たい‐こう〔‐カウ〕【対抗】例文一覧 30件

  1. ・・・すなわち、その共棲がまったく両者共通の怨敵たるオオソリテイ――国家というものに対抗するために政略的に行われた結婚であるとしていることである。 それが明白なる誤謬、むしろ明白なる虚偽であることは、ここに詳しく述べるまでもない。我々日本の青・・・<石川啄木「時代閉塞の現状」青空文庫>
  2. ・・・語らぬ恋の力が老死に至るまで一貫しているのは言わずもあれ、かれを師とするもののうちには、師の発展のはかばかしくないのをまどろッこしく思って、その対抗者の方へ裏切りしたものもあれば、また、師の人物が大き過ぎて、悪魔か聖者か分らないため、迷いに・・・<岩野泡鳴「耽溺」青空文庫>
  3. ・・・これに対抗する里見勢もまた相当の数だろうが、ドダイ安房から墨田河原近くの戦線までかなりな道程をいつドウいう風に引牽して来たのやらそれからして一行も書いてない。水軍の策戦は『三国志』の赤壁をソックリそのままに踏襲したので、里見の天海たる丶大や・・・<内田魯庵「八犬伝談余」青空文庫>
  4. ・・・向い側の果物屋は、店の半分が氷店になっているのが強味で氷かけ西瓜で客を呼んだから、自然、蝶子たちは、切身の厚さで対抗しなければならなかった。が、言われなくても種吉の切り方は、すこぶる気前がよかった。一個八十銭の西瓜で十銭の切身何個と胸算用し・・・<織田作之助「夫婦善哉」青空文庫>
  5. ・・・彼は虚無に対抗している。重圧する畏怖の下に、黙々と憐れな人間の意図を衛っている。 一番はしの家はよそから流れて来た浄瑠璃語りの家である。宵のうちはその障子に人影が写り「デデンデン」という三味線の撥音と下手な嗚咽の歌が聞こえて来る。 ・・・<梶井基次郎「温泉」青空文庫>
  6. ・・・この先生の言としては怪むに足らない、もし理窟を言って対抗する積りなら初めからこの家に出入をしないのである。と彼は思い返した。「エ、それともどうしても娘が欲しいと言うのか、コラ!」 校長は一語を発しない。「判然と言え! どうしても・・・<国木田独歩「富岡先生」青空文庫>
  7. ・・・銃や、機関銃や、大砲に対抗するのに、弓や竹槍や、つぶてではかなわない、プロレタリアは、ブルジョアに負けない優秀な武器を自分のものとしなければならない。レーニンは次のように云っている。「武器を取扱い武器を所有することを学ぼうと努力しない被抑圧・・・<黒島伝治「入営する青年たちは何をなすべきか」青空文庫>
  8. ・・・ 資本主義がすさまじい勢力を以て発展して、国際的威力として、プロレタリア階級に迫ってきた時、労働者階級の中から、吾々自身のインタナショナル的な組織体を作って、資本主義に対抗しようとした。それが、国際的労働者団結である。 プロレタリア・・・<黒島伝治「反戦文学論」青空文庫>
  9. ・・・ それは、維新後の当初に於ては、おくれて発達した資本主義国として、既に帝国主義的段階への過渡期に入りつゝあった世界資本主義に対抗するため軍備の力が必要だった。しかし、その軍事的性質は、国民的解放の意義が失われ過ぎ去った後までも存続し、日・・・<黒島伝治「明治の戦争文学」青空文庫>
  10. ・・・(この頃、ジャズ文学というのがあって、これと対抗していたが、これはまた眼がしらが熱くなるどころか、チンプンカンプンであった。可笑 結局私は、生家をあざむき、つまり「戦略」を用いて、お金やら着物やらいろいろのものを送らせて、之を同志とわけ・・・<太宰治「苦悩の年鑑」青空文庫>
  11. ・・・せた小男で、学問も何も無くて、そのくせ豪放絢爛たる建築美術を興して桃山時代の栄華を現出させた人だが、一方はかなり裕福の家から出て、かっぷくも堂々たる美丈夫で、学問も充分、そのひとが草の庵のわびの世界で対抗したのだから面白いのだよ。」「で・・・<太宰治「庭」青空文庫>
  12. ・・・そしてそこで始めて、多数の公開観覧所が卑猥なものやあくどい際物で堕落し切っているのに対して、道徳的なものをもって対抗させる機会を得るだろう。教授用フィルムに簡単な幻燈でも併用すれば、従来はただ言葉の記載で長たらしくやっている地理学などの教授・・・<寺田寅彦「アインシュタインの教育観」青空文庫>
  13. ・・・そしてそれらに対抗して自分の赤裸々の本性を出そうとする際に、従来同君の多く手にかけて来た図案の筆法がややもすれば首を出したくなる。それをも強いて振り落して全く新しい天地を見出そうと勉めているのである。その努力の効果は決して仇でない事は最近の・・・<寺田寅彦「津田青楓君の画と南画の芸術的価値」青空文庫>
  14. ・・・すべての楽器はただ一色の雑音の塊になって、表を走る電車の響きと対抗しているばかりである。でも曲の体裁を知るためと思って我慢して聞いていると、店員が何かぐあいでも直すためか、プラグを勝手に抜いたりまたさしたりするのでせっかくのシンフォニーは無・・・<寺田寅彦「路傍の草」青空文庫>
  15. ・・・しかしその時には自分を始め誰一人霊廟を訪おうというものはなく、桜餅に渋茶を啜りながらの会話は如何にすれば、紅葉派全盛の文壇に対抗することが出来るだろうか。最少し具体的にいえばどうしたら『新小説』と『文芸倶楽部』の編輯者がわれわれの原稿を買う・・・<永井荷風「霊廟」青空文庫>
  16. ・・・その人たちは、市民的自由、学問と言論と思想の自由をファシズムから守るためにはあえて支配権力の政治に対抗する政治力を発揮しました。これは大学法案反対の場合にも見られたことです。自由を守り、ファシズムと奴隷教育に反対する意志の表現は、誰にとって・・・<宮本百合子「新しい抵抗について」青空文庫>
  17. ・・・集団農場・暁が、つい附近の富農の多い村と対抗しつつどんな困難のうちに組織されたか、どんな人間が、どんなやり方で――うすのろの羊飼ワーシカさえどんな熱情で耕作用トラクターを動かそうとしたか、そこには集団農場を支持するかせぬかから夫婦わかれもあ・・・<宮本百合子「新しきシベリアを横切る」青空文庫>
  18. ・・・何故ならイギリスは彼らに対抗する最後の防波堤だからだ」と。フランスやドイツの人民は、今日の壊滅におちいった心理的な原因として、二つの国の間にある、伝統的なさまざまの偏見を、戦争商売人に利用されたのだった。日本の人民が明治二十七八年の戦争以来・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第八巻)」青空文庫>
  19. ・・・個々の作家の才能だけきりはなしてどんなに評価しても、全般にこうむる文化暴圧に対抗するにはなんの力でもなかったことを、まず学んだ。それにつけても、文筆の活動で生計を立ててゆかなければならない私たちの必要は、食うためにはそれもしかたがない、とい・・・<宮本百合子「ある回想から」青空文庫>
  20. ・・・ なるほど、ブルジョア文化も封建時代の文化に対抗して自然科学の力を正面に押し出して闘った初期においては、確かに進歩的な大きな役割を持っていた。封建時代よりは、より広汎な大衆の利害を代表するものとして役立った。然し貴族と僧侶に反抗したブル・・・<宮本百合子「今日の文化の諸問題」青空文庫>
  21. ・・・「帝国主義トファッシズムニ対抗セヨ」赤いプラカート。 戸のしまった種々な研究室が並んでる。が、日本女はモスクワ一大きい鉄道従業員組合のクラブで、今廊下の見学してはいられないんだ。監督を見つけ出さなければならない。今夜の催しのために、彼女・・・<宮本百合子「三月八日は女の日だ」青空文庫>
  22. ・・・ 日本のようについさきごろまで中世的絶対主義が支配していた国、ファシズムに対抗する人民の自主的結集のなかった国柄のところでは、今日、再燃するファシズムとバランス上からも、レフティストの存在は必要である。このことを一般は現実問題として理解・・・<宮本百合子「世紀の「分別」」青空文庫>
  23. ・・・このことは、市場としてのジャーナリズムの上をほとんど独占しているかのように見える、直木三十五などを筆頭とする大衆文学と陸軍新聞班を中心として三上於菟吉などがふりまくファッシズム文学とに対抗してあげられたブルジョア純文学作家たちの気勢であった・・・<宮本百合子「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」青空文庫>
  24. ・・・ 自分は仕合わせに、不正だと思ったことには、どこまでも対抗して行く力を与えられている。その反抗に対して機嫌を損じる者があれば、いくらあっても、自分はちっとも恐ろしくはないと思っていられる。けれども……。彼女はほんとに興奮せずにはいられな・・・<宮本百合子「地は饒なり」青空文庫>
  25. ・・・文学者の力量は文学者として十分生活上の経済的基盤を与えるし、そのことは作家の思想性をも確立させ、強大な出版企業に対抗するだけの社会性を身にそなえたものとして来ているかと思える。 日本の作家の事情は、少くともこれまでは、中途半端であった。・・・<宮本百合子「春桃」青空文庫>
  26. ・・・そしてそれが、自分を女という古い掟で縛りつけ圧服してしまおうとする凡ゆる古い力に対抗し得るたった一つの道だと思った」女としての感情がここへ来るにはアサが単にお下髪の使い屋から苦労してたたき込んだ腕をもっているというだけが理由ではない生活感情・・・<宮本百合子「徳永直の「はたらく人々」」青空文庫>
  27. ・・・一葉は明治の初め、自然主義が起ろうとする頃、それに対抗して活溌な文芸批評などを行っていた森鴎外を先頭とし、若い島崎藤村その他によって紹介されたヨーロッパのロマンティシズムの影響をうけながら、一葉自身がもっていた日本風の昔気質のような気分――・・・<宮本百合子「婦人の創造力」青空文庫>
  28. ・・・職工の多数の意志に対抗する工場主の一人の意志がなくてはならない。工場主は自分の意志で機関を運転させて行くのである。 社会問題にいくら高尚な理論があっても、いくら緻密な研究があっても、己は己の意志で遣る。職工にどれだけのものを与えるかは、・・・<森鴎外「里芋の芽と不動の目」青空文庫>
  29. ・・・ わがザックセン軍団につけられて、秋の演習にゆきし折り、ラアゲウィッツ村のほとりにて、対抗はすでに果てて仮設敵を攻むべき日とはなりぬ。小高き丘の上に、まばらに兵を、ザックセン、マイニンゲンのよつぎの君夫婦、ワイマル、ショオンベルヒの両公・・・<森鴎外「文づかい」青空文庫>
  30. ・・・ナポレオンの爪は彼の強烈な意志のままに暴力を振って対抗した。しかし、田虫には意志がなかった。ナポレオンの爪に猛烈な征服慾があればあるほど、田虫の戦闘力は紫色を呈して強まった。全世界を震撼させたナポレオンの一個の意志は、全力を挙げて、一枚の紙・・・<横光利一「ナポレオンと田虫」青空文庫>