たい‐だ【怠惰】例文一覧 23件

  1. ・・・ 共産制度の世界に到達して、生産の豊富から、物資の潤沢をのみ夢むような輩は、尚お、心にブルジョアの、安逸と怠惰の念が抜けきらないからです。私達、真の無産者は、喜びを共にし、苦しみを共にし、永久に、平和な、そして自由な、青空の下に相抱いて・・・<小川未明「民衆芸術の精神」青空文庫>
  2. ・・・而して、考え、感じ、味わんがための怠惰と休息を好み、あきらめ醒めたるものゝ自殺を喜ぶ。 日は暮れた。夕暮の一時は、私に、いろ/\の室の裡にさま/″\の人が、異った気持を抱いて、異ったことを考えているのであろうことを思わせた。・・・<小川未明「夕暮の窓より」青空文庫>
  3. ・・・然しお源には連添てから足掛三年にもなるが未だ磯吉は怠惰者だか働人だか判断が着かんのである。東京女の気まぐれ者にはそれで済でゆくので、三日も四日も仕事を休む、どうかすると十日も休む、けれどサアとなれば人三倍も働くのが宅の磯様だと心得ている、だ・・・<国木田独歩「竹の木戸」青空文庫>
  4. ・・・ 他人の生と労作との成果をただ受容してすまそうとするのは怠惰な態度である。というのは生と労作は危険を賭し、血肉を削ってしかなされないものであって、一冊のすぐれた著書を世に贈り得ることは容易ではないからである。 過度の書物依頼主義にむ・・・<倉田百三「学生と読書」青空文庫>
  5. ・・・お調子もの、またよし。怠惰、よし。変人、よし。化物、よし。古典的秩序へのあこがれやら、訣別やら、何もかも、みんなもらって、ひっくるめて、そのまま歩く。ここに生長がある。ここに発展の路がある。称して浪曼的完成、浪曼的秩序。これは、まったく新し・・・<太宰治「一日の労苦」青空文庫>
  6. ・・・君は、そんな自嘲の言葉で人に甘えて、君自身の怠惰と傲慢をごまかそうとしているだけです。ちょっと地味に見えながらも、君ほど自我の強い男は、めったにありません。おそろしく復讐心の強い男のようにさえ見えます。自分自身を悪い男だ、駄目な男だと言いな・・・<太宰治「風の便り」青空文庫>
  7. ・・・青扇が日頃、へんな自矜の怠惰にふけっているのを真似て、この女も、なにかしら特異な才能のある夫にかしずくことの苦労をそれとなく誇っているのにちがいないと思ったのである。爽快な嘘を吐くものかなと僕は内心おかしかった。けれどこれしきの嘘には僕も負・・・<太宰治「彼は昔の彼ならず」青空文庫>
  8. ・・・彼を絶えず照した怠惰の青い太陽は、天が彼に賦与した才能の半ばを蒸発させ、蚕食した。巴里、若しくは日本高円寺の恐るべき生活の中に往々見出し得るこの種の『半偉人』の中でも、サミュエルは特に『失敗せる傑作』を書く男であった。彼は彼の制作よりも寧ろ・・・<太宰治「虚構の春」青空文庫>
  9. ・・・之をもどかしがり、或いは怠惰と罵り、或いは卑俗と嘲笑するひともあるかも知れないが、しかし、後世に於いて、私たちのこの時代の思潮を探るに当り、所謂「歴史家」の書よりも、私たちのいつも書いているような一個人の片々たる生活描写のほうが、たよりにな・・・<太宰治「苦悩の年鑑」青空文庫>
  10. ・・・「君はそれを怠惰のいい口実にして、学校をよしちゃったんだな。事大主義というんだよ。大地震でも起って、世界がひっくりかえったら、なんて事ばかり夢想している奴なんだね、君は。」私は、多少いい気持でお説教をはじめた。「たった一日だけの不安を、・・・<太宰治「乞食学生」青空文庫>
  11. ・・・なお又、年齢、戦争、歴史観の動揺、怠惰への嫌悪、文学への謙虚、神は在る、などといろいろ挙げる事も出来るであろうが、人の転機の説明は、どうも何だか空々しい。その説明が、ぎりぎりに正確を期したものであっても、それでも必ずどこかに嘘の間隙が匂って・・・<太宰治「東京八景」青空文庫>
  12. ・・・ 自分は、かつて聖書の研究の必要から、ギリシャ語を習いかけ、その異様なよろこびと、麻痺剤をもちいて得たような不自然な自負心を感じて、決して私の怠惰からではなく、その習得を抛棄した覚えがある。あの不健康な、と言っていいくらいの奇妙に空転し・・・<太宰治「如是我聞」青空文庫>
  13. ・・・何もしないさきから、僕は駄目だときめてしまうのは、それあ怠惰だ。」 晩ごはんが済んで、私は生徒たちと、おわかれしました。「大学へはいって、くるしい事が起ったら相談に来給え。作家は、無用の長物かも知れんが、そんな時には、ほんの少しだろ・・・<太宰治「みみずく通信」青空文庫>
  14. ・・・サラリイマンは、また現われて、諦念と怠惰のよさを説く。姉は、母の心配を思え、と愚劣きわまる手紙を寄こす。そろそろと私の狂乱がはじまる。なんでもよい、人のやるなと言うことを計算なく行う。きりきり舞って舞って舞い狂って、はては自殺と入院である。・・・<太宰治「もの思う葦」青空文庫>
  15.  私の数ある悪徳の中で、最も顕著の悪徳は、怠惰である。これは、もう、疑いをいれない。よほどのものである。こと、怠惰に関してだけは、私は、ほんものである。まさか、それを自慢しているわけではない。ほとほと、自分でも呆れている。私・・・<太宰治「懶惰の歌留多」青空文庫>
  16. ・・・永遠に、怠惰に、眠たげに北方の馬市場を夢の中で漂泊いながら。 原田重吉が、ふいに夢の中へ跳び込んで来た。それで彼らのヴィジョンが破れ、悠々たる無限の時間が、非東洋的な現実意識で、俗悪にも不調和に破れてしまった。支那人は馳け廻った。鉄砲や・・・<萩原朔太郎「日清戦争異聞(原田重吉の夢)」青空文庫>
  17. ・・・ 外来ヨークシャイヤでも又黒いバアクシャイヤでも豚は決して自分が魯鈍だとか、怠惰だとかは考えない。最も想像に困難なのは、豚が自分の平らなせなかを、棒でどしゃっとやられたとき何と感ずるかということだ。さあ、日本語だろうか伊太利亜語だろうか・・・<宮沢賢治「フランドン農学校の豚」青空文庫>
  18. ・・・他人から労働を強制され、自分の喜びもなにもなく、暮さなければならないという人々の大きな層があって、その上に、ごく僅かな人たちが働かないで、怠惰に安楽に暮していました。それで、苦しみながら働いている人々が、自ら自分たちの人間らしい権利を求める・・・<宮本百合子「幸福について」青空文庫>
  19. ・・・ 田舎素封家の漫画的鈍重さ、若い軽やかな妻の無内容な怠惰さ、そして職業婦人が或る皮肉をもって裸一貫であることを作者は諷刺しようとしたのかも知れないということは分るけれども、例えば職業婦人がその性格を発揮するのは職場での仕事においてである・・・<宮本百合子「帝展を観ての感想」青空文庫>
  20. ・・・さもなければ生きながら腐ってゆくような倦怠、怠惰、憂鬱とけちくささが、ゴーリキイの人生をとりまいていました。その中から、ゴーリキイがあのように立派に、人間らしくぬけ出て立つことが出来たのは、どういうわけでしたろうか。それは、少年の頃から、ゴ・・・<宮本百合子「マクシム・ゴーリキイについて」青空文庫>
  21. ・・・チェホフが、当時の一部のインテリゲンツィアに対して抱いた憎悪の最大な原因は、彼等の頭脳の怠惰さであった。「彼らは、いつも不平をこぼし、躍気になって何も彼にもを否定します。怠惰な頭脳には、主張することよりも否定する方が容易だからです。」そして・・・<宮本百合子「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」青空文庫>
  22. ・・・要求そのものとしてはいかにもはっきりとしていて、しかもその要求をめぐってゆく心は何となし厚皮していて怠惰だという現代の低い心理を、青年のために悲しむのは私が作家だからばかりではないと思う。 若い女のひとが結婚の相手として、先ず経済上の安・・・<宮本百合子「若い世代の実際性」青空文庫>
  23. ・・・理論的には進歩的に見える男が家庭では封建的な良人であるというようなことも、良人と妻という住み古した伝来の形態の上に腰をおとして怠惰であるからこそのことで、もし愛がいきいきと目をくばって現実の自分の相手を見ているのであったら、たとえば、若い人・・・<宮本百合子「若き世代への恋愛論」青空文庫>