たい‐りつ【対立】例文一覧 30件

  1. ・・・そうしてこの結合は、むしろそういう外部的原因からではなく、じつにこの両思想の対立が認められた最初から今日に至るまでの間、両者がともに敵をもたなかったということに原因しているのである。 魚住氏はさらに同じ誤謬から、自然主義者のある人々がか・・・<石川啄木「時代閉塞の現状」青空文庫>
  2. ・・・ イツの時代にも保守と急進とは相対立して互に相反撥し相牽掣する。が、官僚はイツでも保守的であって、放縦危激な民論を控制し調節するが常である。官僚が先へ立って突飛な急進の空気を醸成して民間から反対されたというは滅多に聞かない話であって、伊・・・<内田魯庵「四十年前」青空文庫>
  3. ・・・ 私は、真の敵が、常に対立した、反主義者にばかりあるとは考えない。たとえば社会主義に、対立する真の敵は、もとより資本主義には相違ないが、これあるがために、闘争的意志は強められ、信念は、益々浄化される。しかし、其の間に介在する灰色の階級や・・・<小川未明「芸術は革命的精神に醗酵す」青空文庫>
  4. ・・・この意味において、既成の感情、常識を基礎とする、しかも廃頽的な大人の文学と対立するものでなければなりません。しかるに、指導的立場にあるものゝ無自覚と産業機関の合理化は、新興文学の出現とその発達を拒んでいます。 しかし、このことも、幾千万・・・<小川未明「近頃感じたこと」青空文庫>
  5. ・・・二 その話は別として、先般の反キリスト教同盟というものは、まさに昨年四月から北京に開かれた世界キリスト教青年大会と対立して気勢を挙げたものだ。そうして反キリスト教同盟は「キリスト教は科学の信仰を阻止し、資本主義の手先になって、他・・・<小川未明「反キリスト教運動」青空文庫>
  6. ・・・東京の評家というのは量見がせまいことになるが、東京の感情と大阪の感情の対立が、あの作品を中心として、無意識に争われなかったとは云い切れぬと思う。東京と大阪の感情は、永遠に氷炭相容れざるものと思う。だから、東京中心の今日の文学感情が、織田氏に・・・<織田作之助「東京文壇に与う」青空文庫>
  7. ・・・この二つの対立を考えただけでも既に惨酷でした。私のいら立った気持は段々冷えてゆきました。女の人の造作をとやかく思うのは男らしくないことだと思いました。もっと温かい心で見なければいけないと思いました。然し調和的な気持は永く続きませんでした。一・・・<梶井基次郎「橡の花」青空文庫>
  8. ・・・ 物象的価値の感情と自我価値感情とは対立する。人間には自敬の感情がある。この敬の意識は物の価値、福利とは全く次元を異にする。倫理はこの人格価値感情を究竟の目的とすべきである。物の価値はただこの人格価値の手段としてのみ価値を持つのにすぎぬ・・・<倉田百三「学生と教養」青空文庫>
  9. ・・・ それから、百姓の中には、いまだに、自分が農民であるという観念に強くとらわれて、労働者は彼等と対立するかの如く思いこんでいる者が少くない。農民から立候補した者は、自分の味方であるが、労働者は、自分たちの利益を考えないものであるように思っ・・・<黒島伝治「選挙漫談」青空文庫>
  10. ・・・とか、農村を都市に対立させて、農民は、農民独自の力によって解放され得るが如く考えている無政府主義的な単農主義者等の立場とは、最初の出発からその方向を異にしていた。農民生活を題材としても、その文学のねらう、主要なポイントは、プロレタリア文学が・・・<黒島伝治「農民文学の問題」青空文庫>
  11. ・・・ 自然主義運動に対立して平行線的に進行をつゞけた写生派、余裕派、低徊派等の諸文学については、森鴎外が、軍医総監であったことゝ、後に芥川龍之介が「将軍」を書いている以外、軍事的なものは見あたらない。たゞ、それらの文学と深い関係のある、或る・・・<黒島伝治「明治の戦争文学」青空文庫>
  12. ・・・君と僕が対立的にみられるのは僕にはかえって面白いくらいだ。たとえばポオとレニンが比較されて、ポオがレニンに策士だといって蔭口をきいたといった風なゴシップは愉快だからな。何よりも僕の考えていることは、友人面をしてのさばりたくないことだ。君の手・・・<太宰治「虚構の春」青空文庫>
  13. ・・・もっとも旧約の時代に於いては、サタンは神と対立する強い力としては現われていない。旧約に於いては、サタンは神の一部分でさえあったのである。或る外国の神学者は、旧約以降のサタン思想の進展に就いて、次のように報告している。すなわち、「ユダヤ人は、・・・<太宰治「誰」青空文庫>
  14. ・・・そのころ高等学校では、硬派と軟派と対立していて、軟派の生徒が、時々、硬派の生徒に殴られたものですが、私が、このような大軟派の恰好で街を歩いても、ついに一度も殴られた事がない。忠告された事も無い。さすがの硬派たちも、私のこんな姿に接しては、あ・・・<太宰治「小さいアルバム」青空文庫>
  15. ・・・しかしわれわれのような観賞者の立場からすれば配合調和相生というのも、対立衝突相剋というのも、作者の主観以外には現象としての本質的な差を認めなくても結果においてたいした差はないようである。要は結局エイゼンシュテインが視覚的陪音と呼び、あるいは・・・<寺田寅彦「映画芸術」青空文庫>
  16. ・・・もっとも同じくヤニングスのものであっても相手役にディートリヒとかアンナ・ステンとかがいる場合は必ずしもそうはならないようであるが、この現在の場合における助演者はこのように主演者と対立して二重奏を演ずるためにはあまりに影が薄いようである。・・・<寺田寅彦「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」青空文庫>
  17. ・・・あれのおもしろさも煎じつめて考えてみると、やはり長い直線の大きな曲線的運動と、短い線の短い直線的運動の対立の交錯によって織りだされた「線の踊り」のおもしろみであったような気がする。 舞踊というものをその幾何学的運動学的要素に一度解きほご・・・<寺田寅彦「踊る線条」青空文庫>
  18. ・・・ 日高君の説によると、コンラッドは背景として自然を用いたのではない、自然を人間と対等に取扱ったのである、自然の活動が人間の活動と相交渉し、相対立する場合を写した作物である。これを主客顛倒と見るのは始めから自然は客であるべきはずとの僻目か・・・<夏目漱石「コンラッドの描きたる自然について」青空文庫>
  19. ・・・もっとむずかしい表現法を用いると物我対立と云う事実であります。すなわち世界は我と物との相待の関係で成立していると云う事になる。あなた方も定めてそう思われるでありましょう、私もそう思うております。誰しもそう心得ているのである。それから私が、こ・・・<夏目漱石「文芸の哲学的基礎」青空文庫>
  20. ・・・十八世紀に於ては、未だ一つの歴史的世界に於ての国家と国家との対立と云うまでに至らなかったのである。大まかに云えば、イギリスが海を支配し、フランスが陸を支配したとも云い得るであろう。然るに十九世紀に入っては、ヨーロッパという一つの歴史的世界に・・・<西田幾多郎「世界新秩序の原理」青空文庫>
  21. ・・・スピノザの如くそれ自身によって理解せられるといっても、既に理と事とが二つになる、本質と存在とが対立する。単にそれ自身によって理解せられるものは属性である、実体ではない。無限なる属性の基体としての神は、コンポッシブルの世界の主体、事の世界の主・・・<西田幾多郎「デカルト哲学について」青空文庫>
  22. ・・・とかいふ言葉がないのは不思議であるが、実際ニイチェの思想の中には、多くの矛盾した対立があり、且つ複雑した多要素が混入して居るので、単純にこれを一つの概念でイズムに形態化することができないのである。人々は各ニイチェの多様質の宇宙の中から、夫々・・・<萩原朔太郎「ニイチェに就いての雑感」青空文庫>
  23. ・・・我が人民の智力学芸に欠点あるも、よくこれを容れてその釁に切込むことなく、永く対立の交際をなして、これに甘んずる者か。余輩断じてその然らざるを証す。結局双方の智力たがいに相頡頏するに非ざれば、その交際の権利もまた頡頏すべからざるなり。交際の難・・・<福沢諭吉「学者安心論」青空文庫>
  24. ・・・人類愛という声がやかましく叫ばれるときほど、飢えや寒さや人情の刻薄がひどく、階級の対立は鋭く、非条理は横行します。 わたしは、愛を愛します。ですから、このドロドロのなかに溺れている人間の愛をすくい出したいと思います。 どうしたら、そ・・・<宮本百合子「愛」青空文庫>
  25. ・・・ 昨今のように、一般の社会状勢が息苦しく切迫し、階級対立が最も陰性な形で激化しているような時期に、鬱屈させられている日常生活のせめてもの明るい窓として、溌剌として、新しい恋愛がどことなし人々の心に翹望されていることは感じられる。しかも、・・・<宮本百合子「新しい一夫一婦」青空文庫>
  26. ・・・親と子、世代と世代とが、マルクシズムに対する観念上の対立というようなもので固まってしまうことができないほど、生活問題がじかに迫っているわけです。人民の統一戦線は、うちのなかまで入って来ています。だから若い進歩的な人々は、ただ親を――古い時代・・・<宮本百合子「新しい抵抗について」青空文庫>
  27. ・・・ われわれの問題は、文学と云うものが、此の資本主義を壊滅さすべき武器となるべき筈のものであるか、或いは文学と云うものが、資本主義とマルキシズムとの対立を、一つの現実的事実として眺むべきか、と云う二つの問題である。 更に此の問・・・<横光利一「新感覚派とコンミニズム文学」青空文庫>
  28. ・・・ここではパートの崩壊、積重、綜合の排列情調の動揺若くはその突感の差異分裂の顫動度合の対立的要素から感覚が閃き出し、主観は語られずに感覚となって整頓せられ爆発する。時として感覚派の多くの作品は古き頭脳の評者から「拵えもの」なる貶称を冠せられる・・・<横光利一「新感覚論」青空文庫>
  29. ・・・とを非常にきらう。そうして彼ら自身の感じ方がすでに概念的であることには気づかない。二 私はここで「自然」の語義を限定しておく必要を感ずる。ここに用いる「自然」は「人生」と対立せしめた意味の、あるいは「精神」「文化」などに対立・・・<和辻哲郎「「自然」を深めよ」青空文庫>
  30. ・・・それが明白に異なった様式をもって石垣と門とに対立したとき、石垣や門はいわば額縁の中に入れられた。すなわちそれらは fr sich になった。そこで石垣や門の持っている固有の様式がまた明白に己れ自身を見せ始めたのである。石垣や門の屋根などの持・・・<和辻哲郎「城」青空文庫>