そっ‐き〔ソク‐〕【速記】例文一覧 27件

  1. ・・・『牡丹燈籠』は『書生気質』の終結した時より較やおくれて南伝馬町の稗史出版社から若林蔵氏の速記したのを出版したので、講談速記物の一番初めのものである。私は真実の口話の速記を文章としても面白いと思って『牡丹燈籠』を愛読していた。『書生気質』や『・・・<内田魯庵「明治の文学の開拓者」青空文庫>
  2. ・・・「いや、あれは取消しです。速記録から除いて貰いましょう。本員の失言でした」「まア」「あはは……。僕いま、親父の出している変てこな雑誌の編集を手伝っていて、実は音楽どころじゃないんです」と、白崎はまたまずいことを言いだしたが、しか・・・<織田作之助「昨日・今日・明日」青空文庫>
  3. ・・・という小説を、文芸推薦の選衡委員会で極力推薦してくれたことは、速記に明らかである。当時東京朝日新聞でも「唯一の大正生れの作家が現れた」という風に私のことを書いてくれた。「夫婦善哉」を小山書店から出さないかというような手紙もくれた。思えば、私・・・<織田作之助「武田麟太郎追悼」青空文庫>
  4. ・・・と泣いた。速記者があっけに取られていると、二人は起ち上って、ダンスをはじめた。ダンスがすむと、また文学論に移ったということである。十日ほどして同じ雑誌でT・Mという福井に疎開している詩人をよんで、また座談会をした。T・Iが司会、酒……。やは・・・<織田作之助「中毒」青空文庫>
  5. ・・・入営前大阪へ出て、金をかけて兄は速記術を習得したのであった。それを兄は、耳が聞えなくなったため放棄しなければならなかった。上等兵は、ここで自分までも上官の命令に従わなくって不具者にされるか、或は弾丸で負傷するか、殺されるか、――したならば、・・・<黒島伝治「パルチザン・ウォルコフ」青空文庫>
  6. ・・・括弧の中は、速記者たる私のひそかな感懐である。 さて、きょうは、何をお話いたしましょうかな。何も別にお話する程の珍らしい事もございませぬが、本当に、いつもいつも似たような話で、皆様もうんざりしたでございましょうから、きょうは一つ、山・・・<太宰治「黄村先生言行録」青空文庫>
  7. ・・・それら恥ずかしき身なりの植物たちが小声で囁き、私はそれを速記する。その声が、事実、聞えるのである。必ずしも、仏人ルナアル氏の真似 とうもろこしと、トマト。「こんなに、丈ばかり大きくなって、私は、どんなに恥ずかしい事か。そろそ・・・<太宰治「失敗園」青空文庫>
  8. ・・・ これは十年ほど前から単身都落ちして、或る片田舎に定住している老詩人が、所謂日本ルネサンスのとき到って脚光を浴び、その地方の教育会の招聘を受け、男女同権と題して試みたところの不思議な講演の速記録である。 ――もはや、・・・<太宰治「男女同権」青空文庫>
  9. ・・・ これを書き終えたとき、私は偶然に、ある雑誌の座談会の速記録を読んだ。それによると、志賀直哉という人が、「二、三日前に太宰君の『犯人』とかいうのを読んだけれども、実につまらないと思ったね。始めからわかっているんだから、しまいを読まな・・・<太宰治「如是我聞」青空文庫>
  10. ・・・先生の御高説を拝聴したのであるが、このたびの論説はなかなか歯切れがよろしく、山椒魚の講義などに較べて、段違いの出来栄えのようであったから、私は先生から催促されるまでも無く、自発的に懐中から手帖を出して速記をはじめた。以下はその座談筆記の全文・・・<太宰治「花吹雪」青空文庫>
  11. ・・・よそありの儘に思う情を言顕わし得る者は知らず/\いと巧妙なる文をものして自然に美辞の法に称うと士班釵の翁はいいけり真なるかな此の言葉や此のごろ詼談師三遊亭の叟が口演せる牡丹灯籠となん呼做したる仮作譚を速記という法を用いてそのまゝに謄写しとり・・・<著:坪内逍遥 校訂:鈴木行三「怪談牡丹灯籠」青空文庫>
  12. ・・・象形文字であろうが、速記記号であろうが、ともかくも読める記号文字で、粘土板でもパピラスでも「記録」されたものでなければおそらくそれを文学とは名づけることができないであろう。つまり文学というものも一つの「実証的な存在」である。甲某が死ぬ前に考・・・<寺田寅彦「科学と文学」青空文庫>
  13. ・・・心中者の二人が死ぬ前に話し合った言葉などがさもそばで速記者が立ち聞きでもしていたかのように記録されていたりしたものである。それが近松や黙阿弥張りにおもしろくつづられていたものである。これは実に愉快な読み物であったが、さすがにこのごろはそうい・・・<寺田寅彦「ジャーナリズム雑感」青空文庫>
  14.  東京美術学校文学会の開会式に一場の講演を依頼された余は、朝日新聞社員として、同紙に自説を発表すべしと云う条件で引き受けた上、面倒ながらその速記を会長に依頼した。会長は快よく承諾されて、四五日の後丁寧なる口上を添えて、速・・・<夏目漱石「文芸の哲学的基礎」青空文庫>
  15. ・・・実は私の方でもあの通り速記者もたのんであります、ご答弁は私の方の機関雑誌畜産之友に載せますからご承知を願います。で私のおたずね致したいことはパンフレットにもありました通り動物がかあいそうだからたべないとあなた方は仰っしゃるが動物というものは・・・<宮沢賢治「ビジテリアン大祭」青空文庫>
  16. ・・・を読み、選評速記を熟読して、深くその感に打たれた。          三「運・不運」は、この作だけについて決定的なことを云われたら作者も困る作品だろうと思った。『文芸』の今回の選には満場一致のような作品がなくて、そのためかえ・・・<宮本百合子「今日の文学の諸相」青空文庫>
  17. ・・・テーブルの端っこで速記してるコムソモールカがある。レーニンの石膏像。赤いプラカートは二階バルコンの手すりからも張りまわされている。正面には燃えるようなプラカート「第十回世界無産婦人デー万歳! レーニズムの旗の下に五ヵ年計画を四年で!」棕梠の・・・<宮本百合子「三月八日は女の日だ」青空文庫>
  18. ・・・ 大衆の中の進歩的要素と知識人が、懺悔的な悔恨的な感傷で大衆を一般化して考え、それに対し勝な昨今の弱点を餌として、三木清氏のような全体的の哲学が闊歩するのであるし、亀井貫一郎氏の速記録改竄問題をひきおこすのである。 ヒューマニズムは・・・<宮本百合子「全体主義への吟味」青空文庫>
  19.  これは自分が喋って速記をとったものです。自分で書く時間がなかった。話しかたが下手だから、大してうまく行っていないかもしれないが、一九一七年の革命以来、種々なデマゴーグによって歪め伝えられているソヴェト・ロシアの日常につ・・・<宮本百合子「ソヴェト・ロシアの素顔」青空文庫>
  20. ・・・ 公判第一日の速記録によって被告たちの陳述をあとづけてみる。 午前の人定尋問の時、立って「この公判は重大であるから公判の検事ならびに裁判長以下裁判官の名前をわからして頂きたい」と発言して、布施弁護士によってその要求を具体化した被告飯・・・<宮本百合子「それに偽りがないならば」青空文庫>
  21. ・・・民主主義文学の話のときは、口述や速記の中の一つの誤記が、ときと場合でどういう怪物としてつかわれるかを学んだ。 彼の聴衆や読者というものは、『新日本文学』などを決してよむことのない人たちとして、平野氏は、ああいう話しかたをしたのだろうか。・・・<宮本百合子「孫悟空の雲」青空文庫>
  22. ・・・ 附記 大会速記が不備だったので補足整理しました。〔一九四九年二月〕<宮本百合子「討論に即しての感想」青空文庫>
  23.  漱石全集第十三巻のなかほどに「私の個人主義」という漱石の講演速記が収められている。大正三年と云えば、いまから三十六年もの昔、十一月のある日漱石が輔仁会で講演をした。その話の全文である。「私の個人主義」という講題の古めか・・・<宮本百合子「日本の青春」青空文庫>
  24. ・・・二十歳をすこし出たばかりぐらいのふっくりとして愛らしい人と、速記をやってもう仕事をたすけている二十四五のひととが、臨時の書記にきめられた。数人のひとが、又この次日をきめて集るということになった。婦人に関係する綱領がつくられる仕事があった。・・・<宮本百合子「風知草」青空文庫>
  25. ・・・追記 この速記録は例によってわたしの早口から混乱したものになっていたので補足したと一緒に後半の通信活動の分を整理して殆ど新しく書きました。サークル活動が種々の問題を提起しているし、民主主義文学の成長の基盤が漠然と人民的とか労働者生活・・・<宮本百合子「平和運動と文学者」青空文庫>
  26. ・・・ いかにも屈託のない家庭らしい。速記録をよんで、私はいろいろの暗示をうけ面白く感じた。若い娘とその両親とが、公人としてそれぞれの立場から結婚の問題や婦人と職業の問題について睦じく公然と意見を話す時代になって来たのは、社会的に云っても、家・・・<宮本百合子「短い感想」青空文庫>
  27. ・・・という記事は、特別調査委員会における速記録の一部をのせて、この悲劇の核心を照し出しています。 委員たちが、菅氏にしつこく、くい下った質問は、どれも常識をはずれたいいがかりと、威脅でした。ひとこと、ひとことが、菅氏を予定のワナに近づけ・・・<宮本百合子「若き僚友に」青空文庫>