たん‐けん【探検/探険】例文一覧 30件

  1. ・・・ やれやれ生命を拾いたりと、真蒼になりて遁帰れば、冷たくなれる納台にまだ二三人居残りたるが、老媼の姿を見るよりも、「探検し来りしよな、蝦蟇法師の住居は何処。」と右左より争い問われて、答うる声も震えながら、「何がなし一件じゃ、これなりこれ・・・<泉鏡花「妖僧記」青空文庫>
  2. ・・・ 昔、読んだスタンレーの探検記には、アフリカの蛮地で兇猛なあり群に襲われることが書いてあった。たしかに、猛獣に襲われるより怖しいことだったにちがいない。この、少しの反抗力をも有しない彼等に対してすら、その執拗と根気に怖れをなしているので・・・<小川未明「近頃感じたこと」青空文庫>
  3. ・・・ケーはこうして、この町の中を探検していますうちに、いつともなしに体が疲れてきました。「ははあ、なんだか疲れて、眠くなってきたぞ。ここで眠っちゃならない。我慢をしていなくちゃならない。」と、ケーは独り言をして、自分で気を励ましました。・・・<小川未明「眠い町」青空文庫>
  4. ・・・「いつであったか、探検隊が登って、そのうちで落ちて死んだものがあったろう。それからだれも登ったものがないだろう。」と甲がいいました。「だけれど、その家来はいっしょうけんめいになって、登ったんだって、おじいさんがいったよ。」と・・・<小川未明「不死の薬」青空文庫>
  5.       一 パーロの嫁取り 北極探検家として有名なクヌート・ラスムッセンが自ら脚色監督したもので、グリーンランドにおけるエスキモーの生活の実写に重きをおいたものらしいので、そうした点で興味の深い映画である。グリー・・・<寺田寅彦「映画雑感6[#「6」はローマ数字、1-13-26]」青空文庫>
  6.        一「バード南極探険」は近ごろ見た映画の内でおもしろいものの一つであった。これまでにも他の探険隊のとった写真やその記事などをいろいろ見てかなりまでは極地の風物の概念を得たつもりでいたのだが、しかし活動映画・・・<寺田寅彦「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  7. ・・・そうした処女地を探険するのが今の映画製作者のねらいどころであり、いわば懸賞の対象でなければならない。それでたとえばアメリカ映画における前述のレヴューの線条的あるいは花模様的な取り扱い方なども、そうした懸賞問題への一つの答案として見ることもで・・・<寺田寅彦「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」青空文庫>
  8. ・・・ 飛行船が北氷洋上で氷原をとった写真を現像したら思いもかけぬ飛行機の氷の上に横たわる姿が現われたので、これはきっと先年行くえ不明になった有名な老探検家の最後を物語るものだろうという事になったが、よくよく調べてみると、これは写真技師がうっ・・・<寺田寅彦「カメラをさげて」青空文庫>
  9.      一 白熊の死 探険船シビリアコフ号の北氷洋航海中に撮影されたエピソード映画の中に、一頭の白熊を射殺し、その子を生け捕る光景が記録されている。 果てもない氷海を張りつめた流氷のモザイクの一片に乗っかって親・・・<寺田寅彦「空想日録」青空文庫>
  10. ・・・それから四十年後の近ごろになって新聞で潜航艇ノーチラスの北極探検に関する記事を読み、パラマウント発声映画ニュースでその出発の光景を見ることになったわけである。この「海底旅行」や「空中旅行」「金星旅行」のようなものが自分の少年時代における科学・・・<寺田寅彦「読書の今昔」青空文庫>
  11. ・・・とはどんな事か知りたいというばか者があってわざわざ化け物屋敷へ探険に出かける話があるが、あの話を聞いてあの豪傑をうらやましいと感ずべきか、あるいはかわいそうと感ずべきか、これも疑問である。ともかくも「ゾッとする事」を知らないような豪傑が・・・<寺田寅彦「化け物の進化」青空文庫>
  12. ・・・ 探険家シャックルトンがベルリンへ来たときペンクの私邸に招かれ、その時自分も御相伴に呼ばれて行った。見知らぬ令夫人を卓に導く役を云い付かって当惑した。その席でペンクは、本日某無名氏よりシャックルトン氏の探険費として何万マルクとかの寄附が・・・<寺田寅彦「ベルリン大学(1909-1910)」青空文庫>
  13.  一九三二年の夏の間に、シベリアの北の氷海を一艘のあまり大きくない汽船が一隊の科学者の探険隊を載せて、時々行く手をふさぐ氷盤を押し割りながら東へ東へと航海していた。しかしその氷の割れる音は科学を尊重するはずの日本へ少しも聞こ・・・<寺田寅彦「北氷洋の氷の割れる音」青空文庫>
  14. ・・・一八七六―七七年プルジェワルスキーが探険した時にはこの湖水と思われるものが見つかったが、しかしそれはシナの古図の示すよりはるかに、すなわち約一度ぐらい、南にあった。それで古図がひどく間違っていたか、それともプルジェワルスキーの見たのは別物で・・・<寺田寅彦「ロプ・ノールその他」青空文庫>
  15. ・・・ 探険の興は勃然として湧起ってきたが、工場地の常として暗夜に起る不慮の禍を思い、わたくしは他日を期して、その夜は空しく帰路を求めて、城東電車の境川停留場に辿りついた。 葛西橋の欄干には昭和三年一月竣工としてある。もしこれより以前に橋・・・<永井荷風「放水路」青空文庫>
  16. ・・・ その人はあわてたのをごまかすように、わざとゆっくり川をわたって、それからアルプスの探検みたいな姿勢をとりながら、青い粘土と赤砂利の崖をななめにのぼって、崖の上のたばこ畑へはいってしまいました。 すると三郎は、「なんだい、ぼくを・・・<宮沢賢治「風の又三郎」青空文庫>
  17. ・・・それは大へん小さくて、地理学者や探険家ならばちょっと標本に持って行けそうなものではありましたがまだ全くあたらしく黄いろと赤のペンキさえ塗られていかにも異様に思われ、その前には、粗末ながら一本の幡も立っていました。 私は老人が、もう食事も・・・<宮沢賢治「雁の童子」青空文庫>
  18. ・・・その人は、あわてたのをごまかすように、わざとゆっくり、川をわたって、それから、アルプスの探険みたいな姿勢をとりながら、青い粘土と赤砂利の崖をななめにのぼって、せなかにしょった長いものをぴかぴかさせながら、上の豆畠へはいってしまった。ぼくらも・・・<宮沢賢治「さいかち淵」青空文庫>
  19. ・・・崖にはゆうべの洞もあるそこまで行けばもう大丈夫こんなあぶない探険などは今度かぎりでやめてしまい博物館へも断わらせて東京のまちのまん中で赤い鼻の連中などを相手に法螺を吹いてればいい。大体こんな計算だった。・・・<宮沢賢治「楢ノ木大学士の野宿」青空文庫>
  20. ・・・大祭に参加後、すぐ六人ともカナダの北境を探険するという話でした。私たちは、船を下りると、すぐ旅装を調えて、ヒルテイの村に出発したのであります。実は私は日本から出ました際には、ニュウファウンドランドへさえ着いたら、誰の眼もみなそのヒルテイとい・・・<宮沢賢治「ビジテリアン大祭」青空文庫>
  21. ・・・ ソヴェト同盟のシュミット博士一行の極地探険の記録映画は誠に感銘深いものであったが、そこには歪められたロマンティシズムは少しもなかったのである。 沙漠という自然の事情と、それを生産的に開発しようとする人間の意志、土地の相貌が新しくな・・・<宮本百合子「イタリー芸術に在る一つの問題」青空文庫>
  22. ・・・ 極地探検の記録も人類の到達した科学と自然に対して働きかけてゆく人間の意欲との統一の姿として非常に面白い。岩波新書の「北極飛行」の素晴しさを否定するものはなかろう。バードの「孤独」も歴史的記録である。 地殻の物語は、そこに在る火山、・・・<宮本百合子「科学の常識のため」青空文庫>
  23. ・・・その前日には、疲れているのに無理であったが北極探険隊の遭難とその救助とモスクの歓迎との実写映画を見てまだ生きていたゴーリキイがスタンドで感動し涙をハンケチで拭いている情景を見ました。五十銭です。何というやすいことでしょう。きょう『日本経済年・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  24. ・・・ 父方の祖母はずっと田舎暮しで、そこの家の本のあるところが、実に夏休みの間の探険場所であった。この祖母は、筆の先をなめて、あぶら一しょ、と書くひとであったから、読む人のなくなった本は薄暗い三畳の戸棚の中やしめ切った客間の裏の板の間におし・・・<宮本百合子「祖父の書斎」青空文庫>
  25. ・・・わせに可愛がられ、正しさを奨励され、綺麗な物語りの中に育って、躊躇とか不安とかいうものをまるで知らなかった彼女は、自分の前へ限りもなく拡げられる、種々雑多な色と、形と音との世界に対して、まるで勇ましい探検者のように、飽くことのない興味と熱中・・・<宮本百合子「地は饒なり」青空文庫>
  26. ・・・私は、必要な場所場所を探険して、戻った。Yは、明治十七八年頃渡来したまま帰るのを忘れた宣教師の応接間のような部屋で、至極安定を欠いた表情をして待っている。「――支那的ね」「この位の規模でないと遣って行けないんだな、長崎というところは・・・<宮本百合子「長崎の印象」青空文庫>
  27.  岩波新書のなかに、米川正夫氏の翻訳でヴォドピヤーノフというひとの書いた「北極飛行」という本がある。 これは純粋な文学書ではなくて、ソ連の北極探検飛行の記録である。著者も作家ではない操縦士である。彼の指導によって北極の歴・・・<宮本百合子「文学のひろがり」青空文庫>
  28. ・・・これだけの事を考えて、小川君はとうとう探検に出掛ける決心をしたそうだ。無論便所に行くにだって、毛皮の大外套を着たままで行く。まくった尻を卸してしまえば、寒くはない。丁度便所の坑の傍に、実をむしり残した向日葵の茎を二三本縛り寄せたのを、一本の・・・<森鴎外「鼠坂」青空文庫>
  29. ・・・どこかあの辺で、北極探険者アンドレエの骨が曝されている。あそこで地極の夜が人を威している。あそこで大きな白熊がうろつき、ピングィン鳥が尻を据えて坐り、光って漂い歩く氷の宮殿のあたりに、昔話にありそうな海象が群がっている。あそこにまた昔話の磁・・・<著:ランドハンス 訳:森鴎外「冬の王」青空文庫>
  30. ・・・ が、この奴隷商人の宣伝が嘘であることを立証したのは十九世紀以来の探検家である。なるほどアフリカの沿岸には、奴隷商人が荒し回った限り、ニグロ固有の文化はなんにも残っていない。そこにあるのはヨーロッパの安物商品、ズボンをはいたみじめなニグ・・・<和辻哲郎「アフリカの文化」青空文庫>