そつ‐ぎょう〔‐ゲフ〕【卒業】例文一覧 30件

  1. ・・・ 慶応か何か卒業してから、今じゃ自分の銀行へ出ている、年配も我々と同じくらいの男だ。色の白い、優しい目をした、短い髭を生やしている、――そうさな、まあ一言にいえば、風流愛すべき好男子だろう。」「若槻峯太郎、俳号は青蓋じゃないか?」 ・・・<芥川竜之介「一夕話」青空文庫>
  2.  この話の主人公は忍野半三郎と言う男である。生憎大した男ではない。北京の三菱に勤めている三十前後の会社員である。半三郎は商科大学を卒業した後、二月目に北京へ来ることになった。同僚や上役の評判は格別善いと言うほどではない。しか・・・<芥川竜之介「馬の脚」青空文庫>
  3. ・・・思想家としてのマルクスの功績は、マルクス同様資本王国の建設に成る大学でも卒業した階級の人々が翫味して自分たちの立場に対して観念の眼を閉じるためであるという点において最も著しいものだ。第四階級者はかかるものの存在なしにでも進むところに進んで行・・・<有島武郎「宣言一つ」青空文庫>
  4. ・・・そうしてそう着実になっているにかわらず、毎年何百という官私大学卒業生が、その半分は職を得かねて下宿屋にごろごろしているではないか。しかも彼らはまだまだ幸福なほうである。前にもいったごとく、彼らに何十倍、何百倍する多数の青年は、その教育を享け・・・<石川啄木「時代閉塞の現状」青空文庫>
  5. ・・・ 僕は小学校を卒業したばかりで十五歳、月を数えると十三歳何ヶ月という頃、民子は十七だけれどそれも生れが晩いから、十五と少しにしかならない。痩せぎすであったけれども顔は丸い方で、透き徹るほど白い皮膚に紅味をおんだ、誠に光沢の好い児であった・・・<伊藤左千夫「野菊の墓」青空文庫>
  6. ・・・当時の大学は草創時代で、今の中学卒業程度のものを収容した。殊に鴎外は早熟で、年齢を早めて入学したからマダ全くの少年だった。が、少年の筆らしくない該博の識見に驚嘆した読売の編輯局は必ずや世に聞ゆる知名の学者の覆面か、あるいは隠れたる篤学であろ・・・<内田魯庵「鴎外博士の追憶」青空文庫>
  7. ・・・たとえば、学校の先生……ある人がいうように何でも大学に入って学士の称号を取り、あるいはその上にアメリカへでも往って学校を卒業さえしてくれば、それで先生になれると思うのと同じことであります。私はたびたび聞いて感じまして、今でも心に留めておりま・・・<内村鑑三「後世への最大遺物」青空文庫>
  8. ・・・「妻は小学校しか卒業していない女だから、子供を虐める事は出来ない。自分が子供を叱る時には妻は一切口を出さぬ事にしている。」とか云って、博士はそれを継母の罪でないように云っている。しかし、子供の教育は必ずしも母親自身の学問の程度に関るものでは・・・<小川未明「愛に就ての問題」青空文庫>
  9. ・・・ ところが、大宝寺小学校の高等科をやがて卒業するころ、仏壇の抽出の底にはいっていた生みの母親の写真を見つけました。そして、ああ、この人やこの人やというおきみ婆さんの声を聴きながら、じっとその写真を見ているうちに、私は家を出て奉公する決心・・・<織田作之助「アド・バルーン」青空文庫>
  10. ・・・ね、竹内君は御存知ですが僕はこう見えても同志社の旧い卒業生なんで、矢張その頃は熱心なアーメンの仲間で、言い換ゆれば大々的馬鈴薯党だったんです!」「君が?」とさも不審そうな顔色で井山がしょぼしょぼ眼を見張った。「何も不思議は無いサ、そ・・・<国木田独歩「牛肉と馬鈴薯」青空文庫>
  11. ・・・このことは卒業後の生活の物質的計画をきわめて困難な、不可能に近いものに考えさせるようになる。物質的清貧の中で精神的仕事に従うというようなことは夢にも考えられなくなる。一口にいえば、学生時代の汚れた快楽の習慣は必ず精神的薄弱を結果するものだ。・・・<倉田百三「学生と生活」青空文庫>
  12.       一 為吉とおしかとが待ちに待っていた四カ年がたった。それで、一人息子の清三は高等商業を卒業する筈だった。両人は息子の学資に、僅かばかりの財産をいれあげ、苦労のあるだけを尽していた。ところが、卒業まぎわにな・・・<黒島伝治「老夫婦」青空文庫>
  13. ・・・仇十州の贋筆は凡そ二十階級ぐらいあるという談だが、して見れば二十度贋筆を買いさえすれば卒業して真筆が手に入るのだから、何の訳はないことだ。何だって月謝を出さなければ物事はおぼえられない。贋物贋筆を買うのは月謝を出すのだから、少しも不当の事で・・・<幸田露伴「骨董」青空文庫>
  14. ・・・かしにっこりと受けたまま返辞なければ往復端書も駄目のことと同伴の男はもどかしがりさてこの土地の奇麗のと言えば、あるある島田には間があれど小春は尤物介添えは大吉婆呼びにやれと命ずるをまだ来ぬ先から俊雄は卒業証書授与式以来の胸躍らせもしも伽羅の・・・<斎藤緑雨「かくれんぼ」青空文庫>
  15. ・・・新たに医学校を卒業したばかりかと思われるような若者であった。蜂谷はその初々しく含羞んだような若者をおげんの前まで連れて来た。「小山さん、これが私のところへ手伝に来てくれた人です」 と蜂谷に言われて、おげんは一寸会釈したが、田舎医者の・・・<島崎藤村「ある女の生涯」青空文庫>
  16. ・・・学校の成績は、あまりよくなかった。卒業後は、どこへも勤めず、固く一家を守っている。イプセンを研究している。このごろ人形の家をまた読み返し、重大な発見をして、頗る興奮した。ノラが、あのとき恋をしていた。お医者のランクに恋をしていたのだ。それを・・・<太宰治「愛と美について」青空文庫>
  17. ・・・ しかし中等学校を卒業しないうちに学校生活が一時中断するようになったというのは、彼の家族一同がイタリアへ移住する事になったのである。彼等はミランに落着いた。そこでしばらく自由の身になった少年はよく旅行をした。ある時は単身でアペニンを越え・・・<寺田寅彦「アインシュタイン」青空文庫>
  18. ・・・何でも三月からなくちゃ卒業の出来ねえところを、宅の忰はたった二週間で立派にやっちまった。それで免状をもらって、連隊へ帰って来ると、連隊の方でも不思議に思って、そんな箆棒な話がある訳のもんじゃねえ、きっと何かの間違だろうッてんで向へ聴合せたん・・・<徳田秋声「躯」青空文庫>
  19. ・・・―― 小学校を卒業してから、林は町の中学校へあがり、私は工場の小僧になったから、しぜんと別れてしまったが、林のなつかしい、あの私が茄子を折って叱られているとき――小母さん、すみません――と詫びてくれた、温かい心が四十二歳になってもまだ忘・・・<徳永直「こんにゃく売り」青空文庫>
  20. ・・・先生の大学を卒業せられたのは明治十七年であったので、即春の家主人が当世書生気質に描き出されたものと時代を同じくしているわけである。小説雁の一篇は一大学生が薄暮不忍池に浮んでいる雁に石を投じて之を殺し、夜になるのを待ち池に入って雁を捕えて逃走・・・<永井荷風「上野」青空文庫>
  21. ・・・親父が無理算段の学資を工面して卒業の上は月給でも取らせて早く隠居でもしたいと思っているのに、子供の方では活計の方なんかまるで無頓着で、ただ天地の真理を発見したいなどと太平楽を並べて机に靠れて苦り切っているのもある。親は生計のための修業と考え・・・<夏目漱石「現代日本の開化」青空文庫>
  22. ・・・私は岩元君とは明治二十七年卒業以来、逢う機会がなかった。私の頭には、痩せた屈み腰の学生服を着た岩元君をしか想像することはできない。私は始終鎌倉に来るようになってから、一度同君を尋ねて見たいと思っていた。しかし今度こそはと思いながら、無精な私・・・<西田幾多郎「明治二十四、五年頃の東京文科大学選科」青空文庫>
  23. ・・・ その一つの部屋に、深谷というのと、安岡と呼ばれる卒業期の五年生がいた。 もちろん、部屋の窓の外は松林であった。松の梢を越して国分寺の五重の塔が、日の光、月の光に見渡された。 人数に比べて部屋の数が多過ぎるので、寄宿舎は階上を自・・・<葉山嘉樹「死屍を食う男」青空文庫>
  24. ・・・これを形容していえば、軍人が兵学校を卒業して正に戦場に向いたる者の如し。 これに反して我が日本の学芸は、十数年来大いに進歩したりというといえども、未だ卒業せざるのみならず、あたかも他国の調練を調練するものにして、未だ戦場の実地に臨まず。・・・<福沢諭吉「学問の独立」青空文庫>
  25. ・・・ その時のピエエルは高等学校を卒業したばかりで、高慢なくせにはにかんだ、世慣れない青年であった。丈は不吊合に伸びていて、イギリス人の a long lad なんぞと云うたちである。金は無い。親を亡くした当座で、左の腕に喪章を附けている。・・・<著:プレヴォーマルセル 訳:森鴎外「田舎」青空文庫>
  26. ・・・いつ又僕は大循環へ入るだろう、ああもう二十日かそこらでこんどのは卒業するんだ、と考えるとほんとうに何とも云えずうれしい気がするねえ。」「おらの方の試験ど同じだな。」耕一が云いました。「うん、だけどおまえたちの試験よりはむずかしいよ。・・・<宮沢賢治「風野又三郎」青空文庫>
  27. ・・・そのために、スペインの民主戦線に有名なパッショナリーアと呼ばれた婦人がいたことも知らなければ、大戦中フランスの大学を卒業した知識階級の婦人たちの団体が、どんなにフランスの自由と解放のためにナチス政権の下で勇敢な地下運動を国際的に展開したかと・・・<宮本百合子「明日の知性」青空文庫>
  28.  父が開業をしていたので、花房医学士は卒業する少し前から、休課に父の許へ来ている間は、代診の真似事をしていた。 花房の父の診療所は大千住にあったが、小金井きみ子という女が「千住の家」というものを書いて、委しくこの家の事を・・・<森鴎外「カズイスチカ」青空文庫>
  29. ・・・ ひと月もたつと四月が来て、吉は学校を卒業した。 しかし、少し顔色の青くなった彼は、まだ剃刀を研いでは屋根裏へ通い続けた。そしてその間も時々家の者らは晩飯の後の話のついでに吉の職業を選び合った。が、話は一向にまとまらなかった。 ・・・<横光利一「笑われた子」青空文庫>
  30. ・・・古顔の連中は一高や大学で漱石に教わった人たちであるが、その中で大学の卒業年度の最もあとなのは安倍能成君であって、そのあとはずっと途絶えていた。安倍君と同じ組には魚住影雄、小山鞆絵、宮本和吉、伊藤吉之助、宇井伯寿、高橋穣、市河三喜、亀井高孝な・・・<和辻哲郎「漱石の人物」青空文庫>