そく‐たつ【速達】例文一覧 18件

  1. ・・・さっそくお君が飛んでくると思っていたのに、速達で返事が来た。裏書きが毛利君となっており、野瀬君でないのに、はっと胸を突かれた。行きたいけれど行けぬ。お前に会わす顔のない母です。恨んでくれるな。腑に落ちかねる手紙だった。手紙と一足違いに意外に・・・<織田作之助「雨」青空文庫>
  2. ・・・これから中央局へ廻ってこの原稿を速達にして来なくっちゃ、間に合わんのだ」「原稿も原稿だが、式も間に合わないよ」「いや、たのむから、中央局へ廻ってくれ」 到頭中央局へ廻ったが、さて窓口まで来ると、何を想い出したのか、また原稿を取り・・・<織田作之助「鬼」青空文庫>
  3. ・・・ 編輯者の怒った顔を想像しながら、蒲団のなかにもぐり込んで、眼を閉じた途端、新吉はふと今夜中に書き上げて、大阪の中央郵便局から速達にすれば、間に合うかも知れないと思った。近所の郵便局から午後三時に送っても結局いったん中央局へ廻ってからで・・・<織田作之助「郷愁」青空文庫>
  4. ・・・ そんなある日、一代の名宛で速達の葉書が来た。看護婦が銭湯へ行った留守中で、寺田が受け取って見ると「明日午前十一時、淀競馬場一等館入口、去年と同じ場所で待っている。来い。」と簡単な走り書きで、差出人の名はなかった。葉書一杯の筆太の字は男・・・<織田作之助「競馬」青空文庫>
  5. ・・・私は、かねて山田君から教えられていた先方のお家へ、速達の葉書を発した。ただいま友人、大隅忠太郎君から、結納ならびに華燭の典の次第に就き電報を以て至急の依頼を受けましたが、ただちに貴門を訪れ御相談申上げたく、ついては御都合よろしき日時、ならび・・・<太宰治「佳日」青空文庫>
  6. ・・・名刺もつくらせ、それからホテルの海野先生へ、ゲンコウタノムの電報、速達、電話、すべて私自身で発して居りました。 ――不愉快なことをしたものだね。 ――厳粛なるべき生活を、茶化して、もてあそびものにしているのが、不愉快なのでしょう。ご・・・<太宰治「虚構の春」青空文庫>
  7. ・・・英治さんだって、あなたにすぐ来いって速達を出したそうじゃないの。」「それは、いつですか? 僕たちは見ませんでしたよ。」「おや。私たちは、また、その速達を見て、おいでになったものとばかり、――」「そいつあ、まずかったな。行きちがい・・・<太宰治「故郷」青空文庫>
  8. ・・・ 丸山君は、それからも、私のところへ時々、速達をよこしたり、またご自身迎えに来てくれたりして、おいしいお酒をたくさん飲めるさまざまの場所へ案内した。次第に東京の空襲がはげしくなったが、丸山君の酒席のその招待は変る事なく続き、そうして私は・・・<太宰治「酒の追憶」青空文庫>
  9. ・・・という意味の速達を寄こして、僕も何だか、ハッと眼が覚めたような気持ちになり、急ぎ上京して、そうして今のこの「新現実」という文芸雑誌の、まあ、編輯部次長というような肩書で、それから三年も、まるで半狂乱みたいな戦後のジャアナリズムに、もまれて生・・・<太宰治「女類」青空文庫>
  10. ・・・家ができ上ると、家主から速達で通知が来ることになっていたのである。ポチは、もちろん、捨ててゆかれることになっていたのである。「連れていったって、いいのに」家内は、やはりポチをあまり問題にしていない。どちらでもいいのである。「だめだ。・・・<太宰治「畜犬談」青空文庫>
  11. ・・・という速達が来たのである。妹は二十二歳であるが、柄が小さいから子供のように見える。昨年、T君と見合いをして約婚したけれども、結納の直後にT君は応召になって東京の或る聯隊にはいった。私も、いちど軍服のT君と逢って三十分ほど話をした事がある。は・・・<太宰治「東京八景」青空文庫>
  12. ・・・私は先生に、速達郵便でもって御礼状を発した。必ずという文字を、ひどく大きく書いてしまったが、そんなに大きく書く必要は無かったのである。いよいよ茶会の当日には、まず会主のお宅の玄関に於いて客たちが勢揃いして席順などを定めるのであるが、つねに静・・・<太宰治「不審庵」青空文庫>
  13. ・・・ それから四五日して私は汐田から速達郵便を受け取った。その葉書には、友人たちの忠告もあり、お互の将来のためにテツさんをくにへ返す、あすの二時半の汽車で帰る筈だ、という意味のことがらが簡単に認められていた。私は頼まれもせぬのに、テツさんを・・・<太宰治「列車」青空文庫>
  14. ・・・明朝行こうとしたのをやめる代り、本は速達でお送りすることにして、それを揃えに行ったのです。 三省堂で語学の本など買ったのですが、どうかしら。すこしそれでやって御覧になってもし工合がわるいようでしたら、どうぞすぐおっしゃって下さい。別なの・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  15. ・・・ きのう速達で手拭、タオル、下へはくもの、単衣、フロ敷等お送りし、フトンは敷布を添えました。タオル二本のうち、私は薄手の方がさっぱりした使い心地だろうと思いますが、実際はどうかしら。薄いのがよかったらこの次はそれだけにいたしましょう。本・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  16. ・・・今日光町と隆治さんと両方から便りがあって、私の速達や薬だけは間に合ったようですからいくらか安心です。たびたび電報して七日に面会にいらっしゃることがわかり、二度目の速達で南方帰りの人の注意してくれたものを申しあげておきましたから、こちらからの・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  17.  四五日前のある夜十時頃、机に向っていると外でうちの名を呼ぶ男の声がした。速達だろうと思った。郵便受箱へ入れておいて下さいというつもりで高窓をあけたら、タオル寝間着の若い男のひとが立っていて、妙にひそめた声と左右に目を配った・・・<宮本百合子「このごろの人気」青空文庫>
  18. ・・・ 九月二十九日夜 三人 モンマルトルの赤馬で食事してかえったら下に速達     板倉鼎 朝六時死  板倉さんに泊る   三十日 夜ペルールにかえり入浴 泊る 十月一日  葬式 雨 十月二日  ひどい風 十二時まで眠る・・・<宮本百合子「「道標」創作メモ」青空文庫>