たな‐こ【店子】例文一覧 5件

  1. ・・・僕にとっては、その当時こそ何かと不満もあったのであるが、いまになって考えてみると、あの技師にしろ、また水泳選手にしろ、よい部類の店子であったのである。俗にいう店子運がよかったわけだ。それが、いまの三代目の店子のために、すっかりマイナスにされ・・・<太宰治「彼は昔の彼ならず」青空文庫>
  2. ・・・ 要するに、従来のいわゆる統計物理学は物理学の一方の庇を借りた寄生物であったのであるが、今ではこの店子に主家を明け渡す時節が到来しつつあるのではないか。ほんとうの新統計的物理学はこれから始まるべきではないか。これはもちろん筆者のはなはだ・・・<寺田寅彦「量的と質的と統計的と」青空文庫>
  3.    学者安心論 店子いわく、向長屋の家主は大量なれども、我が大家の如きは古今無類の不通ものなりと。区長いわく、隣村の小前はいずれも従順なれども、我が区内の者はとかくに心得方よろしからず、と。主人は以前の婢僕を誉め、・・・<福沢諭吉「学者安心論」青空文庫>
  4. ・・・ 此から幾年か居る、その家を貸すものに、唯利害関係からではなく、真個に人の世の生きるらしい友情と好感とを以て接して行けると云うことは、特別、家主、店子の関係に於て嬉しく思われたのである。 幾度も本郷、牛込、青山を往復し、家は、遂に我・・・<宮本百合子「又、家」青空文庫>
  5. ・・・それとも、ずっとそういう方法できまるわけなのだろうか。店子が家賃を払ってゆくのは三年か四年のことではない。借家で産湯をつかった大多数の国民は、借家から自分の葬式をも出さねばならない。みすみす大家に損をしろというようなことはなり立たないという・・・<宮本百合子「私の感想」青空文庫>