だいがく‐せい【大学生】例文一覧 30件

  1. ・・・慎太郎はもうこの秋は、大学生になるんだから。」と云った。 洋一は飯を代えながら、何とも返事をしなかった。やりたい文学もやらせずに、勉強ばかり強いるこの頃の父が、急に面憎くなったのだった。その上兄が大学生になると云う事は、弟が勉強すると云・・・<芥川竜之介「お律と子等と」青空文庫>
  2. ・・・「すると電車の中で知り合になった大学生のことが書いてあるんだよ。」「それで?」「それで僕は美代ちゃんに忠告しようかと思っているんだがね。……」 僕はとうとう口を辷らし、こんな批評を加えてしまった。「それは矛盾しているじゃ・・・<芥川竜之介「彼」青空文庫>
  3.    一 或秋の午頃、僕は東京から遊びに来た大学生のK君と一しょに蜃気楼を見に出かけて行った。鵠沼の海岸に蜃気楼の見えることは誰でももう知っているであろう。現に僕の家の女中などは逆まに舟の映ったのを見、「この間の新聞・・・<芥川竜之介「蜃気楼」青空文庫>
  4.  大学生の中村は薄い春のオヴァ・コオトの下に彼自身の体温を感じながら、仄暗い石の階段を博物館の二階へ登っていった。階段を登りつめた左にあるのは爬虫類の標本室である。中村はそこへはいる前に、ちょっと金の腕時計を眺めた。腕時計の・・・<芥川竜之介「早春」青空文庫>
  5. ・・・そこには又Hと云う大学生や年をとった女も佇んでいた。彼等は僕の顔を見ると、僕の前に歩み寄り、口々に僕へ話しかけた。「大火事でしたわね」「僕もやっと逃げて来たの」 僕はこの年をとった女に何か見覚えのあるように感じた。のみならず彼女・・・<芥川竜之介「歯車」青空文庫>
  6. ・・・その代りに当時はマダ大学生であった佐々醒雪、笹川臨風、田岡嶺雲というような面々がしばしば緑雨のお客さんとなって「いろは」の団子を賞翫した。醒雪はその時分々たる黒い髯を垂れて大学生とは思われない風采であった。緑雨は佐々弾正と呼んで、「昨日弾正・・・<内田魯庵「斎藤緑雨」青空文庫>
  7. ・・・貧しい大学生などよりは、少し年はふけていても、社会的地歩を占めた紳士のほうがいいなどといった考えは実に、愚劣なものであるというようなことを抗議するのだ。日本の娘たちはあまりに現実主義になるな、浪曼的な恋愛こそ青春の花であるというようなことを・・・<倉田百三「学生と生活」青空文庫>
  8. ・・・それが隣の家に泊まっている大学生サ。」 何かしら常に不満で、常にひとりぼっちで、自分のことしか考えないような顔つきをしている三郎が、そんな鶯のまねなぞを思いついて、寂しい少年の日をわずかに慰めているのか。そう思うと、私はこの子供を笑えな・・・<島崎藤村「嵐」青空文庫>
  9. ・・・家へ帰ってから読むつもりであったのを、その晩は青木という大学生に押掛けられた。割合に蚊の居ない晩で、二人で西瓜を食いながら話した。はじめて例の著書が出版された当時、ある雑誌の上で長々と批評して、「ツルゲネエフの情緒あって、ツルゲネエフの想像・・・<島崎藤村「並木」青空文庫>
  10. ・・・けれども、大学生は、レインコオトのポケットに両手をつっこんだまま、さっさと歩いた。女は、その大学生の怒った肩に、おのれの丸いやわらかな肩をこすりつけるようにしながら男の後を追った。 大学生は、頭がよかった。女の発情を察知していた。歩きな・・・<太宰治「あさましきもの」青空文庫>
  11.  八年まえの事でありました。当時、私は極めて懶惰な帝国大学生でありました。一夏を、東海道三島の宿で過したことがあります。五十円を故郷の姉から、これが最後だと言って、やっと送って戴き、私は学生鞄に着更の浴衣やらシャツやらを詰め・・・<太宰治「老ハイデルベルヒ」青空文庫>
  12. ・・・私は頗る不勉強な大学生ではあったが、けれどもこの瀬川先生の飾らぬ御人格にはひそかに深く敬服していたところがあったので、この先生の講義にだけは努めて出席するようにしていたし、研究室にも二、三度顔を出して突飛な愚問を呈出して、先生をめんくらわせ・・・<太宰治「佳日」青空文庫>
  13. ・・・という言葉が閉口で、すぐに眼鏡をかけた女子大学生の姿や、されこうべなどが眼に浮び、やり切れないのです。私があなたのお手紙を読んで、あなたのお考えになっている事が、あなたの言葉と少しの間隙も無くぴったりくっついて立っているのを見事に感じ、これ・・・<太宰治「風の便り」青空文庫>
  14. ・・・ まえの小径を大学生たちが一列に並んで通る。ひきもきらず、ぞろぞろと流れるように通るのである。いずれは、ふるさとの自慢の子。えらばれた秀才たち。ノオトのおなじ文章を読み、それをみんなみんなの大学生が、一律に暗記しようと努めていた。われは・・・<太宰治「逆行」青空文庫>
  15. ・・・でも窓下の学生のセレネードは別として、露台のビア・ガルテンでおおぜいの大学生の合唱があって、おなじみのエルゴ・ヴィヴァームスの歌とザラマンダ・ライベンの騒音がラインの谷を越えて向こうの丘にこだまする。 ロシアでもドイツでも、男どうしがお・・・<寺田寅彦「映画雑感(3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」青空文庫>
  16. ・・・そうした、今から見れば古典的な姿が当時の大学生には世にもモダーンなシックなものに見えたのであろう、小杉天外の『魔風恋風』が若い人々の世界を風靡していた時代のことである。 大正の初年頃外房州の海岸へ家族づれで海水浴に出かけたら七月中雨ばか・・・<寺田寅彦「海水浴」青空文庫>
  17. ・・・たとえばある一人の虚無的な思想をもった大学生に高利貸しの老婆を殺させる。そうして、これにかれんな町の女や、探偵やいろいろの選まれた因子を作用させる。そうして主人公の大学生が、これに対していかに反応するかを観察する。これは一つの実験である。た・・・<寺田寅彦「科学と文学」青空文庫>
  18. ・・・安全地帯に立って見ていた二、三人連れの大学生の一人が運転手の方を覗き込んで、大声で、「ソートーなもんじゃー」と云った。傍観者の立場からの批判を表明したのである。運転手は苦笑しながら、なおも、ゆるやかに警笛を鳴らした。乗客の自分も失笑したが、・・・<寺田寅彦「KからQまで」青空文庫>
  19. ・・・そこに若い婦人が人待つふぜいで立っていると、やがて大学生らしいのが来ていっしょになった。このランデヴーのほほえましい一場面も、この金網のたった一つの目の中で進行した。 これといくらか似たことは自分自身や身近いものの些細な不幸が日本全体の・・・<寺田寅彦「自由画稿」青空文庫>
  20. ・・・――このうすよごれた町からほとんど出たことのない三吉は、東京を知らないけれど、それまでの東京からはまだ大学生の田門武雄や、卒業して間がない三輪寿蔵や、赤松克馬や新人会本部の連中がやってきた。彼らはサンジカリズムないしアナルコサンジカリズムの・・・<徳永直「白い道」青空文庫>
  21. ・・・ 小説家春の家おぼろの当世書生気質第十四回には明治十八九年頃の大学生が矢場女を携えて、本郷駒込の草津温泉に浴せんとする時の光景が記述せられて居る。是亦当時の風俗を窺う一端となるであろう。其文に曰く、「草津とし云へば臭気も名も高き、其本元・・・<永井荷風「上野」青空文庫>
  22. ・・・そうだとするとおれがあんな大学生とでも引け目なしにぱりぱり談した。そのおれの力を感じていたのかも知れない。それにおれには鉱夫どもにさえ馬鹿にはされない肩や腕の力がある。あんなひょろひょろした若造にくらべては何と云ってもおみちにはおれのほうが・・・<宮沢賢治「十六日」青空文庫>
  23. ・・・ニュウヨウクで二三遍話したんです。大学生です。」 その青年は少し激昂した風で演説し始めました。「ご質問に対してできるだけ簡単にお答えしようと思います。 人類の食料は動物と植物と約半々だ。そのうち動物を食べないじゃ食料が半分に減る・・・<宮沢賢治「ビジテリアン大祭」青空文庫>
  24. ・・・ それから二三日たって、そのフランドンの豚は、どさりと上から落ちて来た一かたまりのたべ物から、(大学生諸君、意志を鞏固にもち給たべ物の中から、一寸細長い白いもので、さきにみじかい毛を植えた、ごく率直に云うならば、ラクダ印の歯磨楊子、それ・・・<宮沢賢治「フランドン農学校の豚」青空文庫>
  25. ・・・ 青年時代のカールは、生活の自然なよろこびを心おきなく楽しみ、人づきあいも広く、勉強ずきだが、学資はいつの間にやらたりなくなっているという風なところがあったらしい。大学生同士の借金で相当困ったこともあったらしい。父マルクスは、こういう時・・・<宮本百合子「カール・マルクスとその夫人」青空文庫>
  26. ・・・彼が土を掘ってこそいるが、或る精神力のようなものをも持っていて、世界のいろいろな出来事に興味を感じ、その興味を裏づけるに必要な知識を、若い大学生から得たい心持でいるのがよく察せられた。「支那、大分騒いでいるらしいが――どう云うんだっぺえ・・・<宮本百合子「北へ行く」青空文庫>
  27. ・・・僕ァこんなところで……僕ァダダ大学生です!」 声を出して咽び泣いている。「五月蠅え野郎だナ。寝ねえか!」 眼の大きい与太者がドス声でどやしつけている。「ねます! ねますッ。僕ァ……口惜しいです。僕ァ……ウ、ウ、ウ……」 ・・・<宮本百合子「刻々」青空文庫>
  28. ・・・二十五万人の女子大学生と男子大学生にきいてみたい。日本の人民の独立に関する一つの問題としてあれほどみんなが関心をもった大学法案、二十七名の中立的な学者たちが反対署名した非日委員会問題、「南原の線を守る」という表現がある意味では常識となって来・・・<宮本百合子「五〇年代の文学とそこにある問題」青空文庫>
  29. ・・・木曜会で初めて近づきになった赤木桁平、内田百間、林原耕三、松浦嘉一などの諸君は、皆まだ大学生であった。また古顔の連中は、鈴木三重吉のほかは皆一高出であったが、若い大学生では赤木、内田両君が六高、松浦君が八高出であった。だから私はちょうどこの・・・<和辻哲郎「漱石の人物」青空文庫>
  30. ・・・当時まだ二十歳で、初めて大学生になったわたくしなどには、全然事情は解らなかったが、専門の哲学者の間では、あるいは少なくとも一部の哲学者の間では、先生の力量はすでに認められていたのであろう。哲学者の先生に対する態度にしても、少し後のことではあ・・・<和辻哲郎「初めて西田幾多郎の名を聞いたころ」青空文庫>