そう‐だん〔サウ‐〕【相談】例文一覧 37件

  1. ・・・だからもっと卑近な場合にしても、実生活上の問題を相談すると、誰よりも菊池がこっちの身になって、いろ/\考をまとめてくれる。このこっちの身になると云う事が、我々――殊に自分には真似が出来ない。いや、実を云うと、自分の問題でもこっちの身になって・・・<芥川竜之介「兄貴のような心持」青空文庫>
  2. ・・・「そうですか、それではやむを得ないが、では御相談のほうは今までのお話どおりでよいのですな」「御念には及びません。よいようにお取り計らいくださればそれでもう結構でございます」 矢部はこのうえ口をきくのもいやだという風で挨拶一つする・・・<有島武郎「親子」青空文庫>
  3. ・・・夜が明けても、的はないのに、夜中一時二時までも、友達の許へ、苦い時の相談の手紙なんか書きながら、わきで寝返りなさるから、阿母さん、蚊が居ますかって聞くんです。 自分の手にゃ五ツ六ツたかっているのに。」 主人は火鉢にかざしながら、・・・<泉鏡花「女客」青空文庫>
  4. ・・・「あなたのご承知のとおりで、里へ帰ってもだれとて相談相手になる人はなし、母に話したところで、ただ年寄りに心配させるばかりだし、あなたがおいでになったからこのごろ少し家にいますが、つねは一晩でも早くやすむようなことはないのですよ。親類の人・・・<伊藤左千夫「紅黄録」青空文庫>
  5. ・・・親からは近々当地へ来るから、その時よく相談するという返事が来たと、吉弥が話した。僕一個では、また、ある友人の劇場に関係があるのに手紙を出し、こうこういう女があって、こうこうだと、その欠点と長所とを誇張しないつもりで一考を求め、遊びがてら見に・・・<岩野泡鳴「耽溺」青空文庫>
  6. ・・・というは馬喰町の郡代屋敷へ訴訟に上る地方人の告訴状の代書もすれば相談対手にもなる、走り使いもすれば下駄も洗う、逗留客の屋外囲の用事は何でも引受ける重宝人であった。その頃訴訟のため度々上府した幸手の大百姓があって、或年財布を忘れて帰国したのを・・・<内田魯庵「淡島椿岳」青空文庫>
  7. ・・・自分の技倆に信用を置いて相談に乗ったのだと云う風で、落ち着いてゆっくり発射した。弾丸は女房の立っている側の白樺の幹をかすって力がなくなって地に落ちて、どこか草の間に隠れた。 その次に女房が打ったが、やはり中らなかった。 それから二人・・・<著:オイレンベルクヘルベルト 訳:森鴎外「女の決闘」青空文庫>
  8. ・・・きっと神さまが、私たち夫婦に子供のないのを知って、お授けになったのだから、帰っておじいさんと相談をして育てましょう。」と、おばあさんは心の中でいって、赤ん坊を取り上げながら、「おお、かわいそうに、かわいそうに。」といって、家へ抱いて帰り・・・<小川未明「赤いろうそくと人魚」青空文庫>
  9. ・・・ところが、あの年は馬鹿にまた猟がなくて、これじゃとてもしようがないからというので、船長始め皆が相談の上、一番度胸を据えて露西亜の方へ密猟と出かけたんだ。すると、運の悪い時は悪いもので、コマンドルスキーというとこでバッタリ出合したのが向うの軍・・・<小栗風葉「深川女房」青空文庫>
  10. ・・・帰って秋山さん――例の男は秋山といいました――に相談すると、賛成してくれましたので、私は秋山さんと別れて、車の先引きになりました。 亀やんは毎朝北田辺から手ぶらで出てきて河堀口の米屋に預けてある空の荷車を受けとると、それを引っぱって近く・・・<織田作之助「アド・バルーン」青空文庫>
  11. ・・・Yの父が死んだ時、友人同士が各自に一円ずつの香奠を送るというのも面倒だから、連名にして送ろうではないかという相談になってその時Kが「小田も入れといてやろうじゃないか、斯ういう場合なんだからね、小田も可愛相だよ」斯う云って、彼の名をも書き加え・・・<葛西善蔵「子をつれて」青空文庫>
  12. ・・・と言いますので、医師に相談しますと、医師はこの病気は心臓と腎臓の間、即ち循環故障であって、いくら呑んでも尿には成らず浮腫になるばかりだから、一日に三合より四合以上呑んではよくないから、水薬の中へ利尿剤を調合して置こうと言って、尿の検査を二回・・・<梶井久「臨終まで」青空文庫>
  13. ・・・そして来年の一月から同人雑誌を出すこと、その費用と原稿を月々貯めてゆくことに相談が定ったのです。私がAの家へ行ったのはその積立金を持ってゆくためでした。 最近Aは家との間に或る悶着を起していました。それは結婚問題なのです。Aが自分の欲し・・・<梶井基次郎「橡の花」青空文庫>
  14. ・・・たものには、早速払い下げを許可するが、そうでないものをば一斉に書面を却下することとし、また相当の条件を具えた書面が幾通もあるときは、第一着の願書を採用するという都合らしく、よっては今夜早速に、それらの相談を極めておき、いよいよ今度の閣令が官・・・<川上眉山「書記官」青空文庫>
  15. ・・・をたどりしやも知れねど吉次がこのごろの胸はそれどころにあらず、軍夫となりてかの地に渡り一かせぎ大きくもうけて帰り、同じ油を売るならば資本をおろして一構えの店を出したき心願、少し偏屈な男ゆえかかる場合に相談相手とするほどの友だちもなく、打ちま・・・<国木田独歩「置土産」青空文庫>
  16. ・・・これは今日の社会制度を改革しない限りは初めから無理な相談である。子どもの素質は低下せざるを得ない。ここにおいて前回に述べた婦人の社会的関心というものが重要になるのである。一切の婦人は熱心に社会、国家の革新を要請し、そのために協力しなければな・・・<倉田百三「婦人と職業」青空文庫>
  17. ・・・それは相談にかゝらない。でも、出来ても出来なくても無理やりに弁償を強要したかった。不服でむか/\してやりきれなかった。そういう激しい感情を林へ引いて行かれる橇を見て自ら慰めるよりほか、彼等には道がなかった。彼等と一緒に兵タイに取られ、入営の・・・<黒島伝治「氷河」青空文庫>
  18. ・・・「主人はただ私に画を頂戴して参れとばかりではなく、こちらの定窯鼎をお預かり致してまいれ、御直段の事はいずれ御相談致しますということで」といった。定鼎の売れ口がありそうな談である。そこで廷珸は悦んで例の鼎を出して仏元に渡した。廷珸は仏元に、よ・・・<幸田露伴「骨董」青空文庫>
  19. ・・・私も多少本場を見て来たその自分の経験から、「洋服のことならとうさんに相談するがいいぜ」なぞと末子に話したり、帯で形をつけることは東西の風俗ともに変わりがないと言い聞かせたりして、初めて着せて見る娘の洋服には母親のような注意を払った。十番で用・・・<島崎藤村「嵐」青空文庫>
  20. ・・・じいさんは名前の相談をしておくのをすっかり忘れていました。「そうそう。名前がまだきめてありません。ウイリイとつけましょう。」と、じいさんはでたらめにこう言いました。坊さんは帳面へ、そのまま「ウイリイ」とかきつけました。お百姓の夫婦は、い・・・<鈴木三重吉「黄金鳥」青空文庫>
  21. ・・・次兄は、酒にも強く、親分気質の豪快な心を持っていて、けれども、決して酒に負けず、いつでも長兄の相談相手になって、まじめに物事を処理し、謙遜な人でありました。そうしてひそかに、吉井勇の、「紅燈に行きてふたたび帰らざる人をまことのわれと思ふや。・・・<太宰治「兄たち」青空文庫>
  22. ・・・いざ金がいるとなると、ポルジイはどんな危険な相談にでも乗る。お負にそれを洒々落々たる態度で遣って除ける。ある時ポルジイはプリュウンという果の干したのをぶら下げていた。それはボスニア産のプリュウン二千俵を買って、それを仲買に四分の一の代価で売・・・<著:ダビットヤーコプ・ユリウス 訳:森鴎外「世界漫遊」青空文庫>
  23. ・・・もしできれば次に出版するはずの随筆集の表紙にこの木綿を使いたいと思って店員に相談してみたが、古い物をありだけ諸方から拾い集めたのだから、同じ品を何反もそろえる事は到底不可能だというので遺憾ながら断念した、新たに織らせるとなるとだいぶ高価にな・・・<寺田寅彦「糸車」青空文庫>
  24. ・・・何でも皆んなに相談してやるようにしなさい。お父さんがいないんだから、そのつもりでもっとまじめになって、今までのように、びらしゃらして楽をしていないで、自分で自分の運命を切り拓いてゆくように、心を入れかえなくちゃいかん。ここの家なんか、こんな・・・<徳田秋声「挿話」青空文庫>
  25. ・・・「いまお父さんは市の収入役してるよ、アメリカ人でも、フランス人でもお父さんのところへ相談にくるんだよ」「フーム」 私は写真帳を見ながら、すっかり感心してしまった。そして林が何故、私のこんにゃく売りを軽蔑しないか、それがわかった気・・・<徳永直「こんにゃく売り」青空文庫>
  26. ・・・私の乳母は母上と相談して、当らず触らず、出入りの魚屋「いろは」から犬を貰って飼い、猶時々は油揚をば、崖の熊笹の中へ捨てて置いた。 父親は例の如くに毎朝早く、日に増す寒さをも厭わず、裏庭の古井戸に出て、大弓を引いて居られたが、もう二度と狐・・・<永井荷風「狐」青空文庫>
  27. ・・・しかし死んだものは笑いたくても、顫えているものは笑われたくても、相談にはならん。 かんかららんは長い橋の袂を左へ切れて長い橋を一つ渡って、ほのかに見える白い河原を越えて、藁葺とも思われる不揃な家の間を通り抜けて、梶棒を横に切ったと思った・・・<夏目漱石「京に着ける夕」青空文庫>
  28. ・・・ 然し、一人でさえも登り難い道を、一人を負って駈ける事は、出来ない相談だった。 彼等が、川上の捲上小屋へ着く前に、第一発が鳴った。「ハムマー穴のだ!」 小林は思った。音がパーンと鳴ったからだ。 ド、ドワーン!「相鳴り・・・<葉山嘉樹「坑夫の子」青空文庫>
  29. ・・・それで、急にまた出京るという目的もないから、お前さんにも無理な相談をしたようなわけなんだ。先日来のようにお前さんが泣いてばかりいちゃア、談話は出来ないし、実に困りきッていたんだ。これで私もやっと安心した。実にありがたい」 吉里は口にこそ・・・<広津柳浪「今戸心中」青空文庫>
  30. ・・・又子の方より言えば仮令い三十年二十五年以上に達しても、父母在すときは打明け相談して同意を求むるこそ穏なれ。法律は唯極端の場合に備うるのみ。親子の情は斯く水臭きものに非ず。呉々も心得置く可し。扨又結婚の上は仮令い命を失うとも心を金石の如くに堅・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>