たにざき【谷崎】例文一覧 30件

  1. ・・・描写は殆谷崎潤一郎氏の大幅な所を思わせる程達者だ。何でも平押しにぐいぐい押しつけて行く所がある。尤もその押して行く力が、まだ十分江口に支配され切っていない憾もない事はない。あの力が盲目力でなくなる時が来れば、それこそ江口がほんとうの江口にな・・・<芥川竜之介「江口渙氏の事」青空文庫>
  2. ・・・「この間谷崎潤一郎の『悪魔』と云う小説を読んだがね、あれは恐らく世界中で一番汚いことを書いた小説だろう。」(何箇月かたった後、僕は何かの話の次手に『悪魔』の作家に彼の言葉を話した。するとこの作家は笑いながら、無造作に僕にこう言うのだ・・・<芥川竜之介「彼 第二」青空文庫>
  3. ・・・滝田君はその時僕のために谷崎潤一郎君の原稿を示し、(それは実際苦心の痕の歴々大いに僕を激励した。僕はこのために勇気を得てどうにかこうにか書き上げる事が出来た。 僕の方からはあまり滝田君を尋ねていない。いつも年末に催されるという滝田君の招・・・<芥川竜之介「滝田哲太郎君」青空文庫>
  4. ・・・永井荷風氏や谷崎潤一郎氏もやはりそこへ通ったはずである。当時は水泳協会も芦の茂った中洲から安田の屋敷前へ移っていた。僕はそこへ二、三人の同級の友達と通って行った。清水昌彦もその一人だった。「僕は誰にもわかるまいと思って水の中でウンコをし・・・<芥川竜之介「追憶」青空文庫>
  5.  大阪は「だす」であり、京都は「どす」である。大阪から京都へ行く途中、山崎あたりへ来ると、急に気温が下って、ああ京都へはいったんだなと感ずるという意味の谷崎潤一郎氏の文章を、どこかで読んだことがあるが、大阪の「DAS」が京都・・・<織田作之助「大阪の可能性」青空文庫>
  6. ・・・私はそう思ったのだ。谷崎潤一郎氏も既に十年前にこのことを言っておられる。すなわち、「東京をおもう」というエッセイの最後の章がそれだ。「……終りに臨んで、私は中央公論の読者諸君に申しあげたい。諸君は、小説家やジャーナリストの筆先に迷って徒・・・<織田作之助「東京文壇に与う」青空文庫>
  7. ・・・樋口一葉 にごりえ、たけくらべ有島武郎 宣言島崎藤村 春、藤村詩集野上弥生子 真知子谷崎潤一郎 春琴抄倉田百三 愛と認識との出発、父の心配<倉田百三「学生と生活」青空文庫>
  8. ・・・ 次兄は、この創刊号には、何も発表なさらなかったようですが、この兄は、谷崎潤一郎の初期からの愛読者でありました。それから、また、吉井勇の人柄を、とても好いていました。次兄は、酒にも強く、親分気質の豪快な心を持っていて、けれども、決して酒・・・<太宰治「兄たち」青空文庫>
  9. ・・・ 久保万、吉井勇、菊池寛、里見、谷崎、芥川、みな新進作家のようであった。私はそれこそ一村童に過ぎなかったのだけれども、兄たちの文学書はこっそり全部読破していたし、また兄たちの議論を聞いて、それはちがう、など口に出しては言わなかったが腹の・・・<太宰治「『井伏鱒二選集』後記」青空文庫>
  10. ・・・そのころの新進作家には、武者小路とか、志賀とか、それから谷崎潤一郎、菊池寛、芥川とか、たくさんございましたが、私は、その中では志賀直哉と菊池寛の短篇小説が好きで、そのことでもまた芹川さんに、思想が貧弱だとか何とか言われて笑われましたけれど、・・・<太宰治「誰も知らぬ」青空文庫>
  11. ・・・日本の作家では夏目先生のものは別として国木田独歩、谷崎潤一郎、芥川竜之介、宇野浩二、その他数氏の作品の中の若干のもの、外国のものではトルストイ、ドストエフスキーのあるもの、チェホフの短編、近ごろ見たものでは、アーノルド・ベンネットやオルダス・・・<寺田寅彦「科学と文学」青空文庫>
  12.  去年の秋、谷崎君がわたくしの小説について長文の批評を雑誌『改造』に載せられた時、わたくしはこれに答える文をかきかけたのであるが、勢自作の苦心談をれいれいしく書立てるようになるので、何となく気恥かしい心持がして止してしまった・・・<永井荷風「正宗谷崎両氏の批評に答う」青空文庫>
  13. ・・・ 当時、日本の文学は、白樺派の人道主義文学の動きがあり、他方に、自然主義が衰退したあとの反射としておこった新ロマンティシズムの文学があった。谷崎潤一郎の「刺青」などを先頭として。同時に『新思潮』という文学雑誌を中心に芥川龍之介が「鼻」「・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第一巻)」青空文庫>
  14. ・・・日本資本主義高揚期であった明治末及び大正時代に活動しはじめた永井荷風、志賀直哉、芥川龍之介、菊池寛、谷崎潤一郎その他の作家たちは、丁度それぞれの段階での活動期を終ったときだった。これらの作家たちは無産階級運動とその芸術運動の擡頭しはじめた日・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第六巻)」青空文庫>
  15.  六月某日。 芸術院に谷崎潤一郎が入るようになったとか、ことわったとかいう記事が出ている。それを読むと、谷崎潤一郎がつむじを曲げているのは、芸術院そのものの性質が気にそまなくて冠を曲げているのではなく、電報一つで交渉され・・・<宮本百合子「雨の小やみ」青空文庫>
  16. ・・・何故なら、作家野上彌生子の年齢的同時代としては、谷崎潤一郎だの平塚らいてうだの、僅六歳の年長者として永井荷風等があり、それらの人々の生活内容と作品とは、あなたとは全く別様のものです。あなたのように若いジェネレーションの息吹きがその作品の内に・・・<宮本百合子「含蓄ある歳月」青空文庫>
  17. ・・・丁度谷崎潤一郎の「春琴抄」などが世間の注目をひき、文章の古典復興物語調流行がきざしかけた頃、なにかの雑誌で、谷崎と志賀との文章を対比解剖し、二人の文章にあらわれている名詞、動詞の多少、形容詞、副詞の性質を分析し、志賀直哉を客観的描写の作家と・・・<宮本百合子「芸術が必要とする科学」青空文庫>
  18. ・・・とことんのところまで色も彫りも薄めず描写して行く力は大きいものですね。谷崎は大谷崎であるけれども、文章の美は古典文学=国文に戻るしかないと主張し、佐藤春夫が文章は生活だから生活が変らねば文章の新しい美はないと云っているの面白いと思います。し・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  19. ・・・今日私たちの目の前にある近代古典と云うべき作品の多くはこれらの時期に書かれたものであるし、古典的な権威として今日或る意味で価値ある文学上の存在をつづけている作家たち、例えば島崎藤村、徳田秋声、谷崎潤一郎、永井荷風、志賀直哉、武者小路実篤等は・・・<宮本百合子「今日の文学と文学賞」青空文庫>
  20. ・・・しかしながら、当時にあっては単に文学の教養としての範囲に於て言われていただけであったという事実である。谷崎潤一郎、永井荷風、佐藤春夫等の作家は彼等の古典文学の教養を土台として例えば「盲目物語」「春琴抄」「つゆのあとさき」等の作品を示し、文芸・・・<宮本百合子「今日の文学の鳥瞰図」青空文庫>
  21. ・・・をもって、谷崎潤一郎は「春琴抄」を、徳田秋声、上司小剣等の作家も久しぶりにそれぞれその人らしい作品を示した。そして当時「ひかげの花」に対して与えられた批評の性質こそ、多くの作家が陥っていた人生的態度並びに文学作品評価についての拠りどころなさ・・・<宮本百合子「今日の文学の展望」青空文庫>
  22. ・・・ネオ・ロマンティシズムという名は、谷崎潤一郎の「刺青」という作品に絡めて以外に私たちに与えられていない。文学において、作者の動きは、いつも作家が作品を体につけて躍び上るなり舞い下るなりしていた。日本における自然主義の消長として荷風の社会批評・・・<宮本百合子「昭和十五年度の文学様相」青空文庫>
  23. ・・・この時期に現れた永井荷風の「ひかげの花」谷崎潤一郎の「春琴抄」等が与えられた称讚の性質も見遁せないものを持っている。先に文芸復興の声と共に流行した古典の研究、明治文学の見直し等が、正当な方法を否定していたために、新しい作家の新しい文学創造の・・・<宮本百合子「昭和の十四年間」青空文庫>
  24. ・・・『知識』が、各誌共通のトピックのほかに内容の多様性を求めて一頁論壇、谷崎潤一郎の文章読本の短い批評、宗教についての記事などを広汎にのせていることはプラスであり、続行されたい点である。けれども、たとえば「音楽雑談」や一頁人物評、吉川英治につい・・・<宮本百合子「新年号の『文学評論』その他」青空文庫>
  25. ・・・そこでその手が血に染んでいないことだけはたしかな永井荷風の作品、谷崎潤一郎の作品などが、当時の営利雑誌に氾濫し、ある意味で今日デカダンティズム流行の素地をつくった。そして、戦争の永い年月、人間らしい自主的な判断による生きかたや、趣味の独立を・・・<宮本百合子「政治と作家の現実」青空文庫>
  26. ・・・しかしそのうまさというものも、内容の調子の低さにふさわしく紅葉時代硯友社の文脈を生きかえらせた物語体であり、天下の名作のようにいわれた谷崎潤一郎の「春琴抄」がひとしく句読点もない昔の物語風な文章の流麗さで持てはやされたことと思い合わせ、私は・・・<宮本百合子「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」青空文庫>
  27. ・・・Y「ええ、谷崎さんに送ってやろうと思って」 ○賢こいので何か云ってだまったとき 美しさがある ○美しきインテレクチュアル婦人という心持〔欄外に〕二十四歳 水色のクレプ・ドシンのショールが似合うたち。桃色ろの半襟 色白・・・<宮本百合子「一九二七年春より」青空文庫>
  28. ・・・ 明治四十年代の荷風のデカダニズムはさきにふれたように、正面から日本の歴史的軛に抗議することを断念した性格のものであったし、大正年代に現われた谷崎潤一郎などのネオ・ロマンティシズムの要素も、同時代に擡頭した武者小路実篤のヒューマニズムと・・・<宮本百合子「一九四六年の文壇」青空文庫>
  29. ・・・ 五月の『文芸春秋』に、谷崎潤一郎さんが、上海見聞記を書いておられる。なかに、ホテルについて、マジェスティックが東洋第一といいながら、ボルト酒のよいのを持たない、「長崎のジャパン・ホテルにだって一九一一年のブルガンディー酒があるくら・・・<宮本百合子「長崎の印象」青空文庫>
  30. ・・・ これは作家の生活を中心とした見方の一例にまで書くのであるが、『春琴抄』という谷崎氏の作品を読むときでも、私も人々のいうごとく立派な作品だと一応は感心したものの、やはりどうしても成功に対して誤魔化しがあるように思えてならぬのである。題材・・・<横光利一「作家の生活」青空文庫>