ダイアモンド【diamond】例文一覧 14件

  1. ・・・彼女は白い夏衣裳にダイアモンドを幾つも輝かせていた。のみならずテニスか水泳かの選手らしい体格も具えていた。僕はこう言う彼女の姿に美醜や好悪を感ずるよりも妙に痛切な矛盾を感じた。彼女は実際この部屋の空気と、――殊に鳥籠の中の栗鼠とは吊り合わな・・・<芥川竜之介「湖南の扇」青空文庫>
  2. ・・・それはただ雑然たる小刀細工や糊細工の行列としか見えなかった。ダイアモンドを見たあとでガラスの破片を見るような気がした。しかし観客は盛んに拍手を送った。中途から退席して表へ出で入り口を見ると「満員御礼」とはり札がしてあった。「唐人お吉」にして・・・<寺田寅彦「映画時代」青空文庫>
  3. ・・・ジャーナリズムの指はミダスの指のように触れる限りのものを金に化することもあり、反対に金もダイアモンドもことごとく石塊とすることもある。キルケのごとくすべての人間を動物に化することもあるが、また反対にとんでもない食わせものの与太者を大人物に変・・・<寺田寅彦「ジャーナリズム雑感」青空文庫>
  4. ・・・たとえば極上等のダイアモンドや水晶はほとんど透明である。しかし決して不可視ではない。それどころか、たとえ小粒でも適当な形に加工彫琢したものは燦然として遠くからでも「視える」のである。これはこれらの物質がその周囲の空気と光学的密度を異にしてい・・・<寺田寅彦「自由画稿」青空文庫>
  5. ・・・質的に間違った仮定の上に量的には正しい考究をいくら積み上げても科学の進歩には反古紙しか貢献しないが、質的に新しいものの把握は量的に誤っていても科学の歩みに一大飛躍を与えるのである。ダイアモンドを掘り出せば加工はあとから出来るが、ガラスはみが・・・<寺田寅彦「量的と質的と統計的と」青空文庫>
  6. ・・・ するとどこかで、ふしぎな声が、銀河ステーション、銀河ステーションと云う声がしたと思うといきなり眼の前が、ぱっと明るくなって、まるで億万の蛍烏賊の火を一ぺんに化石させて、そら中に沈めたという工合、またダイアモンド会社で、ねだんがやすくならな・・・<宮沢賢治「銀河鉄道の夜」青空文庫>
  7. ・・・「すももは墻壁仕立です。ダイアモンドです。枝がななめに交叉します。一中隊はありますよ。義勇中隊です。」「やっぱりあんなでいいんですか。」「構いませんよ。それよりまああの梨の木どもをご覧なさい。枝が剪られたばかりなので身体が一向釣・・・<宮沢賢治「チュウリップの幻術」青空文庫>
  8. ・・・水の中の青い魚のように、なめらかにぬれて光りながら、二人の頭の上をせわしく飛びめぐって、ザッ、ザ、ザ、ザザァザ、ザザァザ、ザザァ、ふらばふれふれ、ひでりあめ、トパァス、サファイア、ダイアモンド。 と歌いました・・・<宮沢賢治「虹の絵具皿」青空文庫>
  9. ・・・は、貫一という当時の一高生が、ダイアモンドにつられて彼の愛をすてた恋人お宮を、熱海の海岸で蹴倒す場面を一つのクライマックスとしている。明治も中葉となれば、その官僚主義も学閥も黄金魔力に毒されてゆく。 もし、昔の東大の「よき日よき大学」に・・・<宮本百合子「新しいアカデミアを」青空文庫>
  10. ・・・ 何故なら、ソヴェト同盟で諷刺的に様式化されたブルジョアジーは、いつでも燕尾服にシルク・ハットで、太い金鎖りをデブ腹の上にたらし、小指にダイアモンドをキラつかして、葉巻をふかしている。 しかし実際に、どんな場合でも、ブルジョアジーは・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  11. ・・・男の小指にはダイアモンドが光っているのに、連の女性は、水色格子木綿の単純な服で、飾花だけぱっと華やかな帽子をつけている。白粉が生毛にとまっているのも見える。まあ金がないというだけの理由でかまわない装をやむなくしている女に思える。連の男が、と・・・<宮本百合子「三鞭酒」青空文庫>
  12. ・・・フイリッポフ信仰よりパンが欲しい。ダイアモンド八〇〇円に売ルその男〔欄外に〕 ロシア人の気違いになった細君を病院へ入れるためにフイリッポフ手紙を書く。<宮本百合子「一九二五年より一九二七年一月まで」青空文庫>
  13. ・・・ 暗の中に輝くダイアモンドの様に、鋭く青いキラメキをなげるものがあれば、静かに、おだやかに、夢の花の様に流れる。 一瞬の間も止まる事なく、上品に、優美に雲の群は微風に運ばれて、無窮の変化に身をまかせるのである。けれ共、紅の日輪が全く・・・<宮本百合子「農村」青空文庫>
  14. ・・・金モール内職のベットがマルヌッフのサロンでは、俄然ダイアモンドのような輝きを発揮しはじめたり、奇怪な老婆がいきなり登場したり、ユロ将軍の最後の条などは、明らかに前章に比してなげやりに片づけられている。つき進んで云えば、従妹ベットの心持が、あ・・・<宮本百合子「バルザックに対する評価」青空文庫>