ぞく‐せい【属性】例文一覧 19件

  1. ・・・   神 あらゆる神の属性中、最も神の為に同情するのは神には自殺の出来ないことである。   又 我我は神を罵殺する無数の理由を発見している。が、不幸にも日本人は罵殺するのに価いするほど、全能の神を信じていない・・・<芥川竜之介「侏儒の言葉」青空文庫>
  2. ・・・というような偶然的な属性を除き去っても、なおこれらのものがその芸術的価値において、没却すべからざる特質を有しているからである。このゆえに自分はひとり天主閣にとどまらず松江の市内に散在する多くの神社と梵刹とを愛するとともに(ことに月照寺におけ・・・<芥川竜之介「松江印象記」青空文庫>
  3. ・・・そうしてこれはしばしば後者の一つの属性のごとく取扱われてきたにかかわらず、近来(純粋自然主義が彼の観照の傾向は、ようやく両者の間の溝渠のついに越ゆべからざるを示している。この意味において、魚住氏の指摘はよくその時を得たものというべきである。・・・<石川啄木「時代閉塞の現状」青空文庫>
  4. ・・・ 視覚的映画に聴覚的な音響を付加することは本質的に異なる別の次元を新たに増加することであるが、色彩の付加は単に視覚的なものの属性の補充に過ぎない。それだから、たとえば色彩再現の科学的技術がいかに発達したとしても、それがために発声映画がも・・・<寺田寅彦「映画芸術」青空文庫>
  5. ・・・しかし、あのぐるりぐるりと腹を返して引っくり返る無気味さは、やはり、虎よりも鰐の属性にふさわしく思われるものである。 大蛇と鰐との闘争も珍しい見ものであるが、なにぶんにも水の飛沫がはげしくて一度見せられたくらいでは詳細な闘争方法が識別で・・・<寺田寅彦「映画「マルガ」に現われた動物の闘争」青空文庫>
  6. ・・・しかしそれだけであってこのギバの他の属性に関する記述とはなんら著しい照応を見ない。もっとも旋風は多くの場合に雷雨現象と連関して起こるから、その点で後に述べる時間分布の関係から言って多少この説に有利な点はある。しかしいわゆる光の現象やまた前述・・・<寺田寅彦「怪異考」青空文庫>
  7. ・・・それで、もしも、物や人の価値をきめる属性の数がただ一つならば、このような線の尺度が一つあれば間に合う。しかし、空間の中に静止する一点の位置を決定するだけでも三つの数字が必要である。百個の点の集団なら三百の数字が入用になる。物理的体系の「自由・・・<寺田寅彦「記録狂時代」青空文庫>
  8. ・・・たとえ二つのものは判別されても、二つのものの独自の属性は失われる。たとえば人間を通じて景色が見えるのでは、人間はもはや人間でなくて幽霊になってしまう。しかし音の重なる場合には二つのものはそれぞれ単独にある場合の独立性を失わない。 この事・・・<寺田寅彦「耳と目」青空文庫>
  9. ・・・が、前に述べた意識の連続以外にこんな変挺なものを建立すると、意識の連続以外に何にもないと申した言質に対して申訳が立ちませんから、残念ながらやめに致して、この傾向は意識の内容を構成している一部分すなわち属性と見做してしまいます。そうして「この・・・<夏目漱石「文芸の哲学的基礎」青空文庫>
  10. ・・・単にそれ自身によって理解せられるものは属性である、実体ではない。無限なる属性の基体としての神は、コンポッシブルの世界の主体、事の世界の主体でなければならない。真にそれ自身によってあり、それ自身によって理解するものは、事が事自身を限定する、純・・・<西田幾多郎「デカルト哲学について」青空文庫>
  11. ・・・ こういう人間性の分裂と矛盾が、現代の権力あるものの避けがたい立場だというならば、最近の百二十年たらずのうちに、権力そのものの実質がゲーテの讚えたような属性をまったく失ってしまっている事実を物語る。ゲーテは「ファウスト」第二部で、より大・・・<宮本百合子「権力の悲劇」青空文庫>
  12. ・・・合法、非合法はその国の状態によるのであって、決して共産党そのものの本質的属性ではない。清水は、「日本共産党は非合法の秘密結社でアリマシテ云々」と他の誰かの調書にあるとおり、口授を承認させようとするのである。又、「働く婦人」が共産党の宣伝の道・・・<宮本百合子「刻々」青空文庫>
  13. ・・・利己主義が日本人という民族の属性なのだろうか。そうは思えない。それが、生存する環境の悪条件に左右される自己防衛の牙であることは、著者そのひとが脱出の夜良人に向っていった言葉であきらかにされている。日夜顔をあわせている女同士で自分が八百円に売・・・<宮本百合子「ことの真実」青空文庫>
  14. ・・・は、作品に於ける内容と形式との特殊な統一の仕方から生じるもの、芸術作品にとって芸術性は先行的にあり得るものではなくて、芸術作品が芸術作品となってゆく成立の条件に根ざしたものであり、芸術的価値の本質的な属性をなすものであるという、芸術そのもの・・・<宮本百合子「昭和の十四年間」青空文庫>
  15. ・・・芥川     敗北の文学  「小ブルジョアジイの諸属性の中で「自我に関する思索」こそが基本的な一線であることを知るのである。」p.16  しかし、小ブルジョアジーの世界観の枠内にとどまっている以上、思索する「自我」を救い出し・・・<宮本百合子「「敗北の文学」について」青空文庫>
  16. ・・・ロレタリア文学との対立の時期に於ても、純文学の自我は、その自我の歴史的な成長の過程として、よりひろい動的な社会の客観的現実としての関係の中に自我を見る目を育てようとはせず、反対に個性という自我の一つの属性の範囲に人間の自我の可能性をちぢめて・・・<宮本百合子「文学精神と批判精神」青空文庫>
  17. ・・・二流、三流の通俗画家が、凡庸な構図とあり来りな解釈とで、神話の男神、アポロー、パンまたは、キリスト教の聖徒などを描いた他、或る女流画家の特殊な稟性によって、ユニクな属性を賦与された男子の肖像が在るだろうか。私は自分の狭い知識では不幸にして一・・・<宮本百合子「わからないこと」青空文庫>
  18. ・・・しかも、それは、文学に於けるいかなる分野が、素質が、属性が、総ゆる文学の方向から共通に考察されねばならないか。これがわれわれの新しい問題となるべきであろう。「われわれには、そんな暇はない。」と云うものは云うであろう。しかし、文学はそ・・・<横光利一「新感覚派とコンミニズム文学」青空文庫>
  19. ・・・官能表徴は感覚表徴の一属性であってより最も感性的な感覚表徴の一部である。このため官能表徴と感覚表徴との明確な範疇綱目を限定することは最も困難なことではあるが、しかし、少くとも清少納言の感覚は、あれは感覚ではなく官能が静冷で鮮烈であったのだ。・・・<横光利一「新感覚論」青空文庫>