ぞん‐ざい例文一覧 22件

  1. ・・・「どうして、謹さん、私はこんなぞんざいだし、もう十七の年に、何にも知らないで児持になったんですもの。碌に小袖一つ仕立って上げた事はなく、貴下が一生の大切だった、そのお米のなかった時も、煙草も買ってあげないでさ。 後で聞いて口惜くって・・・<泉鏡花「女客」青空文庫>
  2. ・・・自分の姿を自慢して男えらみ許りしてとうとう夫もきめないで身をぞんざいにしていろいろの浮名をたてられる。親達は心配していろいろの意見するけれ共一度でも親の云う通りにはならないで「一体何と思って居らっしゃるんだか。此んなに家の富栄えるのも元はと・・・<著:井原西鶴 訳:宮本百合子「元禄時代小説第一巻「本朝二十不孝」ぬきほ(言文一致訳)」青空文庫>
  3. ・・・おれの家をあずかっていながらどんな鍵でもぞんざいにしておくはずはない」「実は大事にしまってあることはしまってありますが、お千代が渡してくれるなと言っていましたから――」「千代は私の家内です、そんな言い分は立ちません」「それでは出・・・<岩野泡鳴「耽溺」青空文庫>
  4. ・・・しかし、生き物を、こんなに、ぞんざいにするようでは、なに商売だって、栄えないのも無理はない。」と、こんなことを考えたのであります。 家に帰るとさっそく、木に水をやりました。また、わずかばかり残っていた、葉についているほこりを洗ってやりま・・・<小川未明「おじいさんが捨てたら」青空文庫>
  5. ・・・貯金の宣伝は紙芝居でずいぶんやったし、それに私の経歴が経歴ですから、われながら苦笑するくらいの適任だと言えるわけですが、しかしたった一つ私の悪い癖は、生れつき言葉がぞんざいで、敬語というものが巧く使えない。それはこの話しっぷりでもいくらか判・・・<織田作之助「アド・バルーン」青空文庫>
  6. ・・・ 日本人のようでない、皮膚の色が少し黒みがかった男が不熱心に道具を運んで来て、時どきじろじろと観客の方を見た。ぞんざいで、おもしろく思えなかった。それが済むと怪しげな名前の印度人が不作法なフロックコートを着て出て来た。何かわからない言葉・・・<梶井基次郎「城のある町にて」青空文庫>
  7. ・・・ものの今宵初めてこの宿舎で出合って、何かの口緒から、二口三口襖越しの話があって、あまりのさびしさに六番の客から押しかけて来て、名刺の交換が済むや、酒を命じ、談話に実が入って来るや、いつしか丁寧な言葉とぞんざいな言葉とを半混ぜに使うようになっ・・・<国木田独歩「忘れえぬ人々」青空文庫>
  8. ・・・客間と食堂とを兼ねている部屋からは、いかにも下手でぞんざいな日本人のロシア語がもれて来た。「寒いね、……お前さん、這入ってらっしゃい。」 入口の扉が開いて、踵の低い靴をはいた主婦が顔を出した。 馭者は橇の中で腰まで乾草に埋め、頸・・・<黒島伝治「橇」青空文庫>
  9. ・・・と、ぞんざいに挨拶して迎えた。ぞんざいというと非難するように聞えるが、そうではない、シネクネと身体にシナを付けて、語音に礼儀の潤いを持たせて、奥様らしく気取って挨拶するようなことはこの細君の大の不得手で、褒めて云えば真率なのである。それ・・・<幸田露伴「鵞鳥」青空文庫>
  10. ・・・私は少し親しげな、ぞんざいな言葉を遣って、「よろしく願います。」 姉さんたちは、いろいろと御馳走を運んで来る。上の姉さんには、五つくらいの男の子がまつわり附いている。下の姉さんには、三つくらいの女の子が、よちよち附いて歩いている。・・・<太宰治「佳日」青空文庫>
  11. ・・・こんどは低く、呟くように、その興覚めの言葉を、いかにも自分ながら、ほとほとこれは気のきかない言葉だと自覚しているように、ぞんざいに言った。紺の印半纏を裏がえしに着ている。その下に、あずき色のちょっと上等なメリヤスのシャツ。私の変に逆上せてい・・・<太宰治「春の盗賊」青空文庫>
  12. ・・・お金をずいぶん欲しがっているくせに、わざとぞんざいに扱ってみせて、こんなものは紙屑同然だとおっしゃる、罰が当りますよ、どんなお札にだって菊の御紋が付いているんですよ、でもまあ、そうしてお金だけで事をすましてくれるお百姓さんはまだいいほうで、・・・<太宰治「やんぬる哉」青空文庫>
  13. ・・・一体にその頃の消印ははっきりしていたが、近頃のは捺し方がぞんざいで不明なのが多いような気がする。こんな些末なところにも現代の慌だしさが出ているかもしれないと思われる。 もう一つの子規自筆の記念品は、子規の家から中村不折の家に行く道筋を自・・・<寺田寅彦「子規自筆の根岸地図」青空文庫>
  14. ・・・それが大変に丁寧な言葉を遣っているのに対して女学生の言葉が思いの外にぞんざいである。問答ばかりでなかなか容易には肝心の針の方に手が行かない。対話の末に、今日の四時何十分とかに出発する人々に贈るのだということがわかってからやっと針が動き始めて・・・<寺田寅彦「千人針」青空文庫>
  15. ・・・こしらえ方がきわめてぞんざいであるから少し使うとすぐにぐあいが悪くなる。それを念入りに調節して器械としての鋭敏さを維持する事はそういうあたまのない女中などには到底望み難い仕事である。私はこのような間に合わせの器械を造る人にも、それを平気で使・・・<寺田寅彦「ねずみと猫」青空文庫>
  16. ・・・ いくら、ぞんざいにあつかって居るからってやっぱり惜しい気がする。 惜しいと思う気持が段々妙に淋しい心になって来る。 細かい「ふけ」が浮いた抜毛のかたまりが古新聞の上にころがって、時々吹く風に一二本の毛が上の方へ踊り上ったり靡い・・・<宮本百合子「秋毛」青空文庫>
  17. ・・・オペラ物らしくぞんざいで、色ばかり塗りたくってある。 経済的理由で、唯一晩の興行に、できる丈間に合わせをやったとしても、相当美しく、情緒を湛えてラネフスカヤがそこに再び母を見、自分の青春を見、涙さえこぼす桜の園が、窓からどんなに見えてい・・・<宮本百合子「シナーニ書店のベンチ」青空文庫>
  18. ・・・ ベルリンでスカラ座のカルメンを見たとき、スカラとも云われるものが、あんまり群集をぞんざいに扱っているのにおどろいた。合唱こそしているが群集の男女の気分もバラバラ、眼のつけどころもバラバラ、いかにも、はい、わたしの役割はこうして歌うだけ・・・<宮本百合子「ソヴェトの芝居」青空文庫>
  19. ・・・ いろいろ言葉に綾をつけながら、わざと早口に、ぞんざいな物云いをする番頭は、彼の妙にピカピカする黒足袋を珍らしがって共が首を延すたんびに、さも気味悪そうに下駄をバタバタやっては追い立てる。 がはあおっかねえとは…… 心の内でびっ・・・<宮本百合子「禰宜様宮田」青空文庫>
  20. ・・・     二階に居る時 ヘリのないぞんざいな畳には、首人形がいっぱいささって夢□(の紙治、切られ与三、弁天小僧のあの細い線の中にふるいつきたい様ななつかしい気分をもって居る絵葉書は大切そうに並んで居る。京の舞子の紅の振、玉虫・・・<宮本百合子「芽生」青空文庫>
  21. ・・・ところがその磚がひどくぞんざいに、疎に積んであって、十ばかりも卸してしまえば、窓が開きそうだ。小川君は磚を卸し始めた。その時物音がぴったりと息んだそうだ。」 小川は諦念めて飲んでいる。平山は次第に熱心に傾聴している。上さんは油断なく酒を・・・<森鴎外「鼠坂」青空文庫>
  22. ・・・ ドイツ語である。ぞんざいなことばと不吊合いに、傘を左の手に持ちかえて、おうように手袋に包んだ右の手の指さきをさしのべた。渡辺は、女が給仕の前で芝居をするなと思いながら、丁寧にその指さきをつまんだ。そして給仕にこういった。「食事のい・・・<森鴎外「普請中」青空文庫>