た‐めん【他面】例文一覧 15件

  1. ・・・今日の婦人の職業的進出は一面たしかに婦人の生活欲望の開発と拡充との線にそえるものではあるが、他面においては生活のための余儀なき催促によるものである。男子が独力で妻子を養うことができないための共稼ぎの必要によるものである。適当の収入さえあれば・・・<倉田百三「婦人と職業」青空文庫>
  2. ・・・昔は公でも私でも何でも皆孝で押し通したものであるが今は一面に孝があれば他面に不孝があるものとしてやって行く。即ち昔は一元的、今は二元的である、すべて孝で貫き忠で貫く事はできぬ。これは想像の結果である。昔の感激主義に対して今の教育はそれを失わ・・・<夏目漱石「教育と文芸」青空文庫>
  3. ・・・一人として、過度な緊張からくる一種の疲労を感じないもののない程、我々人間は、人間の小細工でこしらえすぎた過去の文化に対して連帯責任を持っているし、他面から考えれば、そんなことを、都会人らしい感傷と女々しさでくどくどいっていられない、大切の時・・・<宮本百合子「男…は疲れている」青空文庫>
  4. ・・・当時の権力はまんなかに治安維持法の極端な殺人的操法をあらわに据えて、それで嚇し嚇し、一方では正直に勇敢だった人々を益々強固な抵抗におき、孤立させ、運動を縮みさせ、他面では、すべての平凡な心情を恐怖においたてて、根本は治安維持法に対するその恐・・・<宮本百合子「解説(『風知草』)」青空文庫>
  5. ・・・それは、ヨーロッパにおいてのフランスが、封建時代からより進んだ文化をもちつづけて今日に到ったからでもあるが、他面には、パリというものがもちつづけたその伝統的な地位によって、おのずから文化において世界最大の取引市場の一つとなっていることからも・・・<宮本百合子「木の芽だち」青空文庫>
  6. ・・・対談の作家たちが、もしこの現実の他面では自分たちがどんな貧弱な読者として置かれているかということを痛感していたなら、恐らくあの調子は変らざるを得なかったのだろうと思う。〔一九四一年二月〕・・・<宮本百合子「今日の作家と読者」青空文庫>
  7. ・・・金銭というものの一つの側から云えば、いかにも値うちの小さいものとなりつつある感覚が表現されているといえるし、他面には、逆にきょう日この札一枚あればともかく何でも買える、その何でもの一つとして本も買えるという気持も、むき出しに出ている。本も買・・・<宮本百合子「今日の読者の性格」青空文庫>
  8. ・・・として『新思潮』の同人たちが、歴史的題材の小説に赴いたことの心理的要因には第一次欧州大戦につれて擡頭した新しい社会と文学の動きに対して、従来の文学的地盤に立つ教養で育った新進作家たちが、一面の進歩性と他面の保守によって、題材を過去にとる方向・・・<宮本百合子「今日の文学の諸相」青空文庫>
  9. ・・・ 今日の国家経済の方針に依って、文化の大衆化に重大な関係を持っている紙と印刷費用とは高騰する一方であるから、一時のように同人雑誌の刊行も困難になり、他面発表機関も困難になることから、雑誌を持っていてその誌上を割き与えることの出来る作家の・・・<宮本百合子「今日の文学の鳥瞰図」青空文庫>
  10. ・・・運動に関して真に学ぶべきところは、一九三四年の人民の人間的自主性を守らんとする要求によって結ばれた広くして強い文化の線が、ファシズムに反対の立場を保っているという共同的な一点によって、他面では多く異質なものを蔵しているフェルナンデス流の行動・・・<宮本百合子「今日の文学の展望」青空文庫>
  11. ・・・私は過去の生活が割合に順調であった為めに、それから享容れた或る純真さはあったかも知れないが、他面に於て前に述べた伝統から享容れた欠点のある事も否めない事実であるから、これからは一切の不純な気持、身に附き添った色々なこだわりから離脱し、創作境・・・<宮本百合子「女流作家として私は何を求むるか」青空文庫>
  12. ・・・ 一人一人の作家がそれぞれにちがうという必然は、だが他面に何か通有な一つ二つの文学としての希望、願望、更につよくは意欲という風なものを持ってはいないだろうか。 どんな時代にも、作家は現実にたえるものとして自分の作品を生もうとして来た・・・<宮本百合子「日本の河童」青空文庫>
  13. ・・・ 二三年前、文学における古典の摂取が云われはじめた時分は、プロレタリア文学運動の退潮を余儀なくさせた社会事情が他面対立的な文学にも貧困の自覚を与えており、それに対して文芸復興が唱えられ、古典の摂取は、当時にあっては、現代の文学的発展のた・・・<宮本百合子「文学上の復古的提唱に対して」青空文庫>
  14. ・・・ 文学精神の明るさというものは、現象に目を奪われて、ものごとの一面に明るさを、他面に暗さを単純な対比として感じとる範囲でいわれるべきではないであろう。もっと、事象を歴史の上に射透す精神の光波をさすべきであろう。明暗をひっくるめてその関係・・・<宮本百合子「文学は常に具体的」青空文庫>
  15. ・・・一つは、報道が人々の生命の安全に直接関係したからであるし、他面では、機械がなくて、一度失ったらもう手に入り難いという事情に立っている。部屋を照す電球が買えないのと等しく、ラジオのための真空管は、普通人には買えないものの一つとなっている。・・・<宮本百合子「みのりを豊かに」青空文庫>