だまし【×騙し】例文一覧 6件

  1. ・・・或いは又、孫のハアモニカを、爺に借せと騙して取上げ、こっそり裏口から抜け出し、あたふた此所へやって来たというような感じでありました。珠数を二銭に売り払った老爺もありました。わけてもひどいのは、半分ほどきかけの、女の汚れた袷をそのまま丸めて懐・・・<太宰治「老ハイデルベルヒ」青空文庫>
  2. ・・・もうこれでわたくしがあなたを騙したのだとはおっしゃいますまい。わたくしは安んじて恋と云う字を書きます。私の申しわけ、わたくしの取留めの無い挙動の申しわけはこの一字に在るのでございます。 ピエエルさん。わたくしはただいま白状いたします。わ・・・<著:プレヴォーマルセル 訳:森鴎外「田舎」青空文庫>
  3. ・・・富農の勢力拡大と階級擁護のために、そのような名をかぶった一味がトラクターを富農の手に騙しとり、集団化を阻害しようとした。彼等がスローガンとした「工業化」の上へはもう一つ書かれぬ言葉、「反革命的」という文句があったのである。 ところで「パ・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  4. ・・・ 娘さんは、帯もしめたままなので段々気がおちつき、「警察なんて人ばっかり騙してる!」 そして、ひそめた声に力を入れ、「ね、一寸! どうしましょう、憎らしいわね。今朝みんな家でやられたのよ。さっき電話で、二十何人とか云ってたわ・・・<宮本百合子「刻々」青空文庫>
  5. ・・・「畜生!」 いかにも口惜しげで、石川の心に同情が湧いた。幸雄の二の腕を背広の男が捉えた。「何する!」「おとなしく君が病院へさえ来れば何でもないんだ」「騙したな? よくも此奴! 退け! 退きゃがれったら!」 幸雄が藻掻・・・<宮本百合子「牡丹」青空文庫>
  6. ・・・「鞍山站まで酒を運んだちゃん車の主を縛り上げて、道で拾った針金を懐に捩じ込んで、軍用電信を切った嫌疑者にして、正直な憲兵を騙して引き渡してしまうなんと云う為組は、外のものには出来ないよ。」こう云ったのは濃紺のジャケツの下にはでなチョッキを着・・・<森鴎外「鼠坂」青空文庫>