た‐さい【多彩】例文一覧 21件

  1. ・・・全く、私にとって多彩なる自然界に対する、感歎をさらに深からしめたものです。それは別として、子供が、せみを捕るのを知って、だまっていられませんでした。 私は、子供に、彼の偉大なるダーウィンが生きた虫を殺そうとせず、死骸をさがしてきて、標本・・・<小川未明「近頃感じたこと」青空文庫>
  2. ・・・ただ、常陸山、梅ヶ谷、大砲、朝潮、逆鉾とこの五力士のそれぞれの濃厚な独自な個性の対立がいかにも当時の大相撲を多彩なものにしていたことだけは間違いない事実であった。それぞれの特色ある音色をもった楽器の交響楽を思わせるものがあった。皮膚の色まで・・・<寺田寅彦「相撲」青空文庫>
  3. ・・・地球上どこでも同じ相貌を呈しているものとしたら、日本の自然も外国の自然も同じであるはずであって、従って上記のごとき問題の内容吟味は不必要であるが、しかし実際には自然の相貌が至るところむしろ驚くべき多様多彩の変化を示していて、ひと口に自然と言・・・<寺田寅彦「日本人の自然観」青空文庫>
  4. ・・・ それはとにかく、暑い国の夏の夕凪は、その肉体的効果から見ればたしかに、ベート・ノアルであるが、しかしそれが季節的自然現象であるだけにかなりに多彩な詩的題材を豊富に包蔵していることも事実である。 夕凪は夏の日の正常な天気のときにのみ・・・<寺田寅彦「夕凪と夕風」青空文庫>
  5. ・・・トルストイは偉大であり、ドストイェフスキーの世界は五月の嵐のように多彩強烈である。けれども彼等は革命を理解しなかった。歴史のある時期におこる飛躍と質の変換を理解しなかった。彼等の人間性一般は階級のバネをもっていない。 見事なルイ十六世式・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第九巻)」青空文庫>
  6. ・・・人間一個の価値を、最大に、最高に、最も多彩に美しく歴史のうちに発揮せよ。小林多喜二の文学者としての生涯は、日本の最悪の条件のなかにあって猶且つ、そのように生き貫いた典型の一つである。〔一九四六年三月〕・・・<宮本百合子「今日の生命」青空文庫>
  7. ・・・ この年六月十八日にマクシム・ゴーリキイがその多彩多産な六十八年の生涯をモスクで終ったことは、世界に少なからぬ感動をつたえた。ゴーリキイをしてしかく人類的な光彩ある活動と、才能の満開とを可能ならしめた社会の文化的条件を想い、翻ってその招・・・<宮本百合子「今日の文学の展望」青空文庫>
  8. ・・・ナポリの、多彩な、陽気な、歌ずきで騒々しい、花と景物にあふれた市場の賑いを描くとき、私どもは決して、ノールウェイの荒涼としたフョールドを描写する感情で描写することはできない。そしてまた、フョールドばかりを眺めて育った人がナポリに来てうける感・・・<宮本百合子「自然描写における社会性について」青空文庫>
  9. ・・・のスローガンの社会的実践によって導き出されて来た新しい労働者農民作家群の輩出、社会主義建設がすすむにつれて顕著なインテリゲンチア作家の階級的移行、有能な新幹部の多種多彩な文学的活動と、より広汎な人民層のプロレタリア化の可能性を、より高い見地・・・<宮本百合子「社会主義リアリズムの問題について」青空文庫>
  10. ・・・ヒューマニズムという言葉をきいた時、誰の胸にも浮ぶのはヨーロッパ文化に於ける文芸復興時代のヒューマニズムの多彩な開花であろう。ルネッサンスは中世の思想と社会が人間に強制していた種々の軛からの人間性の解放を叫んで、社会文化の各方面に驚くべき躍・・・<宮本百合子「昭和の十四年間」青空文庫>
  11. ・・・私たちの頃は、自然が体も心も多彩にひろがろう、触れよう、知ろうという欲望に燃え立たせているのに、周囲の習慣はなかなかそれだけのびのびしていなくて、いつも鬱屈するものがあった。今のひとは、いざとなると同じ埒で阻まれながら、表面の浅い日常では一・・・<宮本百合子「青春」青空文庫>
  12. ・・・その意味では昨今の地球の呻きは人間ぽさに咽せるばかりであるわけだが、文学が、人と人とのいきさつとして益々多彩にその姿をつかまず、却って生物的な面へ人間を単純化して、現代の禍福をも語ろうとする傾向を一方に生じていることは私たちを深く考えさせる・・・<宮本百合子「生態の流行」青空文庫>
  13. ・・・ 雁金のかわりに、こけつまろびつしつつも、結局は行動性のチャムピオンであるそのような人物が試験管に投げこまれれば、久内はもっと沸騰し、上下に反転し、煙を立て、作者の知的追求に対しておびただしい多彩な醗酵の過程を示さざるを得なかったに違い・・・<宮本百合子「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」青空文庫>
  14. ・・・一八八三年、六十五歳の時脊髄癌を病ってパリで死ぬまで、ツルゲーネフは有名な農奴解放時代の前後、略三十年に亙るロシアの多難多彩な社会生活と歴史の推進力によって生み出される先進的な男女のタイプとを、世界的に知られている小説「猟人日記」、「ルージ・・・<宮本百合子「ツルゲーネフの生きかた」青空文庫>
  15. ・・・ 母の一生は女ながらいかにも活々と、多彩に、明治八年頃から今日に至る略六十年の間に日本の中流の経験した経済的な条件、精神的な推移の歴史を反映している。母はめずらしく強烈な性格の女性であり、人間としての規模も小さくなかった。母の属した・・・<宮本百合子「母」青空文庫>
  16.         前書 一九三六年六月十八日。マクシム・ゴーリキイの豊富にして多彩な一生が終った。恰度ソヴェト同盟の新しい憲法草案が公表されて一週間ほど後のことであった。ゴーリキイはこの新憲法草案の公表によって引き起さ・・・<宮本百合子「マクシム・ゴーリキイの伝記」青空文庫>
  17.  一九三六年六月十八日。マクシム・ゴーリキイの豊富にして多彩な一生が終った。ちょうどソヴェト同盟の新しい憲法草案が公表されて一週間ほど後のことであった。ゴーリキイはこの新憲法草案の公表によって引き起されたソヴェト同盟内のよろ・・・<宮本百合子「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」青空文庫>
  18. ・・・――この時代の仲のよい稼ぎ仲間とのほこりっぽい、だが多彩な生活の思い出を後年ゴーリキイは長篇小説「三人」のうちにいきいきと描いている。 八歳になると、ゴーリキイの「人々の中」での生活がはじまった。祖父は彼を靴屋の小僧にやった。熱湯でやけ・・・<宮本百合子「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」青空文庫>
  19. ・・・それぞれの理論がそれぞれの階級的蓄積と天稟とにしたがって、民主主義文学運動に貢献してゆくいとぐちは多種多彩であってこそ自然である。けれども、どういう門から入ろうと、それが葛のからんだ小門からであろうと、粗石がただ一つころがされた目じるしの門・・・<宮本百合子「両輪」青空文庫>
  20. ・・・ 日露戦争前後の日本の社会、文化の水準とヨーロッパのそれとは驚くべきへだたりがあったから、この時代、相当の年齢と感受性とをもって、現実生活の各面に、自分の呼吸して来た潤沢多彩なヨーロッパ文化とにわか普請の日本のせわしない姿とを対照して感・・・<宮本百合子「歴史の落穂」青空文庫>
  21. ・・・人間の感能がこのように微妙に組織されており、機能がしかく精密であるということには、それにふさわしく複雑で、多彩で、弾力にとんだ精神の活動の可能が示されているのである。恋愛のように人間の総和的な力の発動を刺戟する場合、今日の私たちは自分たちの・・・<宮本百合子「若き世代への恋愛論」青空文庫>