頭脳の人でも、やっぱり男としては女を見る従来のある先入観からまったく自由になりきっていなかったということを、二百年後の若いものたちはどんな微笑で回顧するだろうか。〔一九四・・・<宮本百合子「科学の常識のため」青空文庫>
  5. ・・・日本の作家のおくれている状態は市民精神に於ておくれたまま、文学は神聖な超俗的な仕事であるという先入観に絡みとられている無力さに現われているとも考えられる。軍事的専制と営利出版との共同圧力で、真の文化は潰された。 その営利出版は、今なお残・・・<宮本百合子「作家への新風」青空文庫>
  6. ・・・図書館へは学生のうちだけゆくものという先入観が変えられるように、国民の書棚として活きた機能をもつようになったらいいと思う。 その為には、せめて東京には医学、文学、美術、科学等の専門図書館が欲しいと思う。美術学校に公開の美術図書館があり、・・・<宮本百合子「実際に役立つ国民の書棚として図書館の改良」青空文庫>
  7. ・・・ 形式の上の小ささから、短篇が心境的な要素に立たなければならないという先入観は誤りで、例えばチェホフの短篇にしろ、短篇が普遍的なる世界をもち得ることは明かである。私小説に出戻るというのではなく、社会生活に対する興味と関心と、そのような社・・・<宮本百合子「昭和の十四年間」青空文庫>
  8. ・・・ 女性の働くあらゆる場面を通じて、どうせ若い女の働くのは二三年という観念がじつにつよい先入観となっている。どうせ二三年なのだから、と粗悪な条件のまま交代させているのだけれど、先頃婦人工場監督官谷野せつ氏が公表された統計では、働く女性たち・・・<宮本百合子「女性の現実」青空文庫>
  9. ・・・いるパラシュート操作のようなことでも、優しく若い女性たちによって無事に敢行されると、そのことで人々は危険が案外少いことや自分たちの日常に親しめることのように感じるのは、女性の優しさに対して抱かれている先入観の実に面白い微妙な逆作用だと思う。・・・<宮本百合子「空に咲く花」青空文庫>
  10. ・・・一九三二年の後半期から三三年にかけて日本のプロレタリア文化運動が著しく政治的偏向をもったということが今でも一つの先入観になっており或は偏見となっている。そしてこれがプロレタリア文学運動誹謗の種子とされているけれども、この日本風な現象につ・・・<宮本百合子「年譜」青空文庫>
  11. ・・・それを歴史の背景の前に描こうとする時、主観の中にとじこもり、或は一般的に暖いもの、妥協的なもの、話し合いで分るものという先入観で感じられている人情のほの明りの中に溺れては、その中での歌はうたえても、現実を力強く彫り上げることは不可能であろう・・・<宮本百合子「パァル・バックの作風その他」青空文庫>
  12. ・・・の場合、作品の世界の中で関係しあっている人物たちが、我知らずその精神、生活態度のうちにもち運んで来ている小市民的な先入観、世俗性のもつれであった。「妻の座」は、この作家について論じるとき無視することのできない特殊な一作となった。 かつて・・・<宮本百合子「婦人作家」青空文庫>
  13. ・・・しかし、生きている生活の姿は、一つの先入観となっている目的を達するために歪められて、あるままの条件、そのうちにこそ国民の多数が生きているその条件を、無視してしまっている。そのような悲しき滑稽というべき婦人の非論理性はどこから忍びこむかといえ・・・<宮本百合子「婦人の文化的な創造力」青空文庫>
  14. ・・・という問題に対して、わたしたちは新しい真実の解答を見いだし、民主主義文学理論が創作の溢れだす力を阻むというような誤った先入観をうち破らなければいけない。作品を書こうとするものを、また旧い小説のかんやこつに追いこんではならない。そういうまちが・・・<宮本百合子「両輪」青空文庫>