そう‐じょう〔サウ‐〕【相乗】例文一覧 9件

  1. ・・・私が再び頷きながら、この築地居留地の図は、独り銅版画として興味があるばかりでなく、牡丹に唐獅子の絵を描いた相乗の人力車や、硝子取りの芸者の写真が開化を誇り合った時代を思い出させるので、一層懐しみがあると云った。子爵はやはり微笑を浮べながら、・・・<芥川竜之介「開化の良人」青空文庫>
  2. 「やあ、しばらく。」 記者が掛けた声に、思わず力が入って、運転手がはたと自動車を留めた。……実は相乗して席を並べた、修善寺の旅館の主人の談話を、ふと遮った調子がはずんで高かったためである。「いや、構わず……どうぞ。」・・・<泉鏡花「半島一奇抄」青空文庫>
  3. ・・・(がぶりと呑んで掌別して今日は御命日だ――弘法様が速に金ぴかものの自動車へ、相乗にお引取り下されますてね。万屋 弘法様がお引取り下さるなら世話はないがね、村役場のお手数になっては大変だ。ほどにしておきなさいよ。(店の内に入人形使 (・・・<泉鏡花「山吹」青空文庫>
  4. ・・・すなわち異なる因子の相乗積が参加する場合がそうなのである。それだのに世の中ではそういう、科学者には明白な可能性を無視した考え方が普通に行なわれ、そういう考え方をもとにして書いた小説などもしばしばあるのである。 ともかくも人間の物を考える・・・<寺田寅彦「科学と文学」青空文庫>
  5. ・・・もしもその時間が決定され、そしてその人が電車で来たものと仮定すれば、その時間と電車速度の相乗積に等しい半径で地図上に円を描き、その上にある樹林を物色することが出来る。しかし実際はそう簡単には行かない。 しかしこの玉虫の一例は、われわれが・・・<寺田寅彦「さまよえるユダヤ人の手記より」青空文庫>
  6. ・・・従って先ず新星が現われて、それからわれわれがそれを発見するという確率は、二つの小さな分数の相乗積であるから、つまりごく小さいもののまだ小さい分数に過ぎない。これに反して毎晩欠かさず空の見張りをしている専門家にとっては、「偶然」はむしろ主に星・・・<寺田寅彦「小さな出来事」青空文庫>
  7. ・・・ 個々の乗客が全く偶然的に一つの停留所に到着したときに、ある特別な間隔に遭遇するという確率は、あらゆる種類の間隔時間とその回数との相乗積の総和に対するその特別な間隔の回数と時間との積の比で与えられる。そこでたとえば前の例について言えば二・・・<寺田寅彦「電車の混雑について」青空文庫>
  8. ・・・その仕事は力と距離の相乗積で計る。これが現在力学の中の重要な Begriff の一つである。これはしかし力のごとき人間感覚に直接の交渉を有せぬ量であって、自然現象を整理するに便宜な尺度の一つと考えなければなるまい。仕事の考えが定まればエネル・・・<寺田寅彦「物質とエネルギー」青空文庫>
  9. ・・・それで今のような、社会民政党の跋扈している時代になっても、ウィルヘルム第二世は護衛兵も連れずに、侍従武官と自動車に相乗をして、ぷっぷと喇叭を吹かせてベルリン中を駈け歩いて、出し抜に展覧会を見物しに行ったり、店へ買物をしに行ったりすることが出・・・<森鴎外「かのように」青空文庫>