たか‐わらい〔‐わらひ〕【高笑い】例文一覧 20件

  1. ・・・ そんなことをおおげさに言いだして父は高笑いをした。監督も懐旧の情を催すらしく、人のいい微笑を口のはたに浮かべて、「ほんとにそうでした」 と気のなさそうな合槌を打っていた。 そのうちに夜はいいかげん更けてしまった。監督が膳を・・・<有島武郎「親子」青空文庫>
  2. ・・・他愛のない夢から一足飛びにこの恐ろしい現実に呼びさまされた彼れの心は、最初に彼れの顔を高笑いにくずそうとしたが、すぐ次ぎの瞬間に、彼れの顔の筋肉を一度気にひきしめてしまった。彼れは顔中の血が一時に頭の中に飛び退いたように思った。仁右衛門は酔・・・<有島武郎「カインの末裔」青空文庫>
  3. ・・・ 寝しずまった町並を、張りのある男声の合唱が鳴りひびくと、無頓着な無恥な高笑いがそれに続いた。あの青年たちはもう立止る頃だとクララが思うと、その通りに彼らは突然阪の中途で足をとめた。互に何か探し合っているようだったが、やがて彼ら・・・<有島武郎「クララの出家」青空文庫>
  4. ・・・隣のお袋と満蔵とはどんなおもしろい話をしてかしきりに高笑いをする。清さんはチンチンと手鼻をかんでちょこちょこ歩きをする。おとよさんは不興な顔をして横目に見るのである。 今年の稲の出来は三、四年以来の作だ。三十俵つけ一まちにまとまった田に・・・<伊藤左千夫「隣の嫁」青空文庫>
  5. ・・・民子はこの日はいつになく高笑いをし元気よく遊んだ。何と云っても母の方は直ぐ話が解るけれど、嫂が間がな隙がな種々なことを言うので、とうとう僕の帰らない内に民子を市川へ帰したとの話であった。お増は長い話を終るや否やすぐ家へ帰った。 なるほど・・・<伊藤左千夫「野菊の墓」青空文庫>
  6. ・・・沼南の傍若無人の高笑いや夫人のヒッヒッと擽ぐられるような笑いが余り耳触りになるので、「百姓、静かにしろ」と罵声を浴びせ掛けられた。 数年前物故した細川風谷の親父の統計院幹事の細川広世が死んだ時、九段の坂上で偶然その葬列に邂逅わした。その・・・<内田魯庵「三十年前の島田沼南」青空文庫>
  7. ・・・大工とか左官とかそういった連中が溪のなかで不可思議な酒盛りをしていて、その高笑いがワッハッハ、ワッハッハときこえて来るような気のすることがある。心が捩じ切れそうになる。するとそのとたん、道の行手にパッと一箇の電燈が見える。闇はそこで終わった・・・<梶井基次郎「闇の絵巻」青空文庫>
  8. ・・・うっかり高笑いもできなくなった。作品を、精神修養の教科書として取り扱われたのでは、たまったものじゃない。猥雑なことを語っていても、その話手がまじめな顔をしていると、まじめな顔をしているから、それは、まじめな話である。笑いながら厳粛のことを語・・・<太宰治「一歩前進二歩退却」青空文庫>
  9. ・・・ わあっはっはっ、と無気味妖怪の高笑いのこして立ち去り、おそらくは、生れ落ちてこのかた、この検事局に於ける大ポオズだけを練習して来たような老いぼれ、清水不住魚、と絹地にしたため、あわれこの潔癖、ばんざいだのうと陣笠、むやみ矢鱈に手を握り合っ・・・<太宰治「創生記」青空文庫>
  10. ・・・ 私はひとくせありげに高笑いした。酔ぱらう心の不思議を、私はそのときはじめて体験したのである。        五 たかがウイスキイ一杯で、こんなにだらしなく酔ぱらったことについては、私はいまでも恥かしく思っている。その日・・・<太宰治「断崖の錯覚」青空文庫>
  11. ・・・丹羽文雄氏が、放蕩はしてもよそへ子供は拵えない、何しろ子供にはかなわないからね、というようなことを、その常套性と旧い態度とに対して揶揄的高笑いをうける気づかいなしに、二十歳前後の若い女の座談会で云っていられる状態なのである。『文芸』十月・・・<宮本百合子「鴎外・漱石・藤村など」青空文庫>
  12. ・・・男の熱しきった心は、見すかすように高笑いされた事やら□□(見て居た娘の燃えて居た事やらを思ってジッとして居られないほど大声で叫びたいほど波打って居た。 頭は火の様にほてって体はブルブル身ぶるいの出るのをジッとこらえて男は立ち上る拍子にわ・・・<宮本百合子「お女郎蜘蛛」青空文庫>
  13. ・・・という小説は、戦場の野蛮さと非人間さが、現代の理性とヒューマニティーを片はじから喰いころしてゆく、暴力の血なまぐさい高笑いを描いた作品であった。榕子の言葉は、こんにち、こんどは美貌の女の唇をとおして日本の中で、語られる極めてインヒューマンな・・・<宮本百合子「傷だらけの足」青空文庫>
  14. ・・・ 主任は小気味よさそうに高笑いしている。自分はそのこまかく折目のついた新聞を手にとり、同志川口浩、徳永、橋本、貴司などが引致されたというところを繰かえして読み、これらの人々の闘争を、身近に感じるのであった。 大会が持たれたという事は・・・<宮本百合子「刻々」青空文庫>
  15. ・・・とを知りぬいているので――最もよい場合を知り、わるい場合を目撃しつつあるので――仲人をやることは大役すぎます。寧ろいやね。紹介をしてあげるのがせきの山です。そう話した。そしたら「そりゃそうだね」と高笑いをして居た。嬉しいときの高笑いは本当に・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  16. ・・・ 雲は紫に赤にみどりにその帳をかかげて乾坤の間に高笑いする大火輪を見守った。 天もやがてはその火輪に下って来られる也土も皆驚異の目を見はって大きく生れて小さく育ち大きくなっていずこにかもり行く輝きのたまを見た。 金の衣を着、黄金・・・<宮本百合子「小鳥の如き我は」青空文庫>
  17. ・・・ 常盤の君はわきに居る人をはばかる様子もなく兄君ばかりを相手にしてしゃべっては高笑いして居る。「人もなげな様子をして居る人だ。人にすかれない人にかぎって斯うだから、世の中は不思議だ」まだ年若なくせに光君はもう年よったようにこんな世間なれ・・・<宮本百合子「錦木」青空文庫>
  18. ・・・自分達お互いがよく生きようとする希望、お互いに信頼してはっきりと生きて行こうという希望、新しい文学の明るい面、ナンセンスではない明るさ、馬鹿笑いでない高笑い、愉快な足どり、一つの希望に結びつけて来る努力、その努力を尊重する気持、前進する気持・・・<宮本百合子「婦人の創造力」青空文庫>
  19. ・・・そして神経的なまとまりのない高笑いをした。 もう男にすれきった女のする様な大胆な凝視を、男の瞳の中になげ込んで男の心の奥の奥までを見ぬきたい様な、片手でつかまえて片手でつきとばしてやりたい様な気持になった。「一寸の間しずかに落ついて・・・<宮本百合子「芽生」青空文庫>
  20. ・・・毛皮の襟からでている唇をうごかして彼女たちは番兵の理解せぬ言葉をしゃべり、黒ずくめの女の方が高笑いをした。 番兵は銃をゆすりあげ、さらに女たちの後姿をみまもった。街の平ったい建物のみとおし。後から取りつけたに違いないバルコニーが一つ無意・・・<宮本百合子「モスクワ印象記」青空文庫>