そう‐きゅう〔サウ‐〕【××穹】例文一覧 6件

  1. ・・・ 雲は低く灰汁を漲らして、蒼穹の奥、黒く流るる処、げに直顕せる飛行機の、一万里の荒海、八千里の曠野の五月闇を、一閃し、掠め去って、飛ぶに似て、似ぬものよ。ひょう、ひょう。    かあ、かあ。 北をさすを、北から吹・・・<泉鏡花「貝の穴に河童の居る事」青空文庫>
  2. ・・・ 雛の微笑さえ、蒼穹に、目に浮んだ。金剛神の大草鞋は、宙を踏んで、渠を坂道へ橇り落した。 清水の向畠のくずれ土手へ、萎々となって腰を支いた。前刻の婦は、勿論の事、もう居ない。が、まだいくらほどの時も経たぬと見えて、人の来て汲むものも・・・<泉鏡花「夫人利生記」青空文庫>
  3. ・・・が、水が蒼穹に高い処に光っている。近い山も、町の中央の城と向合った正面とは違い、場末のこの辺は、麓の迫る裾になり、遠山は波濤のごとく累っても、奥は時雨の濃い雲の、次第に霧に薄くなって、眉は迫った、すすき尾花の山の端は、巨きな猪の横に寝た態に・・・<泉鏡花「古狢」青空文庫>
  4. ・・・ あのように純一な、こだわらず、蒼穹にもとどく程の全国民の歓喜と感謝の声を聞く事は、これからは、なかなかむずかしいだろうと思われる。願わくは、いま一度。誰に言われずとも、しばらくは、辛抱せずばなるまい。・・・<太宰治「一燈」青空文庫>
  5. ・・・肩を張って蒼穹を仰いでいる。傷一つ受けていない。無染である。その人に、太宰という下手くそな作家の、醜怪に嗄れた呟きが、いったい聞えるものかどうか。私の困惑は、ここに在る。 私は今まで、なんのいい小説も書いていない。すべて人真似である。学・・・<太宰治「困惑の弁」青空文庫>
  6. ・・・ 深い紺碧をたたえてとうとうとはて知らず流れ行く其の潮は、水底の数知れぬ小石の群を打ちくだき、岩を噛み、高く低く波打つ胸に、何処からともなく流れ入った水沫をただよわせて、蒼穹の彼方へと流れ去る。 此の潮流を人間は、箇人主義又は利己主・・・<宮本百合子「大いなるもの」青空文庫>