たい‐だん【対談】例文一覧 21件

  1. ・・・これは数年前、故和田雲邨翁が新収稀覯書の展覧を兼ねて少数知人を招宴した時の食卓での対談であった。これが鴎外と款語した最後で、それから後は懸違って一度も会わなかったから、この一場の偶談は殊に感慨が深い。 私が鴎外と最も親しくしたのは小・・・<内田魯庵「鴎外博士の追憶」青空文庫>
  2. ・・・かつ対談数刻に渉ってもかつて倦色を示した事がなく、如何なる人に対しても少しも城府を設けないで、己れの赤心を他人の腹中に置くというような話しぶりは益々人をして心服せしめずには置かなかった。 二葉亭を何といったら宜かろう。小説家型というもの・・・<内田魯庵「二葉亭余談」青空文庫>
  3. ・・・私は、弱い男であるから、酒も呑まずに、まじめに対談していると、三十分くらいで、もう、へとへとになって、卑屈に、おどおどして来て、やりきれない思いをするのである。自由濶達に、意見の開陳など、とてもできないのである。ええとか、はあとか、生返事し・・・<太宰治「酒ぎらい」青空文庫>
  4. ・・・阿蘭陀人を背教者の故をもってか、ずいぶん憎がっているような素振りも見えるので、阿蘭陀人をして直接シロオテと対談させることもならず、奉行たちはたいへん困った。ひとりの奉行は、一策として、法廷のうしろの障子の蔭にふとった阿蘭陀人をひそませて置い・・・<太宰治「地球図」青空文庫>
  5. ・・・はっきり向き直って、おのれのヴァニティと対談してみるがいい。私は、人の虚栄を非難しようとは思っていない。ただ、おのれのヴァニティを鏡にうつしてよく見ろ、というのである。見た、結果はむりに人に語らずともよい。語る必要はない。しかし、いちどは、・・・<太宰治「答案落第」青空文庫>
  6. ・・・人と対談しても、壇上にて憂国の熱弁を振うにしても、また酒の店でひとりで酒を飲んでいる時でも、腕に覚えの無い男は、どこやら落ちつかず、いやらしい眼つきをして、人に不快の念を生じさせ、蔑視せられてしまうものです。文学の場合だって同じ事だ。文学と・・・<太宰治「花吹雪」青空文庫>
  7. ・・・私はいま、とっても面白い小説を書きかけているので、なかば上の空で、対談していました。おゆるし下さい。<太宰治「「晩年」に就いて」青空文庫>
  8. ・・・ 思うに、太宰はあれは小心者だから、ウイスキイでも飲ませて少し元気をつけさせなければ、浮浪者とろくに対談も出来ないに違いないという本社編輯部の好意ある取計らいであったのかも知れませんが、率直に言いますと、そのウイスキイは甚だ奇怪なしろも・・・<太宰治「美男子と煙草」青空文庫>
  9. ・・・一九四九年に、この近代擬装エナメルの色どりはげしいギラギラした流れの勢が、どのように猛烈であったかについて『人間』十二月号の丸山真男・高見順対談の中で、高見順が次のように云っている。「芸術家の方も自重しませんと……。終戦後のわれわれの恥・・・<宮本百合子「五〇年代の文学とそこにある問題」青空文庫>
  10. ・・・吉田首相は去年の秋頃、読売新聞の馬場社長と対談の中で、日本の将来について、先ず「外国人の安住の地に」したいと云う意味の事を話していました。私はその一言がどうしても忘れられません。日本は日本の人民の祖国であり、皆がそこで真面目に働いて、愛する・・・<宮本百合子「今年こそは」青空文庫>
  11. ・・・ 先頃『文芸』にのった作家と作家の文芸対談が、よそめにはそれぞれ見物を予想しての職業的はったりの利かせ合いのようで、文学そのものに役立とうとするつつましい情熱が感じられなかった。対談の作家たちが、もしこの現実の他面では自分たちがどんな貧・・・<宮本百合子「今日の作家と読者」青空文庫>
  12. ・・・大谷尊由に対談して、長谷川「歎異鈔なんか拝読いたしますと『善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや』と書いてありますから、吾々共産党だった者でも努力をすれば救われるでしょうか」という質問を出している。この実例は、文化面においてないがしろにで・・・<宮本百合子「新年号の『文学評論』その他」青空文庫>
  13. ・・・の地球上には世界に比類ない大きい規模で諸芸術を花咲かせ、作家の経済的安定の問題から、住居・健康のことまで具体的な考慮をはらい得る国家が現実に存在していること、そして、そこでは山本有三が松本前警保局長と対談したとは全く異った内容性質で、作家が・・・<宮本百合子「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」青空文庫>
  14. ・・・人民のための文学をつくる、それが社会主義的リアリズムだとシーモノフがいう、わかりきったことで対談が終る。しかしなにか気に残っています。 その気に残っているものが問題なのです。日本で社会主義的リアリズムを取上げましたのは一九三一年の終りか・・・<宮本百合子「一九四六年の文壇」青空文庫>
  15.  日本は誰のものか。八月十四日の読売新聞で、吉田茂、馬場恒吾の対談の大見出しをみてはげしい反問を感じなかったひとは、一人もなかったろう。「日本の進路」について、何よりも先に「外国人の安住地に」と大見出しがつくような話をする一・・・<宮本百合子「日本は誰のものか」青空文庫>
  16. ・・・『週刊朝日』で、高田保氏と対談している幸田文氏は、その意味のことをいっている。自分が女だもんだから女のことは大体わかるのでという風に。 わたしは、偶然、そのところをよんで、何となし考えこんだ。こんにち、ほんとに女のことのわかっているとい・・・<宮本百合子「人間イヴの誕生」青空文庫>
  17. ・・・ 一月一日朝日新聞の第一面に「バンチ湯川両博士対談」がのった。「人類互に理解と尊敬を」もつべきだというテーマの対談で、黒人博士バンチの談話は現実に平和のために働いている人としての具体性が感銘を与えた。ラルフ・バンチ博士はパレスチナ紛争調・・・<宮本百合子「「人間関係方面の成果」」青空文庫>
  18. ・・・丸公値上げについては、都留副長官が、女性改造という婦人雑誌の対談会で、民報の森沢氏からつっこまれて大汗に陳弁している。和田長官はこのメモの中では、まるでそういう事実は勤労者家計に関係ないことででもあるように丸公値上げのことはよけて通ってしま・・・<宮本百合子「ほうき一本」青空文庫>
  19. ・・・四月六日の『読売報知』には、ヒトラー、ムッソリニ礼讚の自著『世界の顔』についての、外人記者との対談で、「武士道は日本精神の精髄で、ナチス精神との間には多分の近似性がある」と、心ある全国民を戦慄させる断言をしている。ヨーロッパ、アメリカの政治・・・<宮本百合子「矛盾とその害毒」青空文庫>
  20. ・・・わたしが深いショックを感じたのは、去年の一月、二人でNHKから民主的文学について対談を放送したことがあったからであった。それから去年の夏、わたしが身体をわるくして東京にいられなかった間に、譲原さんから手紙がきていて、その返事をうちの人が出し・・・<宮本百合子「譲原昌子さんについて」青空文庫>
  21. ・・・感動し、失望し、考えに耽る内なる自己と起った事柄とをしっくり対談させることを知っているようで知らない自分は、考え、考え、頭の上で思索の範囲の拡大を見るのみで、結局内部では実践的に何一つ解決されないということになる。 或る期間の後、私は、・・・<宮本百合子「われを省みる」青空文庫>