そう‐じ〔サウヂ〕【掃除】例文一覧 33件

  1. ・・・もっともそれが嬉しかったのは、犬が粗そそうをするたびに、掃除をしなければならなかった私ばかりじゃありません。旦那様もその事を御聞きになると、厄介払いをしたと云うように、にやにや笑って御出でになりました。犬ですか? 犬は何でも、御新造はもとよ・・・<芥川竜之介「奇怪な再会」青空文庫>
  2. ・・・戸部は画箱の掃除をはじめる。とも子 では始めてよ。……花田さん、あなたは才覚があって画がお上手だから、いまにりっぱな画の会を作って、その会長さんにでもおなりなさるわ。お嫁にしてもらいたいって、学問のできる美しい方が掃いて捨てるほど集・・・<有島武郎「ドモ又の死」青空文庫>
  3. ・・・――清水谷の奥まで掃除が届く。――梅雨の頃は、闇黒に月の影がさしたほど、あっちこっちに目に着いた紫陽花も、この二、三年こっちもう少い。――荷車のあとには芽ぐんでも、自動車の轍の下には生えまいから、いまは車前草さえ直ぐには見ようたって間に合わ・・・<泉鏡花「二、三羽――十二、三羽」青空文庫>
  4. ・・・なくなられたその日までも庭の掃除はしたという老父がいなくなってまだ十月にもならないのに、もうこのとおり家のまわりが汚なくなったかしらなどと、考えながら、予も庭へまわる。「まあ出しぬけに、どこかへでも来たのかい。まあどうしようか、すま・・・<伊藤左千夫「紅黄録」青空文庫>
  5. ・・・敷石の道やら、瓢箪なりの――この形は、西洋人なら、何かに似ていると言って、婦人の前には口にさえ出さぬという――池やら、低い松や柳の枝ぶりを造って刈り込んであるのやら例の箱庭式はこせついて厭なものだが、掃除のよく行き届いていたのは、これも気持・・・<岩野泡鳴「耽溺」青空文庫>
  6. ・・・煙草が好きで、いつでも煙管の羅宇の破れたのに紙を巻いてジウジウ吸っていたが、いよいよ烟脂が溜って吸口まで滲み出して来ると、締めてるメレンスの帯を引裂いて掃除するのが癖で、段々引裂かれて半分近くまでも斜に削掛のように総が下ってる帯を平気で締め・・・<内田魯庵「二葉亭余談」青空文庫>
  7. ・・・と、小使らしい半纒着の男が二人、如露と箒とで片端から掃除を始める。私の傍の青い顔の男もいつの間にかいなくなった。ガランとした広い会所の窓ガラスには、赤い夕日がキラキラ輝いたが、その光の届かぬ所はもう薄暗い。 私はまた当もなくそこを出た。・・・<小栗風葉「世間師」青空文庫>
  8. ・・・そして、戸を明け、掃除をするのですが、この掃除がむずかしい。縄屑やゴミは燃料になるので、土がまじらぬように、そっと掃かないと叱られる。旦那は藁一筋のことにでも目の変るような人だった。掃除が終っても、すぐごはんにならず、使いに走らされる。朝ご・・・<織田作之助「アド・バルーン」青空文庫>
  9.      一 掃除をしたり、お菜を煮たり、糠味噌を出したりして、子供等に晩飯を済まさせ、彼はようやく西日の引いた縁側近くへお膳を据えて、淋しい気持で晩酌の盃を嘗めていた。すると御免とも云わずに表の格子戸をそうっと開け・・・<葛西善蔵「子をつれて」青空文庫>
  10. ・・・     三 堯は掃除をすました部屋の窓を明け放ち、籐の寝椅子に休んでいた。と、ジュッジュッという啼き声がしてかなむぐらの垣の蔭に笹鳴きの鶯が見え隠れするのが見えた。 ジュッ、ジュッ、堯は鎌首をもたげて、口でその啼き声を・・・<梶井基次郎「冬の日」青空文庫>
  11. ・・・不憫なりとは語りあえど、まじめに引取りて末永く育てんというものなく、時には庭先の掃除など命じ人らしく扱うものありしかど、永くは続かず。初めは童母を慕いて泣きぬ、人人物与えて慰めたり。童は母を思わずなりぬ、人人の慈悲は童をして母を忘れしめたる・・・<国木田独歩「源おじ」青空文庫>
  12. ・・・荷車で餌を買いに行ったり、小屋の掃除をしたり、交尾期が来ると、掛け合わして仔豚を作ることを考えたり、毎日、そんなことで日を暮した。おかげで彼の身体にまで豚の臭いがしみこんだ。風呂でいくら洗っても、その変な臭気は皮膚から抜けきらなかった。・・・<黒島伝治「豚群」青空文庫>
  13. ・・・家の中の方が学校よりも都て厳格で、山本町に居る間は土蔵位はあったでしたが下女などは置いて無かったのに、家中揃いも揃って奇麗好きであったから晩方になると我日課の外に拭掃除を毎日々々させられました。これに就いて可笑しい話は、柄が三尺もある大きい・・・<幸田露伴「少年時代」青空文庫>
  14. ・・・新しい水を貰って、使った水を捨てゝもらい、便器を廊下に出して掃除をしてもらう。 それが済むと、後は自由な時間になる。小さい固い机の上で本を読む。壁に「ラジオ体操」の図解が貼りつけてあるので、体操も出来る。 独房の入口の左上に、簡単な・・・<小林多喜二「独房」青空文庫>
  15. ・・・「冬でも暗いうちから起きて、自分の部屋を掃除するやら、障子をばたばた言わせるやら。そんなに早く起きられては若いものが堪らんなんて、よく家の人に言われる。わたしは隣りの部屋でも、知らん顔をして寝ているわいなし――ええええ、知らん顔をして」・・・<島崎藤村「ある女の生涯」青空文庫>
  16. ・・・しかし抽斗は今朝初やに掃除をさせて、行李から出した物を自分で納めたのである。袖はそれより後に誰かが入れたものだ。そしてこの袖は藤さんのに相違はない。小母さんや初やや、そんな二三十年前の若い女に今ごろこんな花やかな物があるはずがない。はたして・・・<鈴木三重吉「千鳥」青空文庫>
  17. ・・・ご亭主さんはいなくて、おかみさんひとり、お店の掃除をしていました。おかみさんと顔が合ったとたんに私は、自分でも思いがけなかった嘘をすらすらと言いました。「あの、おばさん、お金は私が綺麗におかえし出来そうですの。今晩か、でなければ、あした・・・<太宰治「ヴィヨンの妻」青空文庫>
  18. ・・・「町の掃除人が持って参ったのでございます。その男の妻が拾ったそうでございます。四十ペンニヒ頂戴いたしたいと申しておりました。」「そんなら出しておいてくれい。あとで一しょに勘定して貰うから。」 襟は丁寧に包んで、紐でしっかり縛って・・・<著:ディモフオシップ 訳:森鴎外「襟」青空文庫>
  19. ・・・  宿へ帰ったら女中の八重が室の掃除をしていた。「熊公の御家はつぶれて仕舞ったよ」と云ったら、寝衣を畳みながら「マア可哀相にあの人も御かみさんの居た頃はあんなでもなかったんですけれど」と何か身につまされでもしたようにしみじみと云った。自・・・<寺田寅彦「嵐」青空文庫>
  20. ・・・ 道太は掃除の邪魔をしないように、やがて裏梯子をおりて、また茶の室の方へ出てきた。ちょうどおひろが高脚のお膳を出して、一人で御飯を食べているところで、これでよく生命が続くと思うほど、一と嘗めほどのお菜に茄子の漬物などで、しょんぼり食べて・・・<徳田秋声「挿話」青空文庫>
  21. ・・・「ハーイ、わしがおふくろは専売局の便所掃除でござります。どうせ身分がちごうけん、考えもちがいましょうたい」 高わらいしながら、そのくせポロポロ涙をこぼしている小野をみると、学生たちも黙ってしまう。それで、そのつぎにくる瞬間をおそれて・・・<徳永直「白い道」青空文庫>
  22. ・・・「寒くなってから火鉢の掃除する奴があるか。気のきかん者ばかり居る。」と或朝、父の小言が、一家中に響き渡った。 がたんがたんと、戸、障子、欄間の張紙が動く。縁先の植込みに、淋しい風の音が、水でも打ちあけるように、突然聞えて突然に断える・・・<永井荷風「狐」青空文庫>
  23. ・・・西洋には爪を綺麗に掃除したり恰好をよくするという商売があります。近頃日本でも美顔術といって顔の垢を吸出して見たり、クリームを塗抹して見たりいろいろの化粧をしてくれる専門家が出て来ましたが、ああいう商売はおそらく昔はないのでしょう。今日のよう・・・<夏目漱石「道楽と職業」青空文庫>
  24. ・・・街路は清潔に掃除されて、鋪石がしっとりと露に濡れていた。どの商店も小綺麗にさっぱりして、磨いた硝子の飾窓には、様々の珍しい商品が並んでいた。珈琲店の軒には花樹が茂り、町に日蔭のある情趣を添えていた。四つ辻の赤いポストも美しく、煙草屋の店にい・・・<萩原朔太郎「猫町」青空文庫>
  25. ・・・ 彼は鼻の穴を気にしながら遂々十一時間、――その間に昼飯と三時休みと二度だけ休みがあったんだが、昼の時は腹の空いてる為めに、も一つはミキサーを掃除していて暇がなかったため、遂々鼻にまで手が届かなかった――の間、鼻を掃除しなかった。彼の鼻・・・<葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」青空文庫>
  26. ・・・その間にお掃除をして、じきにお酒にするようにしておきますよ。花魁、お連れ申して下さい。はい」と、お熊は善吉の前に楊枝箱を出した。 善吉は吉原楊枝の房をむしッては火鉢の火にくべている。「お誂えは何を通しましょうね。早朝んですから、何も・・・<広津柳浪「今戸心中」青空文庫>
  27. ・・・金穀の会計より掃除・取次にいたるまで、生徒、読書のかたわらにこれを勤め、教授の権も出納の権も、読書社中の一手にこれをとるがゆえに、社中おのおの自家の思をなし、おのおの自からその裨益を謀て、会計に心を用うること深切なり。その得、二なり。一・・・<福沢諭吉「学校の説」青空文庫>
  28. ・・・入口から這入る所は狭いベトンの道になっていて、それが綺麗に掃除してある。奥の正面に引っ込んだ住いがある。別荘造りのような構えで、真ん中に広い階段があって、右の隅に寄せて勝手口の梯が設けてある。家番に問えば、目指す家は奥の住いだと云った。・・・<著:プレヴォーマルセル 訳:森鴎外「田舎」青空文庫>
  29. ・・・それから四年生と六年生の人は、先生といっしょに教室のお掃除をしましょう。ではここまで。」 一郎が気をつけ、と言いみんなは一ぺんに立ちました。うしろの大人も扇を下にさげて立ちました。「礼。」先生もみんなも礼をしました。うしろの大人も軽・・・<宮沢賢治「風の又三郎」青空文庫>
  30. ・・・ その次の日から、一つ寝返りをうつにも若い男のゆったりした腕が、栄蔵の体の下へ入れられ、部屋の掃除などと云うと、布団ごと隣の部屋へ引きずって行く位の事は楽々された。 お節はこの力強い手代りをいかほどよろこんだか知れない。「ほ・・・<宮本百合子「栄蔵の死」青空文庫>