たいへい‐よう〔‐ヤウ〕【太平洋】例文一覧 30件

  1. ・・・それから僕等の半町ほど向うに黒ぐろと和んでいた太平洋も。……        六 彼の死んだ知らせを聞いたのはちょうど翌年の旧正月だった。何でも後に聞いた話によれば病院の医者や看護婦たちは旧正月を祝うために夜更けまで歌留多会を・・・<芥川竜之介「彼」青空文庫>
  2. ・・・世界貿易の中心点が太平洋に移ってきて、かつて戈を交えた日露両国の商業的関係が、日本海を斜めに小樽対ウラジオの一線上に集注し来らむとする時、予がはからずもこの小樽の人となって日本一の悪道路を駆け廻る身となったのは、予にとって何という理由なしに・・・<石川啄木「初めて見たる小樽」青空文庫>
  3. ・・・寒く、一条路にも蔭日向で、房州も西向の、館山北条とは事かわり、その裏側なる前原、鴨川、古川、白子、忽戸など、就中、船幽霊の千倉が沖、江見和田などの海岸は、風に向いたる白帆の外には一重の遮るものもない、太平洋の吹通し、人も知ったる荒磯海。・・・<泉鏡花「海異記」青空文庫>
  4. ・・・外国というと、どこでしょうかと考えながら聞きますと、あの広い広い太平洋の波を越えて、そのあちらにある国からきたのだと先生はいわれました。 そのとき、露子は、いうにいわれぬ懐かしい、遠い感じがしまして、このいい音のするオルガンは船に乗って・・・<小川未明「赤い船」青空文庫>
  5. ・・・そして、いま、世界の事情を観考するのに、第二の世界戦争が太平洋を中心として、次第に色濃く、萌しつゝあるが如くです。 それが、いよ/\現実の問題となって、四海が波立つことは、五年の後か、或は十年の後か知らない。しかし、若し、世界が現状のま・・・<小川未明「男の子を見るたびに「戦争」について考えます」青空文庫>
  6. ・・・茫々たる海の極は遠く太平洋の水と連なりて水平線上は雲一つ見えない、また四国地が波の上に鮮やかに見える。すべての眺望が高遠、壮大で、かつ優美である。 一同は寒気を防ぐために盛んに焼火をして猟師を待っているとしばらくしてなの字浦の方からたく・・・<国木田独歩「鹿狩り」青空文庫>
  7. ・・・彼は外房州の「日本で最も早く、最も旺んなる太平洋の日の出」を見つつ育ち、清澄山の山頂で、同じ日の出に向かって、彼の立宗開宣の題目「南無妙法蓮華経」を初めて唱えたのであった。彼は「われ日本の柱とならん」といった。「名のめでたきは日本第一なり、・・・<倉田百三「学生と先哲」青空文庫>
  8. ・・・帝国陸海軍は今八日未明西太平洋において米英軍と戦闘状態に入れり。」 しめ切った雨戸のすきまから、まっくらな私の部屋に、光のさし込むように強くあざやかに聞えた。二度、朗々と繰り返した。それを、じっと聞いているうちに、私の人間は変ってしまっ・・・<太宰治「十二月八日」青空文庫>
  9. ・・・海岸に売店一つなく、太平洋の真中から吹いて来る無垢の潮風がいきなり松林に吹き込んでこぼれ落ちる針葉の雨に山蟻を驚かせていた。 明治三十五年の夏の末頃逗子鎌倉へ遊びに行ったときのスケッチブックが今手許に残っている。いろいろないたずら書きの・・・<寺田寅彦「海水浴」青空文庫>
  10. ・・・たとえば東京で夏の夕方風がなげば、それは南がかった風の反対するような気圧傾度が正常の傾度に干渉している、すなわち太平洋のほうの気圧が比較的低下した、と考えていい場合が多いだろうと思われる。またたとえば広島へんで夏の夕方相当に著しい風が吹けば・・・<寺田寅彦「海陸風と夕なぎ」青空文庫>
  11. ・・・「太平洋爆撃隊」という映画がたいへんな人気を呼んだ。映画というものは、なんでも、われわれがしたくてたまらないが実際はなかなか容易にできないと思うような事をやって見せれば大衆の喝采を博するのだそうである。なるほどこの映画にもそういうところ・・・<寺田寅彦「からすうりの花と蛾」青空文庫>
  12. ・・・「太平洋爆撃隊」という映画が大変な人気を呼んだ。映画というものは、なんでも、吾々がしたくてたまらないが実際はなかなか容易に出来ないと思うような事をやって見せれば大衆の喝采を博するのだそうである。なるほどこの映画にもそういうところがある。・・・<寺田寅彦「烏瓜の花と蛾」青空文庫>
  13. ・・・また、日本海海岸には目立たなくて太平洋岸に顕著な潮汐の現象を表徴する記事もある。 島が生まれるという記事なども、地球物理学的に解釈すると、海底火山の噴出、あるいは地震による海底の隆起によって海中に島が現われあるいは暗礁が露出する現象、あ・・・<寺田寅彦「神話と地球物理学」青空文庫>
  14. ・・・ これらの根本的決定因子を知るには一体どこを捜せばよいかというと、それはおそらく颱風の全勢力を供給する大源泉と思われる北太平洋並びにアジア大陸の大気活動中心における気流大循環系統のかなり明確な知識と、その主要循環系の周囲に随伴する多数の・・・<寺田寅彦「颱風雑俎」青空文庫>
  15.  エジソンの蓄音機の発明が登録されたのは一八七七年でちょうど西南戦争の年であった。太平洋を隔てて起こったこの二つの出来事にはなんの関係もないようなものの、わが国の文化発達の歴史を西洋のと引き合わせてみる時の一つの目標にはなる・・・<寺田寅彦「蓄音機」青空文庫>
  16. ・・・これがもういっそう大仕掛けになって、たとえばアジア大陸と太平洋との間に起こるとそれがいわゆる季節風で、われわれが冬期に受ける北西の風と、夏期の南がかった風になるのです。 茶わんの湯のお話は、すればまだいくらでもありますが、今度はこれくら・・・<寺田寅彦「茶わんの湯」青空文庫>
  17. ・・・地球上層の風は西から東へ吹いており低気圧でも大体西から東へ動くのに、ヤンキー文化が太平洋を逆に西向きに渡って押しよせるのは何故であろうか。日本人はアメリカでは始終排斥され侮辱されていても、それとは無関係に寛大な日本人はアメリカ文化にあくがれ・・・<寺田寅彦「チューインガム」青空文庫>
  18. ・・・「アメリカさ、太平洋の真ン中にあるよ」 フーン、と私は返辞する。地図で習ったことを思いだすが、太平洋がどれくらい広くて、ハワイという島がどれくらい大きいのか想像つかないからだった。「どうして日本に戻ってきたの?」「日本語を勉・・・<徳永直「こんにゃく売り」青空文庫>
  19. ・・・すると、太平洋のタコは白好きで、日本海のタコは赤好きなのか。きっと、ソ連側だからだろう、などと笑いあったが、魚にそれぞれ好みの色のあるのは疑えない。ボラなども、赤いものなら、風船でも、布でも、なんでもよい。これもエサはいらず、赤に寄って来た・・・<火野葦平「ゲテ魚好き」青空文庫>
  20. ・・・いま見ているこの白い海が太平洋なのだ。その向うにアメリカがほんとうにあるのだ。ぼくは何だか変な気がする。海が岬で見えなくなった。松林だ。また見える。次は浅虫だ。石を載せた屋根も見える。何て愉快だろう。      *青森の・・・<宮沢賢治「或る農学生の日誌」青空文庫>
  21. ・・・東京の浅草のまるで濁った寒天のような空気をうまく太平洋の方へさらって行って日本アルプスのいい空気だって代りに持って行ってやるんだ。もし僕がいなかったら病気も湿気もいくらふえるか知れないんだ。ところで今日はお前たちは僕にあうためにばかりここへ・・・<宮沢賢治「風野又三郎」青空文庫>
  22. ・・・その東に、太平洋に弓なりにかかって、わたしたちの祖国日本があります。 けれども、今日アジアの地図の中に見る日本は、わたしたちの心を苦痛でみたします。ソヴェト同盟の国境、朝鮮、満州をふくむ中華人民共和国、ビルマ、シャム、マライ、印度支那、・・・<宮本百合子「新しいアジアのために」青空文庫>
  23. ・・・ 青島も、確に珍しい見物の一つではあろう。太平洋に面した海岸の巖石が、地質の関係で、亀甲形や菊皿のような形に一面並んでいる、先に南洋の檳榔樹、蘭科植物などが繁茂した小島が在る。その巖の特殊な現象と、その小島に限って南洋植物が生育して・・・<宮本百合子「九州の東海岸」青空文庫>
  24. ・・・鵜原は太平洋のナポリと或人が云ったので、令子はその巖と海との月を心に描いて来たのであった。 鵜原で汽車を降り、宿を駅夫に訊いたら、「あの巡査さんが途中まで行くから、一緒に行らっしゃい」 左手に黒々と巖山が聳え、駅を出てそこを歩い・・・<宮本百合子「黒い驢馬と白い山羊」青空文庫>
  25. ・・・しかも三月八日に築地小劇場で日本プロレタリア文化連盟が参加した三・一五記念の汎太平洋プロレタリア文化挨拶週間の催しの一つとして「働く婦人の夕べ」をやった時などは、開会一分で、中止、解散、であった。自分がやっと「今日ここに集っていらっしゃる方・・・<宮本百合子「刻々」青空文庫>
  26. ・・・ 太平洋の上に横たわる細長い小さい島の日本、そこに生まれ、苦しみ、破壊の中から人民の国日本を建設しようとしている婦人大衆の敬慕に満ちた挨拶をおくります。〔一九四七年三月〕<宮本百合子「国際民婦連へのメッセージ」青空文庫>
  27. ・・・をよんでもわかるとおり、「ミッドウェイ洋上、五分間の手遅れが太平洋全海戦の運命を決した」と五分早かったらという調子で、海戦の状況がこまかく専門的に記されていることである。元海軍中将であるこの筆者は、その達筆な戦記のなかにきわめて効果的に自然・・・<宮本百合子「ことの真実」青空文庫>
  28. ・・・日本という一つの島国がアジアに向って太平洋のはじにつらなっているという自然の現象は、日本が人類平和に対して害毒の島とされなければならない宿命を語ることではないのである。 日本の人民そのもののうちに平和を守ろうとしている誠意を信じることが・・・<宮本百合子「この三つのことば」青空文庫>
  29. ・・・ 一方から見ると、誠に当を得たように思われる文化政策なども、軍事教練に反対した汎太平洋婦人平和会議の決議に反対の見解を示している人々の意見とてらし合わせてみて始めて、真意が了解されるというものであろう。 現在われわれが住んでいる社会・・・<宮本百合子「今日の文化の諸問題」青空文庫>
  30. ・・・ こないだ地図見たら太平洋の真中があんまり明きすぎてるからあすこへ一杯国を作ってやろうや。 ね、そうしたら随分面白いだろうなあ。 手足をピンピン振り動かして跳ね廻る程面白がり始めました。 遠くの方をながめながら、・・・<宮本百合子「小さい子供」青空文庫>