だ‐さく【駄作】例文一覧 12件

  1. ・・・弟妹たちと映画を見にいって、これは駄作だ、愚劣だと言いながら、その映画のさむらいの義理人情にまいって、まず、まっさきに泣いてしまうのは、いつも、この長兄である。それにきまっていた。映画館を出てからは、急に尊大に、むっと不気嫌になって、みちみ・・・<太宰治「愛と美について」青空文庫>
  2. ・・・では、この選集の巻数がいくら多くなってもかまわぬ、なるべく、井伏さんの作品の全部を収録してみたい、そんな考えでいたのであるが、井伏さんはそれに頑固に反対なさって、巻数が、どんなに少くなってもかまわぬ、駄作はこの選集から絶対に排除しなければな・・・<太宰治「『井伏鱒二選集』後記」青空文庫>
  3. ・・・傑作も駄作もありやしません。人がいいと言えば、よくなるし、悪いと言えば、悪くなるんです。ちょうど吐くいきと、引くいきみたいなものなんです。おそろしいのはね、この世の中の、どこかに神がいる、という事なんです。いるんでしょうね?」「え?」・・・<太宰治「ヴィヨンの妻」青空文庫>
  4. ・・・生きているのと同じ速度で、あせらず怠らず、絶えず仕事をすすめていなければならぬ。駄作だの傑作だの凡作だのというのは、後の人が各々の好みできめる事です。作家が後もどりして、その評定に参加している図は、奇妙なものです。作家は、平気で歩いて居れば・・・<太宰治「風の便り」青空文庫>
  5. ・・・弟妹たちと映画を見にいって、これは駄作だ、愚作だと言いながら、その映画のさむらいの義理人情にまいって、まず、まっさきに泣いてしまうのは、いつも、この長兄である。それにきまっていた。映画館を出てからは、急に尊大に、むっと不機嫌になって、みちみ・・・<太宰治「ろまん燈籠」青空文庫>
  6. ・・・あるいは駄作になるかも知れぬ。しかしこれがために統一論の価値がなくなったのではない。その価値がモジフハイされたのであると思う。だからこの条件を充たした劇を見ればやはりそれなりに面白い。その代り沙翁の劇を賞翫する態度でかかってはならぬ。読者の・・・<夏目漱石「作物の批評」青空文庫>
  7. ・・・映画でも駄作ほど恋愛一点張りになるのであるが、このことも、映画が今日の文化の中でもっている社会性を反映しているといえると思う。〔一九三七年八月〕<宮本百合子「映画の恋愛」青空文庫>
  8. ・・・――和歌や俳句の夥しい駄作で、こうも陳腐化されなかった太古の。―― 今、若葉照りの彼方から聞えて来るその声は、私に、八月頃深い山路で耳にする藪鶯の響を思い出させた。板谷峠の奥に、大きい谿川が流れて居る。飛沫をあげて水の流れ下る巖角に裾を・・・<宮本百合子「木蔭の椽」青空文庫>
  9. ・・・しかし、何か見たいので本郷座へ行って、下らぬ漫画を見て、下らぬ映画はかくも下らぬ。駄作小説の如しと感じて林町へ行きました。父はしっかりしているし、がんばりなのに、そして若々しいのにびっくりし、私は自分の思いやりが常識的であるのを感じた次第で・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  10. ・・・秀作も駄作も大きさで先ず観衆を瞠目せしめる風であった。今年は、それがいずれも余り大きい作品がなくなって来ている。大家連が筆頭で小品風なものを、小品風な筆致で描いて、その範囲での貫録を示すかのように新進の画家たちとは別にまとめて一室に飾られて・・・<宮本百合子「帝展を観ての感想」青空文庫>
  11. ・・・ 同志小林多喜二の作品で全くの駄作というようなものは殆どなかった。よしんば或る作品において間違いがあったとしても同志小林多喜二にあっては、決して日和見主義や引こみ思案や「作家主義」から出たことはない。きっとそれは今まで欠けていた新しい闘・・・<宮本百合子「同志小林多喜二の業績」青空文庫>
  12. ・・・親としての作家と、作家としての作家と、区別はないようであるけれども、駄作を承認する襟度に一層の自信を持つようになったのは、親としての作家が混合して来た結果である場合によることが多いと思われる。人間が行動するとき、子のあるものと子のないものと・・・<横光利一「作家の生活」青空文庫>