たち‐かえ・る〔‐かへる〕【立(ち)返る/立(ち)帰る】例文一覧 2件

  1. ・・・と背後むきに、戸棚へ立った時は、目を圧えた手を離して、すらりとなったが、半紙を抽出して、立返る頭髪も量そうに褄さきの運びとともに、またうなだれて、堪兼ねた涙が、白く咲いた山茶花に霜の白粉の溶けるばかり、はらはらと落つるのを、うっかり紙にうけ・・・<泉鏡花「みさごの鮨」青空文庫>
  2. ・・・よく見覚えのある深川座の幟がたった一本淋し気に、昔の通り、横町の曲角に立っていたので、自分は道路の新しく取広げられたのをも殆んど気付かず、心は全く十年前のなつかしい昔に立返る事が出来た。 つい名を忘れてしまった。思い出せない――一条の板・・・<永井荷風「深川の唄」青空文庫>