たい‐とう【対等】例文一覧 28件

  1. ・・・李はそれでも、いい話相手を見つけたつもりで、嚢や笥を石段の上に置いたまま、対等な語づかいで、いろいろな話をした。 道士は、無口な方だと見えて、捗々しくは返事もしない。「成程な」とか「さようさ」とか云う度に、歯のない口が、空気を噛むような・・・<芥川竜之介「仙人」青空文庫>
  2. ・・・井侯の薨去当時、井侯の逸聞が伝えられるに方って、文壇の或る新人は井侯が団十郎を愛して常にお伴につれて歩いたというを慊らず思い、団十郎が井侯をお伴にしないまでも切めては対等に交際して侯伯のお伴を栄としない見識があって欲しかったといった。今日の・・・<内田魯庵「四十年前」青空文庫>
  3. ・・・ 翁は漢学者に似気ない開けた人で、才能を認めると年齢を忘れて少しも先輩ぶらずに対等に遇したから、さらぬだに初対面の無礼を悔いていたから早速寒月と同道して露伴を訪問した。老人、君の如き異才を見るの明がなくして意外の失礼をしたと心から深く詫・・・<内田魯庵「露伴の出世咄」青空文庫>
  4. ・・・この要求を致しますのに、わたくしの方で対等以上の利益を有しているとは申されますまい。わたくしも立会人を連れて参りませんから、あなたもお連にならないように希望いたします。ついでながら申しますが、この事件について、前以て問題の男に打明ける必要は・・・<著:オイレンベルクヘルベルト 訳:森鴎外「女の決闘」青空文庫>
  5. ・・・、対米英戦もそんなに負けいくさでは無く、いや、そろそろもう負けいくさになっていたのでしょうが、私たちにはそんな、実体、ですか、真相、ですか、そんなものはわからず、ここ二、三年頑張れば、どうにかこうにか対等の資格で、和睦が出来るくらいに考えて・・・<太宰治「ヴィヨンの妻」青空文庫>
  6. ・・・この要求を致しますのに、わたくしの方で対等以上の利益を有しているとは申されません。わたくしも立会人を連れて参りませんから、あなたもお連れにならないように希望いたします。序でながら申しますが、この事件に就いて、前以て問題の男に打明ける必要は無・・・<太宰治「女の決闘」青空文庫>
  7. ・・・それはとにかくアフリカ映画でこれらのたくさんな動物の群れの中に交じった少数な人間の群れを見ると、アフリカの原野では少なくとも動物も人間も対等の存在であるという感じがする。それをいわゆる文明人が出かけて行って単なる娯楽のためにムザムザ殺すのが・・・<寺田寅彦「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  8. ・・・とは対等のものである。 今もしここに宇宙のエントロピーの量を指示する時計があると想像する。この時計の示す時刻は何を示すかといえば、それは宇宙の老衰の程度を示すものである。エネルギーの全量は不変でも、それはこの時計の進むにつれて墜落し廃頽・・・<寺田寅彦「時の観念とエントロピーならびにプロバビリティ」青空文庫>
  9. ・・・北氷洋に中央アジアに、また太平洋に成層圏に科学的触手を延ばして一方では世界人類の福利のために貢献すると同時に、他方ではまた他の科学国と対等の力をもって科学的な競技場上に相角逐しなければおそらく一国の存在を確保することは不可能になるであろうと・・・<寺田寅彦「北氷洋の氷の割れる音」青空文庫>
  10. ・・・彼に雇われる以上、彼の旦那気質で、おそらく組合のことでも、対等には三吉にしゃべらせないのが眼にみえていたからだった。ほんとに地方はせまかった。一たん浮いてしまったら、土地の勢力と妥協でもしないかぎり、もうからだの置き場所がなくなるのであった・・・<徳永直「白い道」青空文庫>
  11. ・・・ 日高君の説によると、コンラッドは背景として自然を用いたのではない、自然を人間と対等に取扱ったのである、自然の活動が人間の活動と相交渉し、相対立する場合を写した作物である。これを主客顛倒と見るのは始めから自然は客であるべきはずとの僻目か・・・<夏目漱石「コンラッドの描きたる自然について」青空文庫>
  12. ・・・しかも対等だ。 左右は青田である。路は細い。鷺の影が時々闇に差す。「田圃へかかったね」と背中で云った。「どうして解る」と顔を後ろへ振り向けるようにして聞いたら、「だって鷺が鳴くじゃないか」と答えた。 すると鷺がはたして二・・・<夏目漱石「夢十夜」青空文庫>
  13. ・・・左れば今婦人をして婦人に至当なる権利を主張せしめ、以て男女対等の秩序を成すは、旧幕府の門閥制度を廃して立憲政体の明治政府を作りたるが如し。政治に於て此大事を断行しながら人事には断行す可らざるか、我輩は其理由を見るに苦しむものなり。況して其人・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
  14. ・・・す可きは言うまでもなき事にして、両者一心同体、共に苦楽を与にするの契約は、生命を賭して背く可らずと雖も、元来両者の身の有様を言えば、家事経営に内外の別こそあれ、相互に尊卑の階級あるに非ざれば、一切万事対等の心得を以て自から屈す可らず、又他を・・・<福沢諭吉「新女大学」青空文庫>
  15. ・・・けれども、こんにち日本がやっと人民の権利という文字をその中にふくんだ憲法をもつようになり、男女の人間的な対等が理解されて来たとき、四分の一世紀も前にかかれた「伸子」がこれまでになく広汎な各層の読者によまれているという事実は何を語っているだろ・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第六巻)」青空文庫>
  16. ・・・とただし書を添えながら、元来友情は、お互が対等であって互に尊敬し合うことのできる矜持ということが重要な契機であるから、奴隷や暴君が真の友情をもち得ないということの強調としていられるのであった。 今の時代の生活の感情のなかに受けとって味わ・・・<宮本百合子「異性の間の友情」青空文庫>
  17. ・・・或る百貨店で初給が男より十七銭か女の方がやすくて、原則として対等にしていたが二三年後には男の方がぐっと上になってしまう。その店のひとの話では、どうしても男の店員は生活問題が痛切ですから仕事の上に責任も感じますから、とこういう相異を必然として・・・<宮本百合子「女の歴史」青空文庫>
  18. ・・・ヨーロッパにおける諸王と国王との対等に近い関係とはまるで性質がちがっていた。諸大名に対する密偵制度、抑圧制度は実にゆき届いていたから、分別のある諸大名は、世襲の領地を徳川から奪われないために、中傷をさけるための工夫に、自分たちの分別の最も優・・・<宮本百合子「木の芽だち」青空文庫>
  19. ・・・СССРでは女性が市民、勤労者としての権利に於て男性と全く対等である上に、プラス、母として性の擁護を法律によって完全に与えられている。 窓外はまだ零下十五度の厳寒である。凍った雪あかりが室内の白い壁にチラチラしている。 窓枠が少・・・<宮本百合子「子供・子供・子供のモスクワ」青空文庫>
  20. ・・・自分は本当に拘りない心になって千鶴子を迎えることが出来るだろうか。対等の気持では不可能であった。人世の鬼面に脅かされ心の拠りどころを失った若い女性に対するはる子の同情を押しひろめてのみ、千鶴子は容れられる。然し、千鶴子は折々微かでもそのよう・・・<宮本百合子「沈丁花」青空文庫>
  21. ・・・ それから、ソヴェトでは女が生産単位としては全然男と対等な権利を有って、経済的に独立している。生産単位として女が全く男と同じ地位にいるという点で、その余のいろいろなものが、変って来るのは当然のことで、ただ他の国の婦人参政権、あれとソヴェ・・・<宮本百合子「ソヴェト・ロシアの素顔」青空文庫>
  22. ・・・日本の国際感覚には、後進国らしくそして封建くさく、仲間入りさせて貰える、仲間入りするようになった、という要素が案外につよい。対等につき合うことは既定の事実で、それからさき、どうつき合うかが問題であるヨーロッパの国際性とはちがった気分が流れて・・・<宮本百合子「それらの国々でも」青空文庫>
  23. ・・・ アーネストのおとなしい、女を男と対等に扱うしか知らない青年の素直な魅力はアグネスをとらえる。彼と話すこと、遊ぶこと、笑うこと、それ等は十九歳になろうとするアグネスの外見は粗野で傍若無人のような胸の底につよい憧れとなっている美、優雅、恋・・・<宮本百合子「中国に於ける二人のアメリカ婦人」青空文庫>
  24. ・・・もし民法で新しくきめられた婦人の社会的平等、人間らしい対等の権利を具体的なものにするなら、もうきょうの社会のなかで民法の条項が改正されただけでは意味がない。男と女とがその勤労によって生きなければならない労働に関係あるすべての法律で、男女は平・・・<宮本百合子「人間の結婚」青空文庫>
  25. ・・・ 自分は黙って、窓際の長卓子の彼方に坐り、正面から三人を見る位置になった。 対等で、真面目に話し合わず、母は気位を以て亢奮し、Aは涙を出し、父が、誘われたようにして居られる光景は、充分私の心を痛めるものだ。 Aが「斯う云う風・・・<宮本百合子「二つの家を繋ぐ回想」青空文庫>
  26. ・・・ 今、われわれの棲む地球で、男女が社会の生産の単位として対等に見られ、その上ほんものの母性保護によって現実に保護されているのはソヴェト同盟だけだ。 では、そのプロレタリア革命を経験し社会主義の社会を建設しているソヴェト同盟で、婦・・・<宮本百合子「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」青空文庫>
  27. ・・・そして小さい日本が大国と戦争して勝ち、つよくて金のある列強と対等のつき合いをし、応分の植民地分割にあずかるということに国内の現実からは消えた、四民平等の夢をつないだのであった。 事実、戦争がはじめられたとき、日本の人民は、はじめて権力に・・・<宮本百合子「平和への荷役」青空文庫>
  28. ・・・ところが敗戦してポツダム宣言を受諾した時、日本は連合諸国から戦争犯罪国として、対等の国際的自立性を奪われた。私達祖国を愛する者は、この戦争の結果を悲しい心で受取った。そして、或る人々はきっと思ったに違いない。昔から喧嘩両成敗という言葉がある・・・<宮本百合子「私たちの建設」青空文庫>