たい‐ふう【台風/×颱風】例文一覧 15件

  1. ・・・ある年、台風の襲ったとき、危うく根こぎになろうとしたのを、あくまで大地にしがみついたため、片枝を折られてしまいました。そして、醜い形となったが、より強く生きるという決心は、それ以来起こったのであります。いまは、もはや、どんなに大きな風が吹い・・・<小川未明「曠野」青空文庫>
  2. ・・・いちばん恐ろしかったのは奄美大島の中の無人の離れ島で台風に襲われたときであった。真夜中に荒波が岸をはい上がってテントの直前数メートルの所まで押し寄せたときは、もうひと波でさらわれるかと思った。そのときの印象がよほど強く深かったと見えて、それ・・・<寺田寅彦「小浅間」青空文庫>
  3. ・・・このように、虐待は繁盛のホルモン、災難は生命の醸母であるとすれば、地震も結構、台風も歓迎、戦争も悪疫も礼賛に値するのかもしれない。 日本の国土などもこの点では相当恵まれているほうかもしれない。うまいぐあいに世界的に有名なタイフーンのいつ・・・<寺田寅彦「災難雑考」青空文庫>
  4. ・・・ある時颱風の話からそのエネルギーの莫大なこと、それをどうにかして人間に有益なように利用するようにしたいというようなことを話したら、大変にそれを面白がった。暴風の害を避けようというのでなくて積極的にそれを利用するというのは愉快だと云って喜んで・・・<寺田寅彦「子規の追憶」青空文庫>
  5. ・・・上昇速度は目測の結果からあとで推算したところでは毎秒五六十メートル、すなわち台風で観測される最大速度と同程度のものであったらしい。 煙の柱の外側の膚はコーリフラワー形に細かい凹凸を刻まれていて内部の擾乱渦動の劇烈なことを示している。そう・・・<寺田寅彦「小爆発二件」青空文庫>
  6.  昭和九年九月十三日頃南洋パラオの南東海上に颱風の卵子らしいものが現われた。それが大体北西の針路を取ってざっと一昼夜に百里程度の速度で進んでいた。十九日の晩ちょうど台湾の東方に達した頃から針路を東北に転じて二十日の朝頃からは・・・<寺田寅彦「颱風雑俎」青空文庫>
  7. ・・・いわゆる颱風なるものが三十年五十年、すなわち日本家屋の保存期限と同じ程度の年数をへだてて襲来するのだったら結果は同様であろう。 夜というものが二十四時間ごとに繰返されるからよいが、約五十年に一度、しかも不定期に突然に夜が廻り合せてくるの・・・<寺田寅彦「津浪と人間」青空文庫>
  8. ・・・ 地震津波台風のごとき西欧文明諸国の多くの国々にも全然無いとは言われないまでも、頻繁にわが国のように劇甚な災禍を及ぼすことははなはだまれであると言ってもよい。わが国のようにこういう災禍の頻繁であるということは一面から見ればわが国の国民性・・・<寺田寅彦「天災と国防」青空文庫>
  9. ・・・時には数百里も遠い大洋のまん中であばれている台風のために起こった波のうねりが、ここらの海岸まで寄せて来て、暴風雨の先ぶれをする事もあります。このような波の進んで行く速さは、波の峰から峰、あるいは谷から谷までの長さいわゆる「波の長さ」の長いほ・・・<寺田寅彦「夏の小半日」青空文庫>
  10. ・・・ 日本における特異の気象現象中でも最も著しいものは台風であろう。これも日本の特殊な地理的位置に付帯した現象である。「野分」「二百十日」こういう言葉も外国人にとっては空虚なただの言葉として響くだけであろう。 気候の次に重要なものは土地・・・<寺田寅彦「日本人の自然観」青空文庫>
  11. ・・・この前後伊豆大島火山が活動していた事が記録されているが、この時ちょうど江戸近くを通った台風のためにぐあいよく大島の空から江戸の空へ運ばれて来て落下したものだという事がわかる。従ってそれから判断してその日の低気圧の進路のおおよその見当・・・<寺田寅彦「化け物の進化」青空文庫>
  12. ・・・例えば二百十日に颱風を聯想させたようなものかもしれない。もっとも二百十日や八朔の前後にわたる季節に、南洋方面から来る颱風がいったん北西に向って後に抛物線形の線路を取って日本を通過する機会の比較的多いのは科学的の事実である。そういう季節の目標・・・<寺田寅彦「厄年と etc.」青空文庫>
  13. ・・・雨春と冬との変りめ生暖い二月の天地を濡し吹きまくる颱風。戸外に雨は車軸をながし海から荒れ狂う風は鳴れど私の小さい六畳の中はそよりともせず。温室の窓のように若々しく汗をかいた硝子戸の此方にはほのかに満開・・・<宮本百合子「海辺小曲(一九二三年二月――)」青空文庫>
  14. ・・・辰野 福田さんの「キティ颱風」だって、現代の馬鹿囃でしょう。獅子 「キティ颱風」でコミュニストが笑われていることに気のつかない見物人がいるのにはビックリしてしまったです。福田 英雄だと思って居りますよ。獅子 そうらしい。・・・<宮本百合子「「下じき」の問題」青空文庫>
  15. ・・・ だが、芸術の本質からいまの文学のゆがみを照し出そうとするその企ての第一着である「キティ颱風」は、自他ともにあれでは駄目なものと考えられ、「芝居というものはあんなものでは困ると思う」と座談会で語られて、その言葉は笑声とともにうけがわれて・・・<宮本百合子「人間性・政治・文学(1)」青空文庫>