たん‐きゅう〔‐キウ〕【探求】例文一覧 30件

  1. ・・・彼の爾後の作家生涯は、その善を探求すべき労作だったと称しても好い。この道徳的意識に根ざした、リアリスティックな小説や戯曲、――現代は其処に、恐らくは其処にのみ、彼等の代弁者を見出したのである。彼が忽ち盛名を負ったのは、当然の事だと云わなけれ・・・<芥川竜之介「「菊池寛全集」の序」青空文庫>
  2. ・・・今日の文化の段階にまで達したる人間性の精神的要素と、ならびに人間性に禀具するらしい可能的神秘の側面で、われわれの恋愛の要請とは一体どんなものであるかを探求するのこそ進歩的恋愛論の本質的任務でなくてはならぬ。これに比べれば恋愛の社会的基礎の討・・・<倉田百三「学生と生活」青空文庫>
  3. ・・・鎌倉の五年間に彼は当時鎌倉に新しく、時を得て流行していた禅宗と浄土宗との教義と実践とを探求し、また鎌倉の政治の実情を観察した。彼の犀利の眼光はこのときすでに禅宗の遁世と、浄土の俗悪との弊を見ぬき、鎌倉の権力政治の害毒を洞察していた。二十・・・<倉田百三「学生と先哲」青空文庫>
  4. ・・・を求めて、宗教的方法の探求へと向かったものであった。 がここでいいたいのは、かような指導書の精読ということである。かような指導書を発見するには、自分の生の問いを抱いて、その問いを同じくし、解決を与えんと擬する書物を捜せばいいのである。・・・<倉田百三「学生と読書」青空文庫>
  5. ・・・市民を嘲って芸術を売って、そうして、市民と同じ生活をしているというのは、なんだか私には、不思議な生物のように思われ、私はそれを探求してみたかったという、まあ、理窟を言えばそうなるのですが、でも結局なんにもならなかった。なんにも無いのね。めち・・・<太宰治「女の決闘」青空文庫>
  6. ・・・こういう意味からすれば科学者の探求的欲望は骨董狂の掘出し慾と類する点があると云われ得る。しかしまた他の半面の考え方によれば、科学者の知識は「物自身」の知識ではなくて科学者の頭脳から編み上げた製作物とも云われる。そう考えれば科学者の欲求は芸術・・・<寺田寅彦「科学上の骨董趣味と温故知新」青空文庫>
  7. ・・・ 社会の風教を乱すような邪教淫祠、いかがわしい医療方法や薬剤、科学の仮面をかぶった非科学的無価値の発明や発見、そういうものに世人の多くが迷わされて深入りしない前にそれらの真価を探求したい。官衙や商社における組織や行政の不備や吏員の怠慢に・・・<寺田寅彦「一つの思考実験」青空文庫>
  8. ・・・右の如くなるを以て、すべて我々の真理探求は、否定的分析、懐疑的自覚といってよい。科学は単なる判断的否定でもなければ、分析でもない。科学的否定とは、行為的直観の立場から我々の自己の因襲的な先入見、独断を否定することでなければならない。分析はデ・・・<西田幾多郎「デカルト哲学について」青空文庫>
  9. ・・・メーン・ドゥ・ビランはパスカルが賞讚するといった ceux qui cherchent en gmissant[うめきながら探求する者]というような哲学者であった。「センス」でもない「ジン」でもない「サンス」は、一面において内面的と・・・<西田幾多郎「フランス哲学についての感想」青空文庫>
  10. ・・・けれどもそれでも探求の目的を達することは達するな。少し歩きにくいだけだ。さあもう斯うなったらどこまでだって追って行くぞ。」学士はいよいよ大股にその足跡をつけて行った。どかどか鳴るものは心臓ふいごのようなものは呼吸、そんな・・・<宮沢賢治「楢ノ木大学士の野宿」青空文庫>
  11. ・・・これまでいい意味での女らしさの範疇からもあふれていた、現実へのつよい倦むことない探求心、そのことから必然されて来る科学的な綜合的な事物の見かたと判断、生活に一定の方向を求めてゆく感情の思意ある一貫性などが、強靭な生活の腱とならなければ、とて・・・<宮本百合子「新しい船出」青空文庫>
  12. ・・・この場合、国際的なプロレタリア文学運動が、二十世紀の世界文学の一発展としてもたらした文学の社会性、階級性についての諸観点、および作品の芸術的実感と歴史に対する客観的認識力との微妙な生きた関係の探求などは、民主的な文学の精髄をなす。なぜなら民・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第六巻)」青空文庫>
  13. ・・・それから学習そのものを楽にたのしんでさせようという程度がすぎて、自立的な児童の探求心がのばされるよりもさきにあんまりたやすく解決が与えられすぎるということにもふれていました。学校教育の方式の中に当然入りこんできているキャナライゼーションとマ・・・<宮本百合子「アメリカ文化の問題」青空文庫>
  14. ・・・常識的な大人を恐怖させるほど率直な真実探求の欲望にもえる十五六歳より以後の年代を、これらの有能な精神は、そのままの真率さで戦争のための生命否定、自我の放棄へ導きこまれた。専門学校では文科系統の学徒が容しゃなく前線へ送り出され、理科系統のもの・・・<宮本百合子「生きつつある自意識」青空文庫>
  15. ・・・学問こそないが、おしまも女である以上、妙に鋭い、思い込んで目をつけたらとても眼を逸しっこのない探求心というようなものを持っている。勇吉が清二が留守になってから、どうも始めて清二の嫁はまだ十八の若い、はにかみやの可愛い女であったことをしみじみ・・・<宮本百合子「田舎風なヒューモレスク」青空文庫>
  16. ・・・私の裡には、或る程度まで何でも感じて見たく、知って見たい未開人のような好奇心、よい場合には探求心がありますのです。面白いでしょう。私共の日常生活が、形式内容の上に違っているとすれば、それ等は皆、若し私の推察が誤っていなければ、異った二種の人・・・<宮本百合子「大橋房子様へ」青空文庫>
  17. ・・・魯迅の悲劇を我々は探求しなければなりません。バックの作は「民族」の理解について考えさせます。〔一九三七年五月〕<宮本百合子「カレント・ブックス」青空文庫>
  18. ・・・現代文学が主題とするヒューマニズム探求の一環として見た場合、D・H・ローレンスの文学は、こんにちの現実を解明するためにローレンス氏方式ではすでに不十分であることを、明かにして来ているのである。 敗戦後の日本に、肉体派とよばれる一連の文学・・・<宮本百合子「傷だらけの足」青空文庫>
  19. ・・・例えば作品や技法の上で新しいものを追求しようという熱心さと、その新しいものの質の探求や新しさの発生の根源を人類の生活の歴史の流れの只中から見出そうとするような思想の規模との間に、具体的な矛盾があるとも思われます。芸術至上主義ととなりあわせて・・・<宮本百合子「期待と切望」青空文庫>
  20. ・・・社会的モラルの問題となし得る先行的な事実、新たな芸術創造のための素地の探求、理解の具体性として、生活事情と色感とのなまなましい関係が今日の問題としていかに深められているか、と考えるのであった。          二 こういう・・・<宮本百合子「芸術が必要とする科学」青空文庫>
  21. ・・・ 文学の本質というものをひとくちに表現するのは難しいけれども、つまりは人間生活の諸相の要求の探求であって、日々の我々の現実に対して一人の作家が、人間及び芸術家としてかかわりあってゆく、そのいきさつが、その評価が、作品の世界の現実として創・・・<宮本百合子「「結婚の生態」」青空文庫>
  22. ・・・日本のいく久しい封建社会の歴史にもたらされて、日本の知性は、強靭な知的探求力とその理づめな権威力をもつより、いつも感性的である。その日本の感性的な知性が西欧のルネッサンスおよびそれ以後の人間開花の美に驚異したのが「白樺」の基調であった。・・・<宮本百合子「現代の主題」青空文庫>
  23. ・・・しかもこの現象は、探求されている日本文学史上のあらゆる近代性確立の問題の根蔕において繋がっているのであって、買うのはどういう人々だろう。荷風、潤一郎は昨今では闇屋の作家である。と云われている言葉がある。新聞には三千五百円の句集ということが話・・・<宮本百合子「豪華版」青空文庫>
  24. ・・・現在でのように、どっちかというといつも男対女のいきさつの形で、女の側からの女の幸福の探求がもち出されて来るような社会の時代的な性格に変化が生じて、男も人間の幸福ということを考えれば、女の幸福がその不可欠の条件であることを常識として身につけて・・・<宮本百合子「幸福の感覚」青空文庫>
  25. ・・・しかし、形式の探求、古典の研究、パプツチキとの理論闘争などの活溌さに比べて、直接大衆へよびかける作品そのものの生産は、目覚ましく行っているとはいえなかった。 日に日に育ってゆく、プロレタリア・農民の現実生活からはなれたパプツチキの作品が・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  26. ・・・ こんにち、もっとも真率に探求的な態度で語られなければならないのは、理性の構成と機能、の課題である創作方法の問題ではないだろうか。しかもそれについて語りかたは、歴史の現実とともに急激に推進されて、わたしたちは、創作方法についてメリー・キ・・・<宮本百合子「心に疼く欲求がある」青空文庫>
  27. ・・・ したがって、出版恐慌を理由として、これらの戦後派の先輩たちがジャーナリズムの上にうけた不利――すなわち、社会的文学的発言の範囲の縮小の本質は、とりもなおさず、理性に立つ現実探求の精神の主張、国の内外のファシズムと戦争挑発に対する抗議と・・・<宮本百合子「五〇年代の文学とそこにある問題」青空文庫>
  28. ・・・作家は、現実に向って飽くまで探求的であり、生のままの感受性をもち、自身の人間的心情に立ってひたむきでなければならないと思う。その意味では、最も大乗的な素直さが求められる。私たちが今日を生き、そしてその中に、人間としての自己の生涯を与えつくす・・・<宮本百合子「今日の文学と文学賞」青空文庫>
  29. ・・・教え込まれた茸の価値はいわば彼に探求の目標を与えたのであった。すなわち彼を茸狩りに発足せしめたのであった。それから先の茸との交渉は厳密に彼自身の体験である。茸狩りを始めた子供にとっては、彼の目ざす茸がどれほどの使用価値や交換価値を持つかは、・・・<和辻哲郎「茸狩り」青空文庫>
  30. ・・・わたくしはそのころの京都大学の空気を知らないから、このきちょうめんさが外からの要求なのか、あるいは先生自身の内から出たのか、それを判断することはできないが、晩年まで衰えることのなかった先生の旺盛な探求心のことを思うと、あのとき先生が大学の方・・・<和辻哲郎「露伴先生の思い出」青空文庫>