たかり【集り】例文一覧 30件

  1. ・・・―― 磯浜へ上って来て、巌の根松の日蔭に集り、ビイル、煎餅の飲食するのは、羨しくも何ともないでしゅ。娘の白い頤の少しばかり動くのを、甘味そうに、屏風巌に附着いて見ているうちに、運転手の奴が、その巌の端へ来て立って、沖を眺めて、腰に手をつ・・・<泉鏡花「貝の穴に河童の居る事」青空文庫>
  2. ・・・戸数は三十有余にて、住民殆ど四五十なるが、いずれも俗塵を厭いて遯世したるが集りて、悠々閑日月を送るなり。 されば夜となく、昼となく、笛、太鼓、鼓などの、舞囃子の音に和して、謡の声起り、深更時ならぬに琴、琵琶など響微に、金沢の寝耳に達する・・・<泉鏡花「妖僧記」青空文庫>
  3. ・・・その内に人々皆奥へ集りお祖母さんが話し出した。「政夫さん、民子の事については、私共一同誠に申訣がなく、あなたに合せる顔はないのです。あなたに色々御無念な処もありましょうけれど、どうぞ政夫さん、過ぎ去った事と諦めて、御勘弁を願います。あな・・・<伊藤左千夫「野菊の墓」青空文庫>
  4. ・・・は勿論だが、中産以下、プロ階級の女の集まりでもとかくに着物やおつくりの競争場になりがちであるが、その頃のキリスト教婦人は今の普通の婦人は勿論、教会婦人と比べても数段ピューリタニックであって、若い婦人の集りでも喪に包まれたようで色彩に乏しかっ・・・<内田魯庵「三十年前の島田沼南」青空文庫>
  5. ・・・こうした、数々の場合に際会するたびに、深く頭に印象されたものは、貧民を相手とする商売の多くは、弱い者苛めをする吸血漢の寄り集りということでした。 第一質屋がそれであります。合法的に店を張っているには相違ないけれど、苦しい中から、利子を収・・・<小川未明「貧乏線に終始して」青空文庫>
  6. ・・・はじめてのことゆえむろん露払いで、ぱらりぱらりと集りかけた聴衆の前で簾を下したまま語ったが、それでも沢正オ! と声がかかったほどの熱演で、熱演賞として湯呑一個もらった。露払いをすませ、あと汗びしょのまま会の接待役としてこまめに立ち働いたのが・・・<織田作之助「雨」青空文庫>
  7. ・・・これが導火線、類を以て集り、終には酒、歌、軍歌、日本帝国万々歳! そして母と妹との堕落。「国家の干城たる軍人」が悪いのか、母と妹とが悪いのか、今更いうべき問題でもないが、ただ一の動かすべからざる事実あり曰く、娘を持ちし親々は、それが華族でも・・・<国木田独歩「酒中日記」青空文庫>
  8. ・・・   無産政党 いまだに、無産政党とか、労農党とかいうと危険な理窟ばかりを並べたて、遊んで食って行く不良分子の集りとでも思っている百姓がだいぶある。 彼等には、既成政党とか、無産政党とか、云ったゞけでは、それがどういうも・・・<黒島伝治「選挙漫談」青空文庫>
  9.        一 牛乳色の靄が山の麓へ流れ集りだした。 小屋から出た鵝が、があがあ鳴きながら、河ふちへ這って行く。牛の群は吼えずに、荒々しく丘の道を下った。汚れたプラトオクに頭をくるんだ女が鞭を振り上げてあとから・・・<黒島伝治「パルチザン・ウォルコフ」青空文庫>
  10. ・・・が二、三カ所人集りがあった。その輪のどれからか八木節の「アッア――ア――」と尻上りに勘高くひびく唄が太鼓といっしょに聞えてきた。乗合自動車がグジョグジョな雪をはね飛ばしていった。後に「チャップリン黄金狂時代、近日上映」という広告が貼ってあっ・・・<小林多喜二「雪の夜」青空文庫>
  11. ・・・と金太郎はちょっとお力の方を見て、「この九月一日には、私共も集りまして、旦那に、先生に、それから私共夫婦と、四人で記念にビイルなぞを抜きました」「大方そんなことだろうッて、浦和でもお噂していましたよ」とお三輪が言った。「それがです、・・・<島崎藤村「食堂」青空文庫>
  12. ・・・長兄は、もう結婚していて、当時、小さい女の子がひとり生れていましたが、夏休みになると、東京から、A市から、H市から、ほうぼうの学校から、若い叔父や叔母が家へ帰って来て、それが皆一室に集り、おいで東京の叔父さんのとこへ、おいでA叔母さんのとこ・・・<太宰治「兄たち」青空文庫>
  13. ・・・毎日朝から、いろいろ大小の与太者が佐吉さんの家に集ります。佐吉さんは、そんなに見掛けは頑丈でありませんが、それでも喧嘩が強いのでしょうか、みんな佐吉さんに心服しているようでした。私が二階で小説を書いて居ると、下のお店で朝からみんながわあわあ・・・<太宰治「老ハイデルベルヒ」青空文庫>
  14. ・・・次第に財産も殖え、体重も以前の倍ちかくなって、町内の人たちの尊敬も集り、知事、政治家、将軍とも互角の交際をして、六十八歳で大往生いたしました。その葬儀の華やかさは、五年のちまで町内の人たちの語り草になりました。再び、妻はめとらなかったのであ・・・<太宰治「女の決闘」青空文庫>
  15. ・・・ヤコブ、ヨハネ、アンデレ、トマス、痴の集り、ぞろぞろあの人について歩いて、脊筋が寒くなるような、甘ったるいお世辞を申し、天国だなんて馬鹿げたことを夢中で信じて熱狂し、その天国が近づいたなら、あいつらみんな右大臣、左大臣にでもなるつもりなのか・・・<太宰治「駈込み訴え」青空文庫>
  16. ・・・ この団体がここを引上げるという前夜のお別れの集りで色々の余興の催しがあったらしい。大広間からは時々賑やかな朗らかな笑声が聞こえていた。数分間ごとに爆笑と拍手の嵐が起こる。その笑声が大抵三声ずつ約二、三秒の週期で繰返されて、それでぱった・・・<寺田寅彦「高原」青空文庫>
  17.  九月二十四日、日曜日、空よく晴れて暑からず寒からず。数学の宿題も午前の中に片付けたれば午後半日は思うまま遊ぶべしと定まれば昼飯待遠し。今日は彼岸にや本堂に人数多集りて和尚の称名の声いつもよりは高らかなるなど寺の内も今日は何・・・<寺田寅彦「半日ある記」青空文庫>
  18. ・・・したがって、始めての事でもあるしこれほど御集りになった諸君の御厚意に対してもなるべく御満足の行くように、十分面白い講演をして帰りたいのは山々であるけれども、しかしあまり大勢お出になったから――と云って、けっしてつまらぬ演説をわざわざしような・・・<夏目漱石「文芸と道徳」青空文庫>
  19. ・・・ひとり私塾においては、遠近の人相集り、その交際ただ読書の一事のみにて他に関係なければ、たがいにその貴賤貧富を論ずるにいとまあらず。ゆえに富貴は貧賤の情実を知り、貧賤は富貴の挙動を目撃し、上下混同、情意相通じ、文化を下流の人に及ぼすべし。その・・・<福沢諭吉「学校の説」青空文庫>
  20.  去年の春、我が慶応義塾を開きしに、有志の輩、四方より集り、数月を出でずして、塾舎百余人の定員すでに満ちて、今年初夏のころよりは、通いに来学せんとする人までも、講堂の狭きゆえをもって断りおれり。よってこのたびはまた、社中申合・・・<福沢諭吉「慶応義塾新議」青空文庫>
  21. ・・・こいねがわくは吾が党の士、千里笈を担うてここに集り、才を育し智を養い、進退必ず礼を守り、交際必ず誼を重じ、もって他日世になす者あらば、また国家のために小補なきにあらず。かつまた、後来この挙に傚い、ますますその結構を大にし、ますますその会社を・・・<福沢諭吉「慶応義塾の記」青空文庫>
  22. ・・・またすぐ眼の下のまちまでがやっぱりぼんやりしたたくさんの星の集りか一つの大きなけむりかのように見えるように思いました。六、銀河ステーション そしてジョバンニはすぐうしろの天気輪の柱がいつかぼんやりした三角標の形になって、しば・・・<宮沢賢治「銀河鉄道の夜」青空文庫>
  23. ・・・音楽を専門にやっているぼくらがあの金沓鍛冶だの砂糖屋の丁稚なんかの寄り集りに負けてしまったらいったいわれわれの面目はどうなるんだ。おいゴーシュ君。君には困るんだがなあ。表情ということがまるでできてない。怒るも喜ぶも感情というものがさっぱり出・・・<宮沢賢治「セロ弾きのゴーシュ」青空文庫>
  24. ・・・みんなもまわりに集りました。穂吉はどうしたのか折られた脚をぷるぷる云わせその眼は白く閉じたのです。お父さんの梟は高く叫びました。「穂吉、しっかりするんだよ。今お説教がはじまるから。」 穂吉はパチッと眼をひらきました。それから少し起き・・・<宮沢賢治「二十六夜」青空文庫>
  25. ・・・是等諸氏はみな信者諸氏と同じく、各自の主義主張の為に、世界各地より集り来った真理の友である。恐らく諸氏の論難は、最痛烈辛辣なものであろう。その愈々鋭利なるほど、愈々公明に我等はこれに答えんと欲する。これ大祭開式の辞、最後糟粕の部分である。祭・・・<宮沢賢治「ビジテリアン大祭」青空文庫>
  26. ・・・ 最後に会ったのは、壺井栄さんの『暦』の出版のおよろこびの集りの時であった。短い間であったが心持よく世間話をした。そのときの小熊さんは、特徴ある髪も顔立ちも昔のままながら、相手と自分との間の空気から自分の動きを感じとろうとしてゆくような・・・<宮本百合子「旭川から」青空文庫>
  27. ・・・けれどもそれが行われないから婦人画家たちだけの集りや催しがもたれて行くことになる。そして日本の社会としての弱点は大変のろいテンポでしか克服されない。 婦人の実力がまだ低いから、社会的に経済的に、また政治的に平等であることは早すぎるという・・・<宮本百合子「明日をつくる力」青空文庫>
  28. ・・・ 非常に肉の薄い細く分れた若葉の集り。 一つ一つの葉が皆薄小豆色をして居て、ホッサリと、たわむ様にかたまった表面には、雨に濡れた鈍銀色と淡い淡い紫が漂って居る。 細い葉先に漸々とまって居る小さい水玉の光り。 葉の重り重りの作・・・<宮本百合子「雨が降って居る」青空文庫>
  29. ・・・日本婦人協力会というような、戦争協力者の集りのような婦人団体は、せめて彼女らが女性であるという本然の立場に立って、時間と金とを、そのような母と子とのために現実性のある功献に向けるべきであると、警告すべきであった。日本婦人協力会には、検事局の・・・<宮本百合子「石を投ぐるもの」青空文庫>
  30. ・・・いわば、その零のごとき空虚な事実を信じて誰も集り祝っているこの山上の小会は、いまこうして花のような美しさとなり咲いているのかもしれない。そう思っても、梶は不満でもなければ、むなしい感じも起らなかった。「日ぐらしや主客に見えし葛の花」と、・・・<横光利一「微笑」青空文庫>