た‐すう【多数】例文一覧 30件

  1. ・・・大多数は何時か教えられたように、円いと一図に信じているのに過ぎない。なぜ円いかと問いつめて見れば、上愚は総理大臣から下愚は腰弁に至る迄、説明の出来ないことは事実である。 次ぎにもう一つ例を挙げれば、今人は誰も古人のように幽霊の実在を信ず・・・<芥川竜之介「侏儒の言葉」青空文庫>
  2. ・・・ 彼らは民衆を基礎として最後の革命を起こしたと称しているけれども、ロシアにおける民衆の大多数なる農民は、その恩恵から除外され、もしくはその恩恵に対して風馬牛であるか、敵意を持ってさえいるように報告されている。真個の第四階級から発しない思・・・<有島武郎「宣言一つ」青空文庫>
  3. ・・・それを知りたいと望む多数の人の一人として私もそれから多分の示唆を受けうるであろうから。 従来の言説においては私の個性の内的衝動にほとんどすべての重点をおいて物をいっていた。各自が自己をこの上なく愛し、それを真の自由と尊貴とに導き行くべき・・・<有島武郎「想片」青空文庫>
  4. ・・・またすべての青年の権利たる教育がその一部分――富有なる父兄をもった一部分だけの特権となり、さらにそれが無法なる試験制度のためにさらにまた約三分の一だけに限られている事実や、国民の最大多数の食事を制限している高率の租税の費途なども目撃している・・・<石川啄木「時代閉塞の現状」青空文庫>
  5. ・・・一風変った画を描くのは誰にも知られていたが、極彩色の土佐画や花やかな四条派やあるいは溌墨淋漓たる南宗画でなければ気に入らなかった当時の大多数の美術愛好者には大津絵風の椿岳の泥画は余り喜ばれなかった。椿岳の画を愛好する少数好事家ですらが丁度朝・・・<内田魯庵「淡島椿岳」青空文庫>
  6. ・・・何人に配ったか知らぬが、僅に数回の面識しかない浅い交際の私の許へまで遣したのを見るとかなり多数の知人に配ったらしいが、新聞社を他へ譲渡すの止むを得ない事情を縷々と訴えたかなり長い手紙を印刷もせず代筆でもなく一々自筆で認めて何十通も配ったのは・・・<内田魯庵「三十年前の島田沼南」青空文庫>
  7. ・・・ こんなことから、男は、多数の生徒らに向かって、昔、南のある町を歩いているときに、子供を助けたこと、それから、その子供といっしょに働いたこと、子供は、どんな鳥でも自分の友だちにすることができたこと、この鳥は、その青年が分れるときにくれて・・・<小川未明「あほう鳥の鳴く日」青空文庫>
  8. ・・・ これは、一面に、読者層の中心がこれまで知識階級であり、その批判もまた知識階級によってなされたがためであるが、今日の批判は、多数の無知識階級であり、そのためには、彼等に分り易く書かなければならぬというのであります。 多くの大衆作家が・・・<小川未明「作家としての問題」青空文庫>
  9. ・・・ ついで、彼は全国の支店、直営店へ、肺病相談所の看板を揚げさせると同時に、全快写真を提供した支店、直営店に対しては、美人一人あたり二百円、多数の医師に治療を受けたる者二百円、普通百円の割にて報酬を与える旨、通告した。…… これだ・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  10. ・・・円とは……何だッたけナ……円とは無限に多数なる正多角形とか何とか言ッたッけ。」と、真面目である。「馬鹿!」「何んで?」「大馬鹿!」「君よりは少しばかり多智な積りでいたが。」「僕の聞いたのは其円じゃアないんだ。縁だ。」・・・<国木田独歩「恋を恋する人」青空文庫>
  11. ・・・拾ったとか、失ったとか、落したとかいう事は多数の児童を集めていることゆえ常に有り勝で怪むに足ないのが、今突然この訴えに接して、自分はドキリ胸にこたえた。「貴所が気をつけんから落したのだ、待ておいで、今岩崎を呼ぶから」と言ったのは全然これ・・・<国木田独歩「酒中日記」青空文庫>
  12. ・・・そればかりでなくミルや、シヂウィックや、英国経験学派の系統を引く功利主義の倫理学はほとんどことごとく「最大多数の最大幸福」を社会理想として実現せんとする、多かれ少なかれ、社会改良運動の実践と結びついたものであり、現実のイギリス社会に影響する・・・<倉田百三「学生と教養」青空文庫>
  13. ・・・ しかもまた大衆を仏子として尊ぶの故に、彼らに単に「最大多数の最大幸福」の功利的満足を与えんとはせずに、常に彼らを高め、導き、精神的法悦と文化的向上とに生きる高貴なる人格たらんことをすすめ、かくて理想的共同体を――究竟には聖衆倶会の地上・・・<倉田百三「学生と先哲」青空文庫>
  14. ・・・戦争は不愉快で、戦争のために、多数の人間が生命を落さなければならない。そこで、戦争に反対している。 プロレタリアートは、戦争に反対する、その反対の仕方に於て、一般的な態度はとらない。吾々は一般的に、戦争に反対するのではない。或る場合には・・・<黒島伝治「反戦文学論」青空文庫>
  15. ・・・ところが書画骨董に心を寄せたり手を出したりする者の大多数はこの連中で、仕方がないからこの連中の内で聡明でもあり善良でもある輩は、高級骨董の素晴らしい物に手を掛けたくない事はないが、それは雲に梯の及ばぬ恋路みたようなものだから、やはり自分らの・・・<幸田露伴「骨董」青空文庫>
  16. ・・・直線は一種直線ぎりだが、曲線はいろいろの度を無窮の多数に有している、有則曲線、無則曲線、実に人間には分らないほど色々の曲線がある。たとえば有則の曲線の場合でいおうか。ここに仮定した二点があるとして、二点を貫く曲線をブンマワシで書て見玉え、ま・・・<幸田露伴「ねじくり博士」青空文庫>
  17. ・・・ なるほど、天下多数の人は、死を恐怖しているようである。しかし、彼らとても、死のまぬがれぬのを知らぬのではない。死をさけられるだろうとも思っていない。おそらくは、彼らのなかに一人でも、永遠の命はおろか、大隈伯のように、百二十五歳まで生き・・・<幸徳秋水「死刑の前」青空文庫>
  18. ・・・この思い切った宣伝が廉価出版の気勢を添えて、最初の計画ではせいぜい二三万のものだろうと言われていたのが、いよいよ蓋をあけて見るとその十倍もの意外に多数な読者がつくことになった。 思いもよらない収入のある話と私が言ったのは、この大量生産の・・・<島崎藤村「分配」青空文庫>
  19. ・・・ところが、そこも、やがて、ぐるりと火の手につつまれ、多くの荷物へどんどんもえ移って来て、とうとう、三万二千という多数の人が、すっかり黒こげになってしまいました。 その群がりかさなってたおれた人の一ばん下になっていたために、からくもたすか・・・<鈴木三重吉「大震火災記」青空文庫>
  20. ・・・お気になさらず、もらって下さい、とお願いして、先生も、よし、それでは、不自然でなかったら言ってみます、ほかの多数の人からずいぶん強く推されて居るのだから、不自然のこともなかろう、との御言葉いただき、帰途、感慨、胸にあふれるものございました。・・・<太宰治「創生記」青空文庫>
  21. ・・・けれどこの三箇の釜はとうていこの多数の兵士に夕飯を分配することができぬので、その大部分は白米を飯盒にもらって、各自に飯を作るべく野に散った。やがて野のところどころに高粱の火が幾つとなく燃された。 家屋の彼方では、徹夜して戦場に送るべき弾・・・<田山花袋「一兵卒」青空文庫>
  22. ・・・これについては世界中の信用のある学者の最大多数が裏書をしている。仕事が科学上の事であるだけにその成果は極めて鮮明であり、従ってそれを仕遂げた人の科学者としてのえらさもまたそれだけはっきりしている。 レニンの仕事は科学でないだけに、その人・・・<寺田寅彦「アインシュタイン」青空文庫>
  23. ・・・音響を聞きて何らの感をも起さざる多数の人我説をきかば笑うべし。されど世に理窟をも感ぜず思想をも感ぜず詩歌をも感ぜず美術をも感ぜざるものあらば、そは正にこの輩なる事を忘るるなかれ。彼らの頭脳の組織は麁そこうにして覚り鈍き事その源因たるは疑うべ・・・<夏目漱石「カーライル博物館」青空文庫>
  24. ・・・概して文化の程度が低く、原始民族のタブーと迷信に包まれているこの地方には、実際色々な伝説や口碑があり、今でもなお多数の人々は、真面目に信じているのである、現に私の宿の女中や、近所の村から湯治に来ている人たちは、一種の恐怖と嫌悪の感情とで、私・・・<萩原朔太郎「猫町」青空文庫>
  25. ・・・左れば広き世の中には随分悪婦人も少なからず、其挙動を見聞して厭う可き者あれども、男性女性相互に比較したらんには、人非人は必ず男子の方に多数なる可し。此辺より見れば我輩は女大学よりも寧ろ男大学の必要を感ずる者なり。 婦人に七去と言う離縁の・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
  26. ・・・これは多数の女のために極めて不幸な事でございます。そしてわたくしはその不幸を身に受けなくてはならぬ一人でございます。 誰やらの書いた本に、「幸福なる夫婦は極めて稀なり」と云う文句がございました。作者の名をつい忘れましたが、きっと田舎にい・・・<著:プレヴォーマルセル 訳:森鴎外「田舎」青空文庫>
  27. ・・・諸君、吾人は内外多数の迫害に耐えて、今日迄ビジテリアン同情派の主張を維持して来た。然もこれ未だ社会的に無力なる、各個人個人に於てである。然るに今日は既にビジテリアン同情派の堅き結束を見、その光輝ある八面体の結晶とも云うべきビジテリアン大祭を・・・<宮沢賢治「ビジテリアン大祭」青空文庫>
  28. ・・・ 一、民主的な社会で、大切なのは多数の人々の意見であり、多数の人々が自分の意見を出し合って、その結論を互に出発したところよりは高く豊富で合理的なところに育ててゆくのが大事な特長です。 一、輿論というと、むずかしく思えるけれども、誰で・・・<宮本百合子「朝の話」青空文庫>
  29. ・・・政治は多数を相手にした為事である。それだから政治をするには、今でも多数を動かしている宗教に重きを置かなくてはならない。ドイツは内治の上では、全く宗教を異にしている北と南とを擣きくるめて、人心の帰嚮を繰って行かなくてはならないし、外交の上でも・・・<森鴎外「かのように」青空文庫>
  30. ・・・大多数の人々を共通に動かし得る物は、今の所、センチメンタリズムのほかにないだろう。 誤解を恐れるな。ただ真実の道を歩め。九 怒りをもって怒りを鎮める事はできない。主我心をもって主我心を砕く事もできない。それをなし得るのは・・・<和辻哲郎「生きること作ること」青空文庫>