たい‐りく【大陸】例文一覧 30件

  1. ・・・劫初以来人の足跡つかぬ白雲落日の山、千古斧入らぬ蓊鬱の大森林、広漠としてロシアの田園を偲ばしむる大原野、魚族群って白く泡立つ無限の海、ああこの大陸的な未開の天地は、いかに雄心勃々たる天下の自由児を動かしたであろう。彼らは皆その住み慣れた祖先・・・<石川啄木「初めて見たる小樽」青空文庫>
  2. ・・・これは、一秒に砂一粒、幾億万年の後には、この大陸を浸し尽そうとする処の水で、いまも、瞬間の後も、咄嗟のさきも、正に然なすべく働いて居るのであるが、自分は余り大陸の一端が浪のために喰欠かれることの疾いのを、心細く感ずるばかりであった。 妙・・・<泉鏡花「星あかり」青空文庫>
  3. ・・・恐らく之は欧洲大陸に類例なき日本の文壇の特有の現象であろう。文人としての今日の欲望は文人同志の本家争いや功名争いでなくて、今猶お文学を理解せざる世間の群集をして文人の権威を認めしむるのが一大事であろう。 二十五年前と比べたら今日の文人は・・・<内田魯庵「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」青空文庫>
  4. ・・・すなわちデンマーク国の欧州大陸に連なる部分にして、その領土の大部分を占むるユトランドの荒漠を化してこれを沃饒の地となさんとの大計画を、彼はすでに彼の胸中に蓄えました。ゆえに戦い敗れて彼の同僚が絶望に圧せられてその故国に帰り来りしときに、ダル・・・<内村鑑三「デンマルク国の話」青空文庫>
  5. 「歩哨に立って大陸の夜空を仰いでいるとゆくりなくも四ッ橋のプラネタリュウムを想いだした……」と戦地の友人から便りがあったので、周章てて四ッ橋畔の電気科学館へ行き六階の劇場ではじめてプラネタリュウムを見た。 感激した。陶酔・・・<織田作之助「星の劇場」青空文庫>
  6. ・・・遠慮のない大陸的なヤケに熱い太陽で、その辺から今にもポッポッと火が出そうに思われた。それで、その高地を崩していた土方は、まるで熱いお湯から飛びだしてきたように汗まみれになり、フラフラになっていた。皆の眼はのぼせて、トロンとして、腐った鰊のよ・・・<小林多喜二「人を殺す犬」青空文庫>
  7. ・・・君は大陸通だ、という評判だ」「大陸通という程でも無いがね、まあ露西亜物は大分集めた」と相川は思出したように、「この節、復たツルゲネエフを読出した。晩年の作で、ホラ、「ヴァジン・ソイル」――あれを会社へ持って行って、暇に披けて見てるが、ネ・・・<島崎藤村「並木」青空文庫>
  8. ・・・汽船の真直ぐに進み行く方向、はるか前方に、幽かに蒼く、大陸の影が見える。私は、いやなものを見たような気がした。見ない振りをした。けれども大陸の影は、たしかに水平線上に薄蒼く見えるのだ。満洲ではないかと思った。まさか、と直ぐに打ち消した。私の・・・<太宰治「佐渡」青空文庫>
  9. ・・・しかしこういう流動に、さらに貨物車の影がレールの上を走るところなどを重出して、結局何かしら莫大な運動量を持ったある物が加速的にその運動量を増加しつつ、あの茫漠たるアジア大陸の荒野の上を次第に南に向かって進んでいるという感じがかなりまで強く打・・・<寺田寅彦「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  10. ・・・ウェーゲナーの「大陸移動論」は下手の小説よりは、たしかに芸術的である。そうしてまた、ある特別な科学国の「国語」の読める人にとっては、アインシュタインの相対性原理の論文でも、ブロイーの波動力学の論文でも、それを読んで一種無上の美しさを感じる人・・・<寺田寅彦「科学と文学」青空文庫>
  11. ・・・しかしグリムの方則のような簡単明瞭なものは大陸で民族の大集団が移動し接触する時には行なわれるとしても、日本のような特殊な地理的関係にある土地で、小さな集団が、いろいろの方面から、幾度となく入り込んだかもしれない所では、この方則はあるにはあっ・・・<寺田寅彦「火山の名について」青空文庫>
  12. ・・・ましてやアフリカ大陸の自然の棲所で撮った河馬の映画となれば猶更のことである。 ある製造工場を見学するにしても、実際の場合は一見雑然とした機械の嵐のように運転する中を案内されて説明を聞いても眼が戸まどいをして視るべき要点を掴まえることが困・・・<寺田寅彦「教育映画について」青空文庫>
  13. ・・・また大陸塊の縁辺のちぎれの上に乗っかって前には深い海溝を控えているおかげで、地震や火山の多いことはまず世界じゅうの大概の地方にひけは取らないつもりである。その上に、冬のモンスーンは火事をあおり、春の不連続線は山火事をたきつけ、夏の山水美はま・・・<寺田寅彦「災難雑考」青空文庫>
  14. ・・・ウェーゲナーの大陸漂移説や、最近ジョリーの提出した、放射能性物質の熱によって地質学的輪廻変化を説明する仮説のごときも、あながち単なる科学的ロマンスとして捨つべきものでないと思われる。今回地震の起因のごときも、これを前記の定説や仮説に照らして・・・<寺田寅彦「地震雑感」青空文庫>
  15. ・・・ウェーゲナーの大陸移動説では大陸大陸、また大陸と島嶼との距離は恒同でなく長い年月の間にはかなり変化するものと考えられる。それで、この国曳きの神話でも、単に無稽な神仙譚ばかりではなくて、何かしらその中に或る事実の胚芽を含んでいるかもしれない・・・<寺田寅彦「神話と地球物理学」青空文庫>
  16. ・・・ 日露戦役の際でも我軍は露兵と戦うばかりでなく、満洲の大陸的な気候と戦わなければならなかった。日本海の海戦では霧のために蒙った損害も少なくなかった。こういう場合に気象学や気候学の知識が如何に貴重であるかは世人のあまり気の付かぬ事である。・・・<寺田寅彦「戦争と気象学」青空文庫>
  17. ・・・ これらの根本的決定因子を知るには一体どこを捜せばよいかというと、それはおそらく颱風の全勢力を供給する大源泉と思われる北太平洋並びにアジア大陸の大気活動中心における気流大循環系統のかなり明確な知識と、その主要循環系の周囲に随伴する多数の・・・<寺田寅彦「颱風雑俎」青空文庫>
  18. ・・・紅海は大陸の裂罅だとしいて思ってみても、眼前の大自然の美しさは増しても減りはしなかった。しかしそう思って連山をながめた時に「地球の大きさ」というものがおぼろげながら実認されるような気がした。四月二十八日 朝六時にスエズに着く。港の片・・・<寺田寅彦「旅日記から(明治四十二年)」青空文庫>
  19.  比較的新しい地質時代に日本とアジア大陸とは陸続きになっていて、象や犀の先祖が大陸からの徒歩旅行の果に、東端の日本の土地に到着し、現在の吾々の住まっているここらあたりをうろついていたということは地質学者の研究によって明らかに・・・<寺田寅彦「短歌の詩形」青空文庫>
  20. ・・・私たちは、はじめはこれはよほど費用をかけて大陸から頼んで来たんだなと思いましたが、あとで聞きましたら、あの有名なスナイダーが私たちの仲間だったんです。スナイダーは、自分のバンド(尤を、そっくりつれてやはり一昨日、ここへ着いたのだそうです。と・・・<宮沢賢治「ビジテリアン大祭」青空文庫>
  21. ・・・日本が地理的に大陸からぐるりを海できりはなされているという偶然の条件を、もうこれ以上人民の歴史の不幸の原因としてはならないと思う。わたしたちの世間知らずのために、種々さまざまのあることないことを外国についてきかされっぱなしで半信半疑でいるこ・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第八巻)」青空文庫>
  22. ・・・ 社会と思想とが大きい波をかぶりつつ経て来た日本のこの数年間の生活の思い出を、あたり前の文学上のもの云いで語らず、こういう鬼や地獄をひき出して描き出すこの作者のポーズ、スタイルというようなものと、今日大陸文学懇談会とかいうところの一つの椅子・・・<宮本百合子「観念性と抒情性」青空文庫>
  23. ・・・フランスの古い国のいろいろな宗教的の重荷とか税の問題とか貿易の問題、生産の問題ということで、自分達がそこでは窮屈で息詰ってしまってたまらないような人達が、勇気をふるって船に乗って、海を渡ってアメリカの大陸に参りまして、そこで初めて自分達が耕・・・<宮本百合子「幸福の建設」青空文庫>
  24. ・・・ とくに、アジア大陸に向って、ひとつらなりの弓のようにはられている島国、日本の人民の運命は、世界平和の要求がたかまるにつれ、アジア大陸の民主勢力が拡大されるにつれ、一層力づよく平和のためにたたかわなければならない立場になりました。 ・・・<宮本百合子「国際婦人デーへのメッセージ」青空文庫>
  25. ・・・農民文学懇話会、大陸文学懇話会、生産文学、都会文学懇話会というものまでも、故小橋市長によってもくろまれた。芥川、池谷、千葉賞のように、故人となった文学者の記念のための文学賞ばかりか、農民文学には有馬賞というのがあり、中河与一氏の尽力によって・・・<宮本百合子「今日の文学と文学賞」青空文庫>
  26. ・・・社会事情の変化と共に大陸を背景として行われている歴史的な行動における人間の記録は、人間の精神と肉体との白熱的な報告として行き詰った文学の世界に新生を与えるであろうという希望もかけられたのであった。 ところが、この希望も単純に満たされるこ・・・<宮本百合子「昭和の十四年間」青空文庫>
  27. ・・・とうたわれた日本は、東も西も大陸からきりはなれていて、弦をはったような狭い日本はファシズムと治安維持法ですき間もなくふさがれていた。大新聞の国際報道さえ制限され、外国の本の輸入は禁じられ、国際的な統計はもとより国内事情の実際を知る統計は禁止・・・<宮本百合子「それらの国々でも」青空文庫>
  28. ・・・ 動坂の上にたって今日東の方を眺めると、坦々たる田端への大通りの彼方にいかにも近代都市らしい大陸橋が見え、右手には道灌山の茂みの前に大成中学校の建物が見える。それにつづいて上野の森がある。 焼けなかった頃の動坂は、こまかい店のびっし・・・<宮本百合子「田端の汽車そのほか」青空文庫>
  29. ・・・ このことは何となし関心にのこることがらであった。 大陸文学ということが云われ、内地の作家が大陸へ行ってものをかく。大陸での見聞を書く。だがそれで大陸の文学であろうか。アメリカの文学、ソヴェトの文学、どれも文体そのものの血肉の中に大・・・<宮本百合子「文学と地方性」青空文庫>
  30. ・・・今度読んで特別心に刻まれたのは、それらのドライサアの作家としての特質が、アメリカという大陸の社会生活の血液循環に何とはっきり養われているかという点についてのおどろきである。 バルザックの作品の深さ大さにふれるとき、私たちは作家バルザック・・・<宮本百合子「文学の大陸的性格について」青空文庫>