だっ‐ぴ【脱皮】例文一覧 13件

  1. ・・・家黒焼屋の津田黒焼舗と一切黒焼屋の高津黒焼惣本家鳥屋市兵衛本舗の二軒が隣合せに並んでいて、どちらが元祖かちょっとわからぬが、とにかくどちらもいもりをはじめとして、虎足、縞蛇、ばい、蠑螺、山蟹、猪肝、蝉脱皮、泥亀頭、手、牛歯、蓮根、茄子、桃、・・・<織田作之助「大阪発見」青空文庫>
  2. ・・・へとへとになるまで続けると、何か脱皮に似た爽やかさが感ぜられ、これだと思ったとたんに、やはりあのトカトントンが聞えるのです。あのトカトントンの音は、虚無の情熱をさえ打ち倒します。 もう、この頃では、あのトカトントンが、いよいよ頻繁に聞え・・・<太宰治「トカトントン」青空文庫>
  3. ・・・そして、やがて友情が芽生え、その友情はあらゆる真摯な人間関係がそうであるとおり、互の成長の足どりにつれて幾変転し、試され試し、幾度か脱皮してその人々の人生へもたらされて来るのである。 境遇が同じようだというだけでは、まだ真の友情の生れる・・・<宮本百合子「異性の間の友情」青空文庫>
  4. ・・・ 或る作家たちがこの三四年来の波瀾の間で、脱皮しようと焦慮した動きは、果してより強勁な現実のみかたを持とうとする方向をとっていただろうか。今日、声々をあげて変るということについて語られているうちに、おのおのの作家精神のコムプレックスの成・・・<宮本百合子「今日の文学の諸相」青空文庫>
  5. ・・・互いの関係から云えば、主婦たちが迅速に計画的にそういう方策を立てて行動してゆく実際の力によって商人の従来の商人気質も脱皮されて行く訳だろう。 家庭購買組合も見たところ大きい規範で経営されてはいるけれど、各戸を実際にまわっている実務員が報・・・<宮本百合子「主婦意識の転換」青空文庫>
  6. ・・・香厳の精神転換、或は脱皮をうらやむ一郎の心理に一筋の光明を托して、一篇の終りとしているのである。 漱石の女性観は、いわば「吾輩は猫である」の中にはっきり方向を示していると思う。オタンチン・パレオロガスというユーモラスな表現が女の知性の暗・・・<宮本百合子「漱石の「行人」について」青空文庫>
  7. ・・・一作毎にそこから脱皮してゆく足どりをしめさず、むしろ書きすぎたのは何故でしょう。もちろんそれはこの作家の生長過程で書ききる必然があったでしょう。しかし一方に、ジャーナリズムの要求がその作家の経済的必要に答えるということもありましょう。乱作で・・・<宮本百合子「討論に即しての感想」青空文庫>
  8. ・・・の方針が実現された時、この初期的な現象は、最も健康な脱皮で清算されるわけだ。 労農通信員を含む大衆は、どこにいるか。工場にいる。農村にいる。再びスローガンを。  ┌────────────────────┐  │文学運動の基礎を・・・<宮本百合子「文芸時評」青空文庫>
  9. ・・・そこによりたやすい血路を求めて、真の骨身を削る煩悶とそこからの脱皮とを経ないですました文学的な諸因子が、国民文学の提唱にあたって、果して、新しい文学の実体としての国民の生活諸々相をリアルななりに作品の世界に把握し再現してゆき得るものであろう・・・<宮本百合子「平坦ならぬ道」青空文庫>
  10. ・・・ 更に、従来日本の文芸映画或は芸術映画につきまとっていた作品の気分的な効果を狙ってのまとめかたというものが、今日及び明日において、どのように脱皮されて行くだろうかということも考えられる。現実の一断面を作品にするとき、或る気分で貫いてまと・・・<宮本百合子「観る人・観せられる人」青空文庫>
  11. ・・・ レークジョージの机の上で、かげろうが脱皮した。 五来素川氏の大観に出された「社会革命の将来と国民の覚悟」を読む。失望に近い程度に於て雑駁なものだ。なかに、 仏国の「瑠璃の浜辺」にある辟寒地で、二万人を入れるカジノの中に・・・<宮本百合子「無題(二)」青空文庫>
  12. ・・・ 明治以来の文化の成長は未だ封建を脱皮しきっていなくて、日本の社会と家庭の生活における少年たち少女たちの存在は、自分を一人の人間として明瞭に自覚することを非常におくらされて来ている。青年期にずっと近づいて初めて自分の周囲に対する目と心と・・・<宮本百合子「若き精神の成長を描く文学」青空文庫>
  13. ・・・頑癬からは白い脱皮がめくれて来た。そうして、暫くは森閑とした宮殿の中で、脱皮を掻きむしるナポレオンの爪音だけが呟くようにぼりぼりと聞えていた。と、俄に彼の太い眉毛は、全身の苦痛を受け留めて慄えて来た。「余はナポレオン・ボナパルトだ。余は・・・<横光利一「ナポレオンと田虫」青空文庫>