だい・する【題する】例文一覧 24件

  1.      一 数日前本欄に出た「自己主張の思想としての自然主義」と題する魚住氏の論文は、今日における我々日本の青年の思索的生活の半面――閑却されている半面を比較的明瞭に指摘した点において、注意に値するものであった。け・・・<石川啄木「時代閉塞の現状」青空文庫>
  2. ・・・とにする。豹吉やお加代や亀吉がやがて更生して行くだろう経過、豹吉とお加代、そして雪子との関係、小沢と道子の今後、伊部の起ち直りの如何……その他なお述べるべきことが多いが、しかしそれらはこの「夜光虫」と題する小説とはまたべつの物語を構成するで・・・<織田作之助「夜光虫」青空文庫>
  3. ・・・、なるほど加藤男の彫像に題するには何よりの題目だろう、……男爵は例のごとくそのポケットから幾多の新聞の号外を取り出して、「号外と僕に題するにおいて何かあらんだ。ねえ、中倉さん、ぜひ、その題で僕を、一ツ作ってもらいたい。……こんなふうに読・・・<国木田独歩「号外」青空文庫>
  4. ・・・という海の妖怪などを好んでかく画家の事は、どなたもご存じの事と思う。あの人の画は、それこそ少し青くさくて、決していいものでないけれども、たしか「芸術家」と題する一枚の画があった。それは大海の孤島に緑の葉の繁ったふとい樹木が一本生えていて、そ・・・<太宰治「十五年間」青空文庫>
  5.  フィッシンガー作「踊る線条」と題するよほど変わった映画の試写をするからぜひ見に来ないかとI氏から勧められるままに多少の好奇心に促されて見に行った。プログラムを見ると、第五番「アメリカのフォクストロット」。第八番、デューカー・・・<寺田寅彦「踊る線条」青空文庫>
  6. ・・・とか題する時代劇であった。その中に、数人の浪士が、ちょこちょこと駆けずり回る場面がなんべんとなく繰り返される。なぜああいうふうにぎくしゃくした運動をしなければならないものかと思って見ているうちに、ふいと先刻見た熱帯魚を思い出した。スクリーン・・・<寺田寅彦「試験管」青空文庫>
  7. ・・・とのようにも思われる。     十八 「笑う」と「泣く」と 十余年前に「笑い」と題する随筆を書いたことがあって、その中で、緊張から弛緩に移る際に発生する笑いの現象について若干の素人考えを述べたのであった。今度前項で「泣く」現・・・<寺田寅彦「自由画稿」青空文庫>
  8. ・・・とき自由な気持で読んでくれる読者とちがって自分の一番恐縮するのは小中学の先生で、教科書に採録された拙文に関して詳細な説明を求められる方々である。「常山の花」と題する小品の中にある「相撲取草」とは邦語の学名で何に当るかという質問を受けて困・・・<寺田寅彦「随筆難」青空文庫>
  9. ・・・ クーシューというフランス人は『アジアの詩人と賢人』と題する書物の一節において、およそ世界の中で日本人とアメリカ人と程にちがった国民は先ずないという意味のことを云っている。これには自分も同感であった。しかし事実において服装でも食物でも建・・・<寺田寅彦「チューインガム」青空文庫>
  10. ・・・と日本の自然との関係が各方面の諸家によって詳細に論述されている。読者はそれらの有益な所説を参照されたい。またその巻頭に掲載された和辻哲郎氏の「風土の現象」と題する所説と、それを序編とする同氏の近刊著書「風土」における最も独創的な全機的自然観・・・<寺田寅彦「日本人の自然観」青空文庫>
  11. ・・・ 明治四十二三年の頃鴎外先生は学生時代のむかしを追回せられてヰタセクスアリス及び雁と題する小説二篇を草せられた。雁の篇中に現れ来る人物と其背景とは明治十五六年代のものであろう。先生の大学を卒業せられたのは明治十七年であったので、即春の家・・・<永井荷風「上野」青空文庫>
  12. ・・・ゾラは『田園』と題する興味ある小品によって、近頃の巴里人が都会の直ぐ外なるセエヌ河畔の風景を愛するようになったその来歴を委しく語って、偶然にも自分をして巴里人と江戸の人との風流を比較せしめた。 ゾラの所論によると昔の巴里人は郊外の風景に・・・<永井荷風「夏の町」青空文庫>
  13. ・・・ 歩きながら或日ふと思出したのは、ギヨーム・アポリネールの『坐せる女』と題する小説である。この小説の中に、かつてシャンパンユの平和なる田園に生れて巴里の美術家となった一青年が、爆裂弾のために全村尽く破滅したその故郷に遊び、むかしの静な村・・・<永井荷風「深川の散歩」青空文庫>
  14. ・・・然るにこの度は正宗君が『中央公論』四月号に『永井荷風論』と題する長文を掲載せられた。 わたくしは二家の批評を読んで何事よりもまず感謝の情を禁じ得なかった。これは虚礼の辞ではない。十年前であったなら、さほどまでにうれしいとは思わなかったか・・・<永井荷風「正宗谷崎両氏の批評に答う」青空文庫>
  15. ・・・わたくしはかつて『夏の町』と題する拙稾に明治三十年の頃には両国橋の下流本所御船倉の岸に浮洲があって蘆荻のなお繁茂していたことを述べた。それより凡十年を経て、わたくしは外国から帰って来た当時、橋場の渡のあたりから綾瀬の川口にはむかしのままにな・・・<永井荷風「向嶋」青空文庫>
  16. ・・・という書肆が現代文学全集の第二十二編に僕の旧著若干を採録し、九月の十五六日頃に之を販売した。すると編中には二十年前始て博文館から刊行した「あめりか物語」と題するものが収載せられていたので、之がため僕は九月二十九日の朝、突然博文館から配達証明・・・<永井荷風「申訳」青空文庫>
  17. ・・・アンリイ・ド・レニエエは、近世的都市の喧騒から逃れて路易大王が覇業の跡なるヴェルサイユの旧苑にさまよい、『噴水の都』La Cit des Eaux と題する一巻の詩集を著した。その序詩の末段に、Qu'importe! ce n'es・・・<永井荷風「霊廟」青空文庫>
  18. ・・・とにその見地を改めねば活きた批評はできまい。読者は無論の事、いろいろな種類のものを手に応じて賞翫する趣味を養成せねば損であろう。余は先に「作物の批評」と題する一篇を草して批評すべき条項の複雑なる由を説明した。この篇は写生文を品評するに当って・・・<夏目漱石「写生文」青空文庫>
  19. 一 モーパサンの書いた「二十五日間」と題する小品には、ある温泉場の宿屋へ落ちついて、着物や白シャツを衣装棚へしまおうとする時に、そのひきだしをあけてみたら、中から巻いた紙が出たので、何気なく引き延ばして読むと「私の二十五日」とい・・・<夏目漱石「手紙」青空文庫>
  20. ・・・とも成さず、尽すべきことも尽さなかった。今日、諸君のこの厚意に対して、心窃に忸怩たらざるを得ない。幼時に読んだ英語読本の中に「墓場」と題する一文があり、何の墓を見ても、よき夫、よき妻、よき子と書いてある、悪しき人々は何処に葬られているのであ・・・<西田幾多郎「或教授の退職の辞」青空文庫>
  21. ・・・それから宋江が壁に詩を題する処を聯想した。それも句にならぬので、題詩から離別の宴を聯想した。離筵となると最早唐人ではなくて、日本人の書生が友達を送る処に変った。剣舞を出しても見たが句にならぬ。とかくする内に「海楼に別れを惜む月夜かな」と出来・・・<正岡子規「句合の月」青空文庫>
  22. ・・・と暖だったでしょう! きのうあなたの四月五日づけの手紙をいただき、元気になって仕事をして、ゆうべは十二時頃一旦ねて又おき、その「花のたより」と題する感想を終ろうとしたら、もうベッドに入ってからつる公がやって来て、詩の話や秋声の話やらをしてす・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  23. ・・・作者が漫然と医者の術語を用いて、これに Casuistica と題するのは、花房の冤枉とする所かも知れない。 落架風。花房が父に手伝をしようと云ってから、間のない時の事であった。丁度新年で、門口に羽根を衝いていた、花房の妹の藤子が、きゃ・・・<森鴎外「カズイスチカ」青空文庫>
  24. ・・・竜池は自ら津国名所と題する小冊子を著して印刷せしめ、これを知友に頒った。これは自分の遊の取巻供を名所に見立てたもので、北渓の画が挿んであった。 文政五年に竜池の妻が男子を生んだ。これは摂津国屋の嗣子で、小字を子之助と云った。文政五年は午・・・<森鴎外「細木香以」青空文庫>