たい‐じ〔‐ヂ〕【退治/対治】例文一覧 30件

  1. ・・・これが泉鏡花の小説だと、任侠欣ぶべき芸者か何かに、退治られる奴だがと思っていた。しかしまた現代の日本橋は、とうてい鏡花の小説のように、動きっこはないとも思っていた。 客は註文を通した後、横柄に煙草をふかし始めた。その姿は見れば見るほど、・・・<芥川竜之介「魚河岸」青空文庫>
  2. ・・・とにかく当分は全力を挙げて蚤退治の工夫をしなければならぬ。……「八月×日 俺は今日マネエジャアの所へ商売のことを話しに行った。するとマネエジャアは話の中にも絶えず鼻を鳴らせている。どうも俺の脚の臭いは長靴の外にも発散するらしい。……・・・<芥川竜之介「馬の脚」青空文庫>
  3. ・・・では今夜もあの晩のように、ここからいそいそ出て行って、勇ましく――批評家に退治されて来給え。<芥川竜之介「葱」青空文庫>
  4. ・・・わたしは片っ端から退治して見せる。主人 ですがあの王様には、三つの宝があるそうです。第一には千里飛ぶ長靴、第二には、――王子 鉄でも切れる剣か? そんな物はわたしも持っている。この長靴を見ろ。この剣を見ろ。この古いマントルを見ろ。黒・・・<芥川竜之介「三つの宝」青空文庫>
  5. ・・・記録に現れたのでは、ホメロスを退治した豪傑が、一番早いようです。」「では今でも相当な文明国ですか。」「勿論です。殊に首府にあるゾイリア大学は、一国の学者の粋を抜いている点で、世界のどの大学にも負けないでしょう。現に、最近、教授連が考・・・<芥川竜之介「MENSURA ZOILI」青空文庫>
  6. ・・・ 魔ものだの、変化だのに、挨拶は変だ、と思ったが、あとで気がつくと、女連は、うわさのある怪しいことに、恐しく怯えていて、陰でも、退治るの、生捉るのとは言い憚ったものらしい。がまあ、この辺にそんなものが居るのかね。……運転手は笑っていたが・・・<泉鏡花「燈明之巻」青空文庫>
  7. ・・・うかは知らないが、私には大の、ご秘蔵――長屋の破軒に、水を飲ませて、芋で飼ったのだから、笑って故との字をつけておく――またよく馴れて、殿様が鷹を据えた格で、掌に置いて、それと見せると、パッと飛んで虫を退治た。また、冬の日のわびしさに、紅椿の・・・<泉鏡花「二、三羽――十二、三羽」青空文庫>
  8. ・・・俺は魔を退治たのだ、村方のために。と言って、いまもって狂っております。―― 旦那、旦那、旦那、提灯が、あれへ、あ、あの、湯どのの橋から、……あ、あ、ああ、旦那、向うから、私が来ます、私とおなじ男が参ります。や、並んで、お艶様が。」 ・・・<泉鏡花「眉かくしの霊」青空文庫>
  9. ・・・「そりゃ何しろとんだ事だ、私は武者修行じゃないのだから、妖怪を退治るという腕節はないかわりに、幸い臆病でないだけは、御用に立って、可いとも! 望みなら一晩看病をして上げよう。ともかくも今のその話を聞いても、その病人を傍へ寝かしても、どう・・・<泉鏡花「湯女の魂」青空文庫>
  10. ・・・ 草花屋から、買ってきた殺虫液の効能書には、あり退治にもきくように記してあったが、なぜか、ありにはきくまいというような感じがしました。はたして、使用して見ると、その日だけは、ありの姿を消すが、あくる日になると、依然として、彼等は、木を上・・・<小川未明「近頃感じたこと」青空文庫>
  11. ・・・あんまり人間をとって食べるので、或る勇士がついに之を退治して、あとの祟りの無いように早速、大明神として祀り込めてうまい具合におさめたという事が、その作陽誌という書物に詳しく書かれているのでございます。いまは、ささやかなお宮ですが、その昔は非・・・<太宰治「黄村先生言行録」青空文庫>
  12. ・・・おのおのが、その身辺の地上で焔えているベトベトした油のかたまりのようなものに蒲団やら、土やらをかぶせて退治して、また一休み。 妹は、あすの私たちの食料を心配して、甲府市から一里半もある山の奥の遠縁の家へ、出発した。私たち親子四人は、一枚・・・<太宰治「薄明」青空文庫>
  13. ・・・植木を植えかえる季節は梅雨時に限るとか、蟻を退治するのには、こうすればよいとか、なかなか博識である。私たちより四十も多く夏に逢い、四十回も多く花見をし、とにかく、四十回も其の余も多くの春と夏と秋と冬とを見て来たのだ。けれども、こと芸術に関し・・・<太宰治「もの思う葦」青空文庫>
  14. ・・・北山の法経堂に現れる怪火の話とか、荒倉山の狸が三つ目入道に化けたのを武士が退治した話とか、「しばてん」と相撲を取る話。「えんこう」(河童を釣る話とかいう種類のものが多かった。一例として「えんこう」の話をとると、夕涼みに江ノ口川の橋の欄干に腰・・・<寺田寅彦「重兵衛さんの一家」青空文庫>
  15. ・・・小栗判官、頼光の大江山鬼退治、阿波の鳴戸、三荘太夫の鋸引き、そういったようなものの陰惨にグロテスクな映画がおびえた空想の闇に浮き上がり、しゃがれ声をふりしぼるからくり師の歌がカンテラのすすとともに乱れ合っていたころの話である。そうして東京み・・・<寺田寅彦「青衣童女像」青空文庫>
  16. ・・・また大江山の酒顛童子の話とよく似た話がシナにもあるそうであるが、またこの話はユリシースのサイクロップス退治の話とよほど似たところがある。のみならずこのシュテンドウシがアラビアから来たマレイ語で「恐ろしき悪魔」という意味の言葉に似てお・・・<寺田寅彦「化け物の進化」青空文庫>
  17. ・・・またある時はのらねこを退治するのだと言って、槍かあるいは槍といっしょに長押にかかっていた袖がらみのようなものかを持ち出して意気込んでいたが、ねこの鳴き声を聞くと同時にそれを投げ出して座敷にかけ上がったというような逸話もあった。 三人の兄・・・<寺田寅彦「亮の追憶」青空文庫>
  18. ・・・乳母も共々、私に向って、狐つき、狐の祟り、狐の人を化す事、伝通院裏の沢蔵稲荷の霊験なぞ、こまごまと話して聞かせるので、私は其頃よく人の云うこっくり様の占いなぞ思合せて、半ばは田崎の勇に組して、一緒に狐退治に行きたいようにも思い、半ばは世にそ・・・<永井荷風「狐」青空文庫>
  19. ・・・気の毒なる者なり、憐む可き者なり、吾々米国婦人は片時も斯る境遇に安んずるを得ず、死を決しても争わざるを得ず、否な日米、国を殊にするも、女性は則ち同胞姉妹なり、吾々は日本姉妹の為めに此怪事を打破して悪魔退治の法を謀る可しとて、切歯慷慨、涙を払・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
  20. ・・・そしておひめ様をさらっていったばけものを退治するんだ。そんなばけものがきっとどこかにあるね。」「うん。あるだろう。けれどもあぶないじゃないか。ばけものは大きいんだよ。ぼくたちなんか、鼻でふきとばされちまうよ。」「ぼくね、いいもの持っ・・・<宮沢賢治「いちょうの実」青空文庫>
  21. ・・・山猫はとうとうつかまって退治された。耳の中にこう云う玉入っていた。」なんてやっていました。そのうちキッコは算術も作文もいちばん図画もうまいので先生は何べんもキッコさんはほんとうにこのごろ勉強のために出来るようになったと云ったのでした。二・・・<宮沢賢治「みじかい木ぺん」青空文庫>
  22. ・・・子供の遊ぶ部屋の前には大きい半分埋まった石、その石をかくすように穂を出した薄、よく鉄砲虫退治に泥をこねたような薬をつけられていた沢山の楓、幾本もの椿、また山桜、青桐が王のように聳えている。畑にだって台所の傍にだって木のないところなど一つもな・・・<宮本百合子「雨と子供」青空文庫>
  23. ・・・ じゃ清正が退治したってのは本当は豚かい?」「これ! 何です、豚かいなんて」「ハハハハ。構わん構わん……清正が退治したのは本物の虎さ。だが虎は朝鮮でもずっと北へ行かないじゃいまいよ」「ふーん」 暫くまた二人の話をきいていたが・・・<宮本百合子「一太と母」青空文庫>
  24. ・・・財閥は決して退治されていない。生計の担当者である彼女たちの一票は少くともそれに反対する人民の意思表示となるべきであると思う。        安達ヶ原 群馬の或るところに恐ろしい人肉事件が起った。また再び詳しく話し返すに堪えな・・・<宮本百合子「女の手帖」青空文庫>
  25. ・・・すなわち、結核に対する人間の新しい態度――より科学的により社会的に、人間を不幸にするこの細菌は退治られなければならないという態度をめやすとしていいと思う。気分や、雰囲気から描かれているばかりでなく。――  「白い激流」    伊東千代子・・・<宮本百合子「『健康会議』創作選評」青空文庫>
  26. ・・・兎に角この一山を退治ることは当分御免を蒙りたいと思って、用箪笥の上へ移したのである。 書いたら長くなったが、これは一秒時間の事である。 隣の間では、本能的掃除の音が歇んで、唐紙が開いた。膳が出た。 木村は根芋の這入っている味噌汁・・・<森鴎外「あそび」青空文庫>
  27. ・・・ そういう工合に、自然主義退治の火が偶然社会主義退治の風であおられると同時に、自然主義の側で禁止せられる出板物の範囲が次第に広がって来て、もう小説ばかりではなくなった。脚本も禁止せられる。抒情詩も禁止せられる。論文も禁止せられる。外国も・・・<森鴎外「沈黙の塔」青空文庫>
  28. ・・・それからどうかすると先生を退治しようとするねえ。Authoritaeten-Stuermerei というのだね。あれは仏を呵し祖を罵るのだね。」 寧国寺さんは羊羹を食べて茶を喫みながら、相変わらず微笑している。       五・・・<森鴎外「独身」青空文庫>
  29. ・・・スバルや三田文学がそろそろ退治られそうな模様である。しかしそれはこの新聞には限らない。生存競争が生物学上の自然の現象なら、これも自然の現象であろう。   八、創作家としての伎倆 少し読んだばかりである。しかし立派な伎倆だと認・・・<森鴎外「夏目漱石論」青空文庫>
  30. ・・・過激思想ももちろんその中に含まれているであろうが、過激思想を退治しようとしている為政者の言行といえどもまたその中に含まれていないのではない。利のために働かず、任務自身のための任務をつくして来た父から見ると、現在の政治家のように利のために動い・・・<和辻哲郎「蝸牛の角」青空文庫>