そで‐の‐した【袖の下】例文一覧 7件

  1. ・・・摘み集めながらうたう歌がおもしろいので、燕たちもうたいつれながら葡萄摘みの袖の下だの頭巾の上だのを飛びかけって遊びました。しかしやがて葡萄の収穫も済みますと、もう冬ごもりのしたくです。朝ごとに河面は霧が濃くなってうす寒くさえ思われる時節とな・・・<有島武郎「燕と王子」青空文庫>
  2. ・・・…… 宿へ遁返った時は、顔も白澄むほど、女二人、杓子と擂粉木を出来得る限り、掻合わせた袖の下へ。――あら、まあ、笛吹は分別で、チン、カラカラカラ、チン。わざと、チンカラカラカラと雀を鳴らして、これで出迎えた女中だちの目を逸らさせたほどな・・・<泉鏡花「貝の穴に河童の居る事」青空文庫>
  3. ・・・細い半襟の半纏の袖の下に抱えて、店のはずれを板の間から、土間へ下りようとして、暗い処で、「可哀やの、姉様たち。私が許を離れてもの、蜘蛛男に買われさっしゃるな、二股坂へ行くまいぞ。」 と小さな声して言聞かせた。織次は小児心にも、その絵・・・<泉鏡花「国貞えがく」青空文庫>
  4. ・・・ と、お誓のそのふくよかな腹を、袖の下で擦って微笑んだ。そこがちょうど結び目の帯留の金具を射て、弾丸は外れたらしい。小指のさきほどの打身があった。淡いふすぼりが、媼の手が榊を清水にひたして冷すうちに、ブライツッケルの冷罨法にも合えるごと・・・<泉鏡花「神鷺之巻」青空文庫>
  5. ・・・母の袖の下へ隠れるようにしてお松の顔を見た。お松は襷をはずして母に改った挨拶をしてから、なつかしい目でにっこり笑いながら「坊さんきまりがわるいの」と云って自分を抱いてくれた。自分はお松はなつかしいけれど、まだ知らなかったお松の母が居るから直・・・<伊藤左千夫「守の家」青空文庫>
  6. ・・・はっと眼を開けると、白い男の袖の下に自転車の輪が見えた。人力の梶棒が見えた。と思うと、白い男が両手で自分の頭を押えてうんと横へ向けた。自転車と人力車はまるで見えなくなった。鋏の音がちゃきちゃきする。 やがて、白い男は自分の横へ廻って、耳・・・<夏目漱石「夢十夜」青空文庫>
  7. ・・・文明の学者士君子にして、腐儒の袖の下に隠れ儒説に保護せられて、由て以て文明社会を瞞着せんとする者と言う可し。其窮唯憐む可きのみ。或は此腐儒説の被保人等が窮余に説を作りて反対を試みんとすることもあらんか、甚だ妙なり。我輩は満天下の人を相手にし・・・<福沢諭吉「新女大学」青空文庫>