だん‐ご【団子】例文一覧 30件

  1. ・・・のみならず途中の兵糧には、これも桃太郎の註文通り、黍団子さえこしらえてやったのである。 桃太郎は意気揚々と鬼が島征伐の途に上った。すると大きい野良犬が一匹、饑えた眼を光らせながら、こう桃太郎へ声をかけた。「桃太郎さん。桃太郎さん。お・・・<芥川竜之介「桃太郎」青空文庫>
  2. ・・・同じ市内の電車でも、動坂線と巣鴨線と、この二つが多いそうですが、つい四五日前の晩も、私の乗った赤電車が、やはり乗降りのない停留場へぱったり止まってしまったのは、その動坂線の団子坂下です。しかも車掌がベルの綱へ手をかけながら、半ば往来の方へ体・・・<芥川竜之介「妖婆」青空文庫>
  3. ・・・投げ出していた足を折りまげて尻を浮かして、両手をひっかく形にして、黙ったままでかかって来たから、僕はすきをねらってもう一度八っちゃんの団子鼻の所をひっかいてやった。そうしたら八っちゃんは暫く顔中を変ちくりんにしていたが、いきなり尻をどんとつ・・・<有島武郎「碁石を呑んだ八っちゃん」青空文庫>
  4. ・・・餅か、団子か、お雪さんが待っていよう。(些細 年の少い手代は、そっぽうを向く。小僧は、げらげらと笑っている。 私は汗じみた手拭を、懐中から――空腹をしめていたかどうかはお察し下さい――懐中から出すと、手代が一・・・<泉鏡花「木の子説法」青空文庫>
  5. ・・・景気の好いのは、蜜垂じゃ蜜垂じゃと、菖蒲団子の附焼を、はたはたと煽いで呼ばるる。……毎年顔も店も馴染の連中、場末から出る際商人。丹波鬼灯、海酸漿は手水鉢の傍、大きな百日紅の樹の下に風船屋などと、よき所に陣を敷いたが、鳥居外のは、気まぐれに山・・・<泉鏡花「茸の舞姫」青空文庫>
  6. ・・・ 貰いものの葉巻を吹かすより、霰弾で鳥をばらす方が、よっぽど贅沢じゃないか、と思ったけれど、何しろ、木胴鉄胴からくり胴鳴って通る飛団子、と一所に、隧道を幾つも抜けるんだからね。要するに仲蔵以前の定九郎だろう。 そこで、小鳥の回向料を・・・<泉鏡花「古狢」青空文庫>
  7. ・・・といった坂の曲り角の安汁粉屋の団子を藤村ぐらいに喰えるなぞといって、行くたんびに必ず団子を買って出した。 壱岐殿坂時代の緑雨には紳士風が全でなくなってスッカリ書生風となってしまった。竹馬の友の万年博士は一躍専門学務局長という勅任官に跳上・・・<内田魯庵「斎藤緑雨」青空文庫>
  8. ・・・それから七夕様がきますといつでも私のために七夕様に団子だの梨だの柿などを供えます。私はいつもそれを喜んで供えさせます。その女が書いてくれる手紙を私は実に多くの立派な学者先生の文学を『六合雑誌』などに拝見するよりも喜んで見まする。それが本当の・・・<内村鑑三「後世への最大遺物」青空文庫>
  9. ・・・お経が始まり、さらに式場が本堂前に移されて引導を渡され、焼香がすんですぐ裏の墓地まで、私の娘たちは造花など持たされて形ばかしの行列をつくり、そこの先祖の墓石の下に埋められた。お団子だとか大根の刻んだのだとかは妻が用意してきてあった。それから・・・<葛西善蔵「父の葬式」青空文庫>
  10. ・・・「あとはまたお節句に団子をこしらえてやるせに、それにつけて食うんじゃ。」 子供は、毎日、なにかをほしがった。なんにもないと、がっかりした顔つきをしたり、ぐず/\云ったりした。「さあ/\、えいもんやるぞ。」 ある時、与助は、懐中に・・・<黒島伝治「砂糖泥棒」青空文庫>
  11. ・・・少年は餌の土団子をこしらえてくれた。自分はそれを投げた。少年は自分の釣った魚の中からセイゴ二尾を取って、自分に対して言葉は少いが感謝の意は深く謝した。 二人とも土堤へ上った。少年は土堤を川上の方へ、自分は土堤の西の方へと下りる訳だ。別れ・・・<幸田露伴「蘆声」青空文庫>
  12. ・・・ と宗太が年長者らしく言ったので、直次の娘はおげんの枕もとに白いお団子だの水だのをあげて置いて、子供と一緒に終りの別れを告げて行った。 親戚の人達は飾り一つないような病院風の部屋に火鉢を囲んで、おげんの亡き骸の仮りに置いてある側で、・・・<島崎藤村「ある女の生涯」青空文庫>
  13. ・・・「女学校三年の娘がひとりいるんだ。団子みたいだ。なっちゃいない。」「ほのかな恋愛かね。」私は、いい加減な事ばかり言っていた。「ばか言っちゃいけない。」少年は、むきになった。「僕には、プライドがあるんだ。このごろ、だんだんそいつが・・・<太宰治「乞食学生」青空文庫>
  14. ・・・危機一髪、団子鼻に墮そうとするのを鼻のわきの深い皺がそれを助けた。まったくねえ。レニエはうまいことを言う。眉毛は太く短くまっ黒で、おどおどした両の小さい眼を被いかくすほどもじゃもじゃ繁茂していやがる。額はあくまでもせまく皺が横に二筋はっきり・・・<太宰治「ダス・ゲマイネ」青空文庫>
  15. ・・・婦人の容貌に就いて、かれこれ言うのは、よくない事だが、ごく大ざっぱな印象だけを言うならば、どうも甚だ言いにくいのだが、――お団子が、白い袋をかぶって出て来た形であった。色、赤黒く、ただまるまると太っている。これでは、とても画にはなるまい。・・・<太宰治「リイズ」青空文庫>
  16. ・・・若い妻と裏にあった茶の新芽を摘んで、急こしらえの火爐を拵えて、長火鉢で、終日かかって、団子の多い手製の新茶をつくって飲んだこともあった。田舎の茶畠に、笠を被った田舎娘の白い顔や雨に濡れた茶の芽を貫目にかけて筵にあける男の顔や、火爐に凭りかか・・・<田山花袋「新茶のかおり」青空文庫>
  17. ・・・つづけて五回音がして空中へ五つの煙の団塊が団子のように並ぶだけと云わばそれまでのものである。「音さえすりゃあ、いいんだね」「音さえすりゃあ、いいんだよ」、こんな事を云いながら、それでもやはり未練らしくいつまでも見物している職人の仲間もあ・・・<寺田寅彦「雑記(2[#「2」はローマ数字、1-13-22])」青空文庫>
  18. ・・・また、桃太郎が生まれなかったらそのかわりに栗から生まれた栗太郎が団子の代わりにあんパンかキャラメルを持って猫やカンガルーを連れてやはり鬼が島は征伐しないでおかないであろう。いくらそんな不都合なことはいけないと言っても、どうしてもだれか征伐に・・・<寺田寅彦「さるかに合戦と桃太郎」青空文庫>
  19. ・・・ すぐ向うの腰掛には会社員らしい中年の夫婦が十歳くらいの可愛い男の子を連れておおかた団子坂へでも行くのだろう。平一はこの会社員らしい男を何処かで見たように思ったがつい思い出せない、向うでも時々こちらの顔を見る。細君の方は子供の帽子を気に・・・<寺田寅彦「障子の落書」青空文庫>
  20. ・・・夏は納涼、秋は菊見遊山をかねる出養生、客あし繁き宿ながら、時しも十月中旬の事とて、団子坂の造菊も、まだ開園にはならざる程ゆゑ、この温泉も静にして浴場は例の如く込合へども皆湯銭並の客人のみ、座敷に通るは最稀なり。五六人の女婢手を束ねて、ぼんや・・・<永井荷風「上野」青空文庫>
  21. ・・・入谷の朝顔と団子坂の菊人形の衰微は硯友社文学とこれまたその運命を同じくしている。向島の百花園に紫や女郎花に交って西洋種の草花の植えられたのを、そのころに見て嘆く人のはなしを聞いたことがあった。 銀座通の繁華が京橋際から年と共に新橋辺に移・・・<永井荷風「葛飾土産」青空文庫>
  22. ・・・懸茶屋には絹被の芋慈姑の串団子を陳ね栄螺の壼焼などをも鬻ぐ。百眼売つけ髭売蝶売花簪売風船売などあるいは屋台を据ゑあるいは立ちながらに売る。花見の客の雑沓狼藉は筆にも記しがたし。明治三十三年四月十五日の日曜日に向嶋にて警察官の厄介となりし者酩・・・<永井荷風「向嶋」青空文庫>
  23. ・・・横になって煖まりながらいろいろ考えて居たが、この家の檐から庭の樹から一面に毬燈を釣って、その下へ団子屋や鮓屋や汁粉屋をこしらえて、そしてこの二、三間しかない狭い庭で園遊会を開いたら面白いだろうという事を考えついた。〔自筆稿『ホトトギス』・・・<正岡子規「熊手と提灯」青空文庫>
  24. ・・・祖母の云うのはみんな北海道開拓当時のことらしくて熊だのアイヌだの南瓜の飯や玉蜀黍の団子やいまとはよほどちがうだろうと思われた。今日学校へ行って武田先生へ行くと云って届けたら先生も大へんよろこんだ。もうあと二人足りないけれども定員を超えたこと・・・<宮沢賢治「或る農学生の日誌」青空文庫>
  25. ・・・去年の秋、僕が蕎麦団子を食べて、チブスになって、ひどいわずらいをしたときに、あれほど親身の介抱を受けながら、その恩を何でわすれてしまうもんかね。」「そうか。そんなら一つお前さん、ゴム靴を一足工夫して呉れないか。形はどうでもいいんだよ。僕・・・<宮沢賢治「蛙のゴム靴」青空文庫>
  26. ・・・ 表通りと云っても、家よりは空地の方が多く、団子坂を登り切って右に曲り暫く行くと忽ち須藤の邸の杉林が、こんもり茂って蒼々として居た。間に小さく故工学博士渡辺 渡邸を挾んで、田端に降る小路越しは、すぐ又松平誰かの何万坪かある廃園になって居・・・<宮本百合子「犬のはじまり」青空文庫>
  27. ・・・観潮楼から斜かいにその頃は至って狭く急であった団子坂をよこぎって杉林と交番のある通りへ入ったところから、私は毎朝、白山の方へ歩いて行ったのであった。 最近、本を読んで暮すしか仕方のない生活に置かれていた時、私は偶然「安井夫人」という鴎外・・・<宮本百合子「鴎外・漱石・藤村など」青空文庫>
  28. ・・・雛鶏と家鴨と羊肉の団子とを串した炙き串三本がしきりに返されていて、のどかに燃ゆる火鉢からは、炙り肉のうまそうな香り、攣れた褐色の皮の上にほとばしる肉汁の香りが室内に漂うて人々の口に水を涌かしている。 そこで百姓のぜいたくのありたけがシュ・・・<著:モーパッサン ギ・ド 訳:国木田独歩「糸くず」青空文庫>
  29. ・・・その屋号であった。その団子坂上の質商であったことは伝に云うが如くである。是阿弥の妻をぎんと云って、その子を佐平と云った。また佐平に息真太郎、女啓があった。然るに佐平もその子女も先ず死して、未亡人ぎんが残った。これが崖上の家の女主人であった。・・・<森鴎外「細木香以」青空文庫>
  30. ・・・汽車で上野に着いて、人力車を倩って団子坂へ帰る途中、東照宮の石壇の下から、薄暗い花園町に掛かる時、道端に筵を敷いて、球根からすぐに紫の花の咲いた草を列べて売っているのを見た。子供から半老人になるまでの間に、サフランに対する智識は余り進んでは・・・<森鴎外「サフラン」青空文庫>