たい‐ち【対置】例文一覧 16件

  1. ・・・ 近松になると、もう明瞭に女の女らしさ、男の心に対置されたものとしての女心の独特な波調が、その芸術のなかにとらえられて来ている。よきにつけあしきにつけ主動的であり、積極的である男心に添うて、娘としては親のために、嫁いでは良人のために、老・・・<宮本百合子「新しい船出」青空文庫>
  2. ・・・統一は、図式弁証法への定式化によって、二つの問題を正・反と対置したところから何か固定した形で結論として出てくるのでは決してない。 鈴木清は論文の中で「作品はなるほど組織活動なしにも書き得る。然し問題は別してそれらの創作がプロレタリア文学・・・<宮本百合子「一連の非プロレタリア的作品」青空文庫>
  3. ・・・ もし浅薄に、旧いしきたりに準じて作家と読者というものを形式上対置して、今の読者はものを知らないという風な観かたに止れば宇野浩二のような博識も、畢竟明治大正文学の物識り博士たるに止ってしまう。 先頃『文芸』にのった作家と作家の文芸対・・・<宮本百合子「今日の作家と読者」青空文庫>
  4. ・・・散文精神という言葉はこれらの作家達によって言われているのであるが、ロマンティシズムに対する、又は常套的な詩的精神に対する現実の強調、勇気ある散文の精神を対置している意味は何人にも明かであるとして、現実と作家との関係を方向づけている上述のよう・・・<宮本百合子「今日の文学の鳥瞰図」青空文庫>
  5. ・・・三木氏のヒューマニズム論は、あやまれる客観主義の否定、日本における社会生活と思想の伝統の特徴にふれて、今日のヒューマニズムの性質を明かにしようという努力にもかかわらず、あしき客観主義に対置するヒューマニスティックなものとして「主観性の昂揚」・・・<宮本百合子「今日の文学の展望」青空文庫>
  6. ・・・文学におけるリアリズムもやはり世界史的な拡大のときにあって、従来対置されているロマンティシズムが、その発生の現実にまでさかのぼって捉えられるという意味で、かえってリアリズムとの統一を可能にして行きそうに思われるのである。〔一九四〇年九月・・・<宮本百合子「作家と時代意識」青空文庫>
  7. ・・・ジイドは、自分の立場を確然とこれらの一群と対置しようとした。ソヴェトの偉業にたいする讚歎の情があればこそ、ソヴェトが彼に希望することを許したものがあればこそ強まる彼の批評精神によって「ソヴェトによって実現された事業は十中の八九まで実に称讚に・・・<宮本百合子「ジイドとそのソヴェト旅行記」青空文庫>
  8. ・・・ 文学の文学らしさを求めるこの郷愁は、素材主義的な長篇に対置した希望で短篇小説に眼を向けさせ、岡田三郎の伸六という帰還兵を主人公とする連作短篇なども現れた。また十四年度に著しい現象とされた婦人作家の作品への好意と興味とも、一面ではそこに・・・<宮本百合子「昭和の十四年間」青空文庫>
  9. ・・・横光利一・小林秀雄というような人々の悲惨は、いかに文飾したとしても、自身を、日本の民主的文学の伝統に固定的に対置させた反措定としての存在以上に発展せしめる人間的能力をもっていないという点です。そのために動的な歴史の過程にあっては真実の反措定・・・<宮本百合子「一九四六年の文壇」青空文庫>
  10. ・・・い作品を発表もしたのは一般に高まった文学性への要求と婦人作家たちの共通性である芸術至上の傾向によるものであるとされ、それは、男の作家がこの二三年の世相の推移につれ、その社会性の積極さの故に陥った混乱に対置して、結局は婦人作家の社会性の欠如の・・・<宮本百合子「地の塩文学の塩」青空文庫>
  11. ・・・等いずれも、自然にうち向かって心を傾け物を云いかけ、人か自然か自然か人かというロマンティックな境地にひたって作者は自然を擬人化し、それに対置して「されば、落葉と身をなして、風にふかれて翻」る我身という関係において、謳っているのである。 ・・・<宮本百合子「藤村の文学にうつる自然」青空文庫>
  12. ・・・という二つのものを認識の根柢においては対置させつつ、「文化主義を裏がえしにしたもの」が政治主義的偏向であったとかたづけている。組織活動と創作活動との統一の問題も紙数がたりなかったためか、その問題の提起者であり解決者であるサークル活動の具体性・・・<宮本百合子「文学に関する感想」青空文庫>
  13. ・・・ この二元的な人間性の見かたは、プロレタリア文学にあっては、彼も亦人間であった、という風に闘争的な義務、規律、英雄主義に対置してあらわれ、その人間性の抽象化は非現実な現実の見方とされて来ているのである。所謂文壇人の領域で、人間性について・・・<宮本百合子「文学の大衆化論について」青空文庫>
  14. ・・・当時の急進的学生は、憎むべき徒食階級に対置して「民衆」を観念的に理想化するにとどまり、誰一人実際にパン焼工場の地下室へゴーリキイを訪ねて彼を鼓舞しなければならぬという必要には思いいたらなかったのであった。 ゴーリキイ自身の精神的飢餓と当・・・<宮本百合子「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」青空文庫>
  15. ・・・二人の作者が、社会機構の相互的な関係をぬきにして、東と西とを対置し、白人に黄色人を対置する特徴までも類似している。 ヨーロッパ人を圧倒する中国のこの「微妙なあるもの」の力に最後まで雄々しく闘ったアメリカの性格の典型として、バック夫人は「・・・<宮本百合子「「揚子江」」青空文庫>
  16. ・・・などの中に、いわゆる才気煥発で、美しくもあり、当時にあって外国語の小説などを読む女を、それとは反対に自然に咲いている草花のような従来の娘と対置して描いているのは、注目をひくところである。今日の私たちの心持から見ると、漱石が描いた藤尾にしろ、・・・<宮本百合子「歴史の落穂」青空文庫>