たい‐ない【体内】例文一覧 18件

  1. ・・・ために体内新たな活動力を得たごとくに思われたのである。 実際の状況はと見れば、僅かに人畜の生命を保ち得たのに過ぎないのであるが、敵の襲撃があくまで深酷を極めているから、自分の反抗心も極度に興奮せぬ訳にゆかないのであろう。どこまでも奮闘せ・・・<伊藤左千夫「水害雑録」青空文庫>
  2. ・・・ 栗本は、ドキリとした瞬間から、急激に体内の細胞が変化しだしたような気がした。彼はもう失うべき何物もなかった。恐るべき何者もなかった。どうせ死へ追いやられるばかりだ。 彼等は丘を下って行った。胸には強暴な思想と感情がいっぱいにな・・・<黒島伝治「氷河」青空文庫>
  3. ・・・ しかし、この時の独歩の体内に流れていた血は、明かに支配階級に属する年少気鋭の忠勇なる士官のそれと異らないものであった。だから彼は、陸兵が敵地にまんまと上陸し得たことを痛快々々! と叫び、「吾れ実に大日本帝国のために万歳を三呼せずんばあ・・・<黒島伝治「明治の戦争文学」青空文庫>
  4. ・・・怒鳴り散らしているうちに、身のたけ一尺のびたような、不思議なちからをさえ体内に感じた。 あまりの剣幕に、とみの唇までが蒼くなり、そっと立ちあがって、「あの。とにかく。弟に。」聞きとれぬほど低くとぎれとぎれに言い、身をひるがえして部屋・・・<太宰治「花燭」青空文庫>
  5. ・・・脚の傷がなおっても、体内に恐水病といういまわしい病気の毒が、あるいは注入されてあるかもしれぬという懸念から、その防毒の注射をしてもらわなければならぬのである。飼い主に談判するなど、その友人の弱気をもってしては、とてもできぬことである。じっと・・・<太宰治「畜犬談」青空文庫>
  6. ・・・命取りの強敵はもう深く体内に侵入しているがそんなことは熊にはわからない。またあわてて駆け出す。わけはわからないが本能的に敵から遠ざかるような方向に駆け出すのである。右の腰部からまっ黒な血がどくどく流れ出して氷盤の上を染める。映画では黒いだけ・・・<寺田寅彦「空想日録」青空文庫>
  7. ・・・ 数分の休息と三片のキャラメルで自分の体内の血液の成分が正常に復したと見えてすっかり元気を取りもどしてひと息に頂上までたどりつくことができた。 頂上にはD研究所のT理学士が天文の観測をするためにもう十数日来テントを張って滞在している・・・<寺田寅彦「小浅間」青空文庫>
  8. ・・・病魔のステッキが体内をあばれ回るのである。 日本で製造して売っている金具付きのステッキはみんな少し使っていると金具がもげたり、はじけたり、へこんだりしてだめである。ここ数年来の経験でこの事実を確かめることができた。もっともステッキに限ら・・・<寺田寅彦「ステッキ」青空文庫>
  9. ・・・ これほどだいじな神経や血管であるから天然の設計に成る動物体内ではこれらの器官が実に巧妙な仕掛けで注意深く保護されているのであるが、一国の神経であり血管である送電線は野天に吹きさらしで風や雪がちょっとばかりつよく触れればすぐに切断するの・・・<寺田寅彦「天災と国防」青空文庫>
  10. ・・・近ごろ流行の言葉を使えば、体内各種のホルモンの分泌のバランスいかんが俳人と歌人とを決定するのではないかという気もする。これはしかるべき生理学者の研究題目になりうるのではないかと思われる。 それはいずれにしても、上述のごとき俳句における作・・・<寺田寅彦「俳句の精神」青空文庫>
  11. ・・・つまり人間の体内に耆婆扁鵲以上の名医が居て、それが場合に応じて極めて微妙な調剤を行って好果を収めるらしいというのである。「それじゃ結局昔の草根木皮を調合した万病の薬が一番合理的ではないか」と聞いたら「まあ、そんなものだね」という返事であった・・・<寺田寅彦「マーカス・ショーとレビュー式教育」青空文庫>
  12. 〔冒頭原稿一枚?なし〕以外の物質は、みなすべて、よくこれを摂取して、脂肪若くは蛋白質となし、その体内に蓄積す。」とこう書いてあったから、農学校の畜産の、助手や又小使などは金石でないものならばどんなものでも片っ端から、持っ・・・<宮沢賢治「フランドン農学校の豚」青空文庫>
  13. ・・・事実黄金色の軽快なアルコオルが体内に流れ込んだのだから、隣の食卓の一組は食堂に来た時より一層若やぎ恍惚として来たらしい。男は今、つれの婦人のむきだしの腕を絶えず優しく撫でさすりながら、低声に顔をさしよせて何か云っている。婦人は、平静に母親ら・・・<宮本百合子「三鞭酒」青空文庫>
  14. ・・・最後にして最大の問題はこの社会的釜から体内に送られる不用なるバイキンを如何にして撲滅するかという点だ。             ○ 薄緑色の壁。紅いシクラメンの鉢の載って居る円卓子がある。窓枠が古いので一月の日光とともに室内を空気が・・・<宮本百合子「一九二九年一月――二月」青空文庫>
  15. ・・・ 破門までうけた王をいただく事は体内を流れて居る貴族の血がゆるさん、と申し居るわ。 叛くなら心のままに叛くがよいのじゃ。 そなた達の軍にせめよせられて自ら喉をつくほどの意くじなしではないのじゃ。あわれなうじ虫共は口惜しまぎれの法・・・<宮本百合子「胚胎(二幕四場)」青空文庫>
  16. ・・・ 空気の清純な田舎に育った青少年は結核菌に対して免疫が体内に出来ていない。生れたままの美しい肉体は病菌には非常にもろい。田舎の子は丈夫だ。田舎暮しからみたら東京の生活は比較にならないほどいい、と云われる言葉は、都会の空気に代々馴れて、結・・・<宮本百合子「若きいのちを」青空文庫>
  17. ・・・六十九歳まで生きた父がもう生き続けていられなくなった生命の不調和は、亡くなる日の午後まで元気とユーモアに充ちていた丸々した体内に震撼的に現れたのであった。 私は一月の半ばごろ面会に来た妹から極く手軽い口調で父が入院したことを知らされた。・・・<宮本百合子「わが父」青空文庫>
  18. ・・・カンフルと食塩とリンゲルが交代に彼女の体内に火を点けた。しかし、もう、彼女は昨日の彼女のようにはならなかった。ただ最後に酸素吸入器だけが、彼女の枕元で、ぶくぶく泡を立てながら必死の活動をし始めた。 彼は妻の上へ蔽い冠さるようにして、吸入・・・<横光利一「花園の思想」青空文庫>