そう‐かつ〔‐クワツ〕【総括/×綜括】例文一覧 30件

  1. ・・・       三 『八犬伝』総括評 だが、有体に平たくいうと、初めから二十八年と予定して稿を起したのではない。読者の限りない人気に引き摺られて次第に延長したので、アレほど厖大な案を立てたのでないのはその巻数の分け方を見ても明・・・<内田魯庵「八犬伝談余」青空文庫>
  2. 一 私は今ここに自分の最近両三年にわたった芸術論を総括し、思想に一段落をつけようとするにあたって、これに人生観論を裏づけする必要を感じた。 けれども人生観論とは畢竟何であろう。人生の中枢意義は言うまでもなく実行である。人生観・・・<島村抱月「序に代えて人生観上の自然主義を論ず」青空文庫>
  3. ・・・とかいう主題によって全体が総括されている。しかしそれほど簡単でないものもある。「アンダルーシアの犬」と称する非現実映画になるともはやそういう明白な主題はない。そのモンタージュは純然たる夢の編成法であり、しかもかなりによく夢の特性をつかんでい・・・<寺田寅彦「映画芸術」青空文庫>
  4. ・・・これらの場合を総括するに、いずれもかつてポアンカレーの述べしごとく「原因の微分的変化が結果の有限変化を生ずる場合」に当るを見る。自然現象予報の可能程度を論ずる際に忘るべからざる標準の一つはここに係る。後に更に実地問題につきて述ぶる事とせん。・・・<寺田寅彦「自然現象の予報」青空文庫>
  5.      はしがき これからしばらく続けて筆を執ろうとする随筆断片の一集団に前もって総括的な題をつけようとすると存外むつかしい。書いてゆくうちに何を書くことになるかもわからないのに、もし初めに下手な題をつけておく・・・<寺田寅彦「自由画稿」青空文庫>
  6. ・・・ 我邦では岡田博士に従って凍雨の名称の下に総括されているものの中にも種々の差別があって、その中には透明な小さい氷球や、ガラスの截片のような不規則な多角形をしたものや、円錐形や円柱形をしたものもある。氷球は全部透明なものもあるが内部に不透・・・<寺田寅彦「凍雨と雨氷」青空文庫>
  7. ・・・しかし、ここでは、それらの地方的特性を総括しまた要約した「一般的日本人」の「要約した日本」の自然観を考察せよというのが私に与えられた問題であろうと思われる。そうだとすると問題は決してそう容易でないことがわかるのである。 われわれは通例便・・・<寺田寅彦「日本人の自然観」青空文庫>
  8. ・・・ 物理の理の字は正にかくのごとき総括を意味するとも云える。直接五感に触れる万象をことごとく偶然と考えないとすれば、経験が蓄積するにつれて概括抽象が行われ箇々の方則を生じ、これらの方則が蓄積すれば更に一段上層の概括が起る。そうなればもはや・・・<寺田寅彦「物質とエネルギー」青空文庫>
  9.  科学の方則は物質界における複雑な事象の中に認められる普遍的な連絡を簡単な言葉で総括したものである。事実の言い表わしであって権利も義務も訓戒も含まれていない。しかし今ここで方則の定義や法律と方則との区別などを喋々しようとは思・・・<寺田寅彦「方則について」青空文庫>
  10. ・・・以上を総括して今後の日本人にはどう云う資格が最も望ましいかと判じてみると、実現のできる程度の理想を懐いて、ここに未来の隣人同胞との調和を求め、また従来の弱点を寛容する同情心を持して現在の個人に対する接触面の融合剤とするような心掛――これが大・・・<夏目漱石「文芸と道徳」青空文庫>
  11. ・・・ ここいらで前段に述べた事を総括しておいて、それから先へ進行しようと思います。吾々は生きたいと云う念々に支配せられております。意識の方から云うと、意識には連続的傾向がある。この傾向が選択を生ずる。選択が理想を孕む。次にこの理想を実現して・・・<夏目漱石「文芸の哲学的基礎」青空文庫>
  12. ・・・金銀の出納は毎区の年寄にてこれを司り、その総括をなす者は総年寄にて、一切官員のかかわるところにあらず。 前条の如く、毎半年各戸に一歩の金を出ださしむるは官の命なれども、この金を用るにいたりては、その権まったく年寄の手にあり。この法はウェ・・・<福沢諭吉「京都学校の記」青空文庫>
  13. ・・・は「非常時」という言葉が用いられはじめて、プロレタリア文学運動の組織が破壊されたのちの日本の文化・文学が見出したものは、全面的な混迷と貧血とであった。「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」は総括的にこの時期を展望している。プロレタリア・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)」青空文庫>
  14. ・・・活々した階級的人間的生活の種々雑多の具象性に対し最も感受性が鋭く、個々の具象性の分析、綜合から客観的現実への総括を、あるいはその逆の作用をみずみずしく営み得るはずのプロレタリア作家ともあるものが、自分のしゃべる言葉に対する大衆的反応を刻々感・・・<宮本百合子「一連の非プロレタリア的作品」青空文庫>
  15. ・・・ 外国生活の間には、誰しも自分の生れた国をさまざまの面から深くながめ、理解するものであるが、この場合には面白いことに、日本というものが総括的につかまれて、世界のただ中でそれが感じられるのであるから、その気持も、またいわゆる故郷をおもう気・・・<宮本百合子「故郷の話」青空文庫>
  16. ・・・これは尋常科高等科卒業と高等一年修了の児童たちを総括しての数である。 八年制はつまり現在の高等二年修了と同じになるのだろうから、日本の民衆の一般の智能の水準は、それに準じて向上されるという期待が持たれていいのだろう。国土の面積に比べて日・・・<宮本百合子「国民学校への過程」青空文庫>
  17. ・・・前半におけるモスクワと伸子との相互関係は、伸子がまだそこにある社会生活を総括して政治的なその根元からつかめず、次々に接触する事物からの感銘や批判を摂取して目に見えず内面変革にすすんでゆく、その段階においてとらえられているのである。拙劣に扱わ・・・<宮本百合子「心に疼く欲求がある」青空文庫>
  18. ・・・ 日々の生活感情がそのようだし、十二月号の雑誌をいくつか見ると、従来なら吉例的にたとえ外面からのことは承知でも何か一年の総括めいた空気を盛っていたものが、今年の十二月号には、あらゆる面で、ものごとの渾沌としたはじまりの動きばかりが強く反・・・<宮本百合子「今日の文学の諸相」青空文庫>
  19. ・・・そして、これは決して、文学の専門的な何かを前提とするものではなくて、作家と作品の間にある血液循環、細胞関係の必然の結果であり、人間的な総括的な直感である。この事実は日頃あらゆる人々の経験しているところであると思う。 かの子さんの小説は、・・・<宮本百合子「作品の血脈」青空文庫>
  20. ・・・というものは、だんだん贅沢になるから、小説だって、もっと贅沢になればいいんでしょう。それだけのことでしょう」と総括して、その上での批評が果して現代文学の貧困を救う何事かであり得るだろうか。「そうじゃない」と同席の本多秋五が反駁して発言してい・・・<宮本百合子「「下じき」の問題」青空文庫>
  21. ・・・第六門に叢書、類書等を総括している。漢書之部も、第一門が四書、五経や孝経、儒家、諸子、西教等を包括している。 今日の図書館員の目から見れば、此那大ざっぱな、まとまりのない目録は稚拙の極で、小規模の箇人蒐集をまとめる役にも立たないように思・・・<宮本百合子「蠹魚」青空文庫>
  22. ・・・そのほかいくつかの小説をこの数日の間に読んだのであるが、結局私の心にはその一作一作についての感想を語る興味が生ぜず、むしろ総括的な一つの疑問がのこされた。何故なら、以上の諸作品が、それぞれの作家にとって自信あるものでないことは誰の読後感にお・・・<宮本百合子「十月の文芸時評」青空文庫>
  23. ・・・そして、そのような可能は、作品の水平動と作家の上下動との個々に目をうばわれず、それを総括して現代文学史の一頁によみとろうとする努力にもかかっていると思う。〔一九四〇年十二月〕<宮本百合子「昭和十五年度の文学様相」青空文庫>
  24. ・・・けれども、学生は、と総括して、まるで平常は本をよみさえしないように云われた時、何か若い胸に湧き立つ思いを感じる青年たちの数は、下らない者よりは多いのが現実であるし、つまりはそれが学生の純真な精神の発露であると思える。〔一九四一年四月〕・・・<宮本百合子「「健やかさ」とは」青空文庫>
  25. ・・・その意味で、民主国では、この社会的な課題は、男女をこめて、明日のより条理そなわった社会建設に志す人々にとって、提出されている総括的な課題の一部分として扱われているのである。なぜなら、健康人の社会生活が安定であって、はじめて、病人の生活も保証・・・<宮本百合子「世界の寡婦」青空文庫>
  26. ・・・婦人作家たちの共通性である芸術至上の傾向によるものであるとされ、それは、男の作家がこの二三年の世相の推移につれ、その社会性の積極さの故に陥った混乱に対置して、結局は婦人作家の社会性の欠如の故と否定的に総括されていた。けれども、果してそれだけ・・・<宮本百合子「地の塩文学の塩」青空文庫>
  27. ・・・という言葉で総括されている一つの道徳的標準と照らし合わされ、引きくらべられて、各自の価値をつけられる。 その価値は、即ち彼女の思っている「立派な人」の一分子として取り入れらるべきものであるか拒絶されるべきものであるかということなのである・・・<宮本百合子「地は饒なり」青空文庫>
  28. ・・・のの独自性で作品の現実関係の中に立ち現れて来て、そこに錯綜した交渉を生じ、発展させてゆくような性質ではなく、情景も人物も、そのものとして色濃いながらいかにもそれはゴーリキイ風なと特徴づけられる種類の、総括的雰囲気にくるまれたものである。ゴー・・・<宮本百合子「長篇作家としてのマクシム・ゴーリキイ」青空文庫>
  29.  この事は、私によくわかりません。普通云うような総括的な標準によれば、最も女性として成熟の頂点に達した二十二、三歳以後、三十四、五歳の間とでも云うのでしょうが、私として、そう定めてかかれるものとも思えません。種々な性格、境遇・・・<宮本百合子「四十代の主婦に美しい人は少い」青空文庫>
  30. ・・・ 人間性という言葉は文学の上で、とかくあらましな総括でつかわれるならわしだが、その人間性の具体の姿は、それぞれの植物がもっているような特質とその特質における共通性をももっているわけで、人間性もその発露は、自然主義が本能に帰結させたより遙・・・<宮本百合子「リアルな方法とは」青空文庫>