だん‐じ【男児】例文一覧 22件

  1. ・・・日本もまた小児に教える歴史は、――あるいはまた小児と大差のない日本男児に教える歴史はこう云う伝説に充ち満ちている。たとえば日本の歴史教科書は一度もこう云う敗戦の記事を掲げたことはないではないか?「大唐の軍将、戦艦一百七十艘を率いて白村江・・・<芥川竜之介「金将軍」青空文庫>
  2. ・・・それでこそ日本男児じゃ。」 穂積中佐はもう一度、そっと将軍へ眼を注いだ。すると日に焼けた将軍の頬には、涙の痕が光っていた。「将軍は善人だ。」――中佐は軽い侮蔑の中に、明るい好意をも感じ出した。 その時幕は悠々と、盛んな喝采を浴びなが・・・<芥川竜之介「将軍」青空文庫>
  3. ・・・ ある日、彼は客のなきままに、自分で勝手なことを書いては消し、ワット、ステブンソン、などいう名を書いていると、八歳ばかりの男児を連れた衣装のよい婦人が前に立った。「ワット」と児供が読んで、「母上、ワットとは何のこと?」と聞いた。桂は顔を・・・<国木田独歩「非凡なる凡人」青空文庫>
  4. ・・・が、おれは男だ、おれは男だ、一婦人のために心を労していつまで泣こうかと思い返して、女々しい心を捨ててしきりに男児がって諦めてしまった。しかし歳が経っても月が経っても、どういうものか忘れられない。別れた頃の苦しさは次第次第に忘れたが、ゆかしさ・・・<幸田露伴「太郎坊」青空文庫>
  5. ・・・ねえが、それでも帰るに若干銭か握んで家へ入えるならまだしもというところを、銭に縁のあるものア欠片も持たず空腹アかかえて、オイ飯を食わしてくれろッてえんで帰っての今朝、自暴に一杯引掛けようと云やあ、大方男児は外へも出るに風帯が無くっちゃあと云・・・<幸田露伴「貧乏」青空文庫>
  6. ・・・けれども、まだまだ三田君を第一等の日本男児だとは思っていなかった。まもなく、函館から一通、お便りをいただいた。 太宰さん、御元気ですか。 私は元気です。 もっともっと、 頑張らなければなりません。 御身体、大切に、 ・・・<太宰治「散華」青空文庫>
  7. ・・・しかし、私も若干馬齢を加えるに及び、そのような風変りの位置が、一個の男児としてどのように不面目、破廉恥なものであるかに気づいていたたまらなくなりまして、「こぞの道徳いまいずこ」という題の、多少、分別顔の詩集を出版いたしましたところ、一ぺんで・・・<太宰治「男女同権」青空文庫>
  8.  東京の家は爆弾でこわされ、甲府市の妻の実家に移転したが、この家が、こんどは焼夷弾でまるやけになったので、私と妻と五歳の女児と二歳の男児と四人が、津軽の私の生れた家に行かざるを得なくなった。津軽の生家では父も母も既になくなり・・・<太宰治「庭」青空文庫>
  9. ・・・ 着物、ハダカヲ包メバ、ソレデイイ、柄モ、布地モ、色合イモ、ミンナ意味ナイ、二十五歳ノ男児、一夜、真紅ノ花模様、シカモチリメンノ袷着テ、スベテ着物ニカワリナシ、何ガオカシイ。 アワレ美事! ト屋根ヤブレルホドノ大喝采、ソレモ一瞬ノチ・・・<太宰治「走ラヌ名馬」青空文庫>
  10. ・・・ 出征する年少の友人の旗に、男児畢生危機一髪、と書いてやりました。 忙、閑、ともに間一髪。<太宰治「春」青空文庫>
  11. ・・・誠に天晴な大和男児の姿である。この美しい姿を眺めながら妙な夢のような事を考えてみるのであった。 誰かも云ったように、砂漠と苦海の外には何もない荒涼落莫たるユダヤの地から必然的に一神教が生れた。しかし山川の美に富む西欧諸国に入り込んだ基督・・・<寺田寅彦「札幌まで」青空文庫>
  12. ・・・今日の我らが人情の眼から見れば、松陰はもとより醇乎として醇なる志士の典型、井伊も幕末の重荷を背負って立った剛骨の好男児、朝に立ち野に分れて斬るの殺すのと騒いだ彼らも、五十年後の今日から歴史の背景に照らして見れば、畢竟今日の日本を造り出さんが・・・<徳冨蘆花「謀叛論(草稿)」青空文庫>
  13. ・・・あるいは他の不幸にして男児なき家あれば、養子の所望を待ちてその家を相続し、はじめて一家の主人たるべし。次三男出身の血路は、ただ養子の一方のみなれども、男児なき家の数は少なくして、次三男出生の数は多く、需要供給その平均を得ずして、つねに父兄の・・・<福沢諭吉「徳育如何」青空文庫>
  14. ・・・ 本編の趣旨は、初段の冒頭にもいえる如く、日本男児の品行を正し、その高きに過ぐる頭を取って押さえ、男女両性の地位に平均を得せしめんとするの目的を以て論緒を開き、人間道徳の根本は夫婦の間にあり、世間の道徳論者が自愛博愛などとてその得失を論・・・<福沢諭吉「日本男子論」青空文庫>
  15. ・・・この稚い働きての中で十一歳までのものでは、女の児が男児の倍の数を占め、十三歳までのものの中には女の子の方が十万人も多い割合であることも、私たちに沁々と現代の苦難少くない幼年時代を思いやらせずにいない。 六年制であってさえ、この実情であっ・・・<宮本百合子「国民学校への過程」青空文庫>
  16. ・・・今日の男児の教育の方向について云えるこのことは、女の児の場合には一層深刻な作用をもっていはしまいか。 キュリー夫人伝は日本でも昨今ベスト・セラーズの一つであった。大抵の若い人たちは、あの本を愛読して感動した。年をとった人々でも、やはり尊・・・<宮本百合子「市民の生活と科学」青空文庫>
  17. ・・・.5  6.8カザフスタン  25.8 13.1   2.3  1.7ウズベク    23.3  9.7   ―  ―            一年 二年 三年 四年       ┌男児  100 64.6 54.1 31・・・<宮本百合子「砂遊場からの同志」青空文庫>
  18. ・・・桜の大木が右手に植っていて、その枝の下に、男児の下駄箱、つまり出入口があった。小使室が続いていて、お弁当の時黒いはっぴを着た小使が両手に三つずつ銅のヤカンをもって来て、教壇の上に並べて置いた。そのお湯は、桜の樹の下の小使室の土間を入った右手・・・<宮本百合子「藤棚」青空文庫>
  19. ・・・日本の教育は男児と女児とを、小学校のころから区別している。女は家庭で良人の補佐ができればよいという明治時代の女子教育は進歩していないのだ。 資本主義の国として、しかもつよく封建性ののこっている日本文化は、支配者自身でさえ今では不便がるほ・・・<宮本百合子「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」青空文庫>
  20. ・・・凧をあげる男児もなし。日向の枯草堤に、着物だけ着換えた娘三四人詰らなさそうに、通る私達を見物して居た。消防詰所傍の広場で、数人の男児、自働車の古タイアを輪廻しのようにころがして来るのに遭う。太い、つるりと重いゴムの大輪を、一生懸命棒ちぎれで・・・<宮本百合子「湯ヶ島の数日」青空文庫>
  21. ・・・名として面白いし、いいのだけれど、その子の生れる田舎の習慣で、ある字は余りつかわないとか、そんなことまで条件に入って来て、男児安産の電報をもらって大いにあわてた。まだ、名の方が決定していなかったのである。 暢気なような責任の重いような気・・・<宮本百合子「若い母親」青空文庫>
  22.  五月は爽快な男児。ぴちぴち若い体じゅうの皮膚を裸で、旗のような髪の毛を風にふき靡かせつつ、緑の小枝を振り廻し駈けて行く五月。新鮮に充実して浄き官能の輝く五月。 近い五月は横丁の細道にもある。家の塀について右へ一つ、もう・・・<宮本百合子「わが五月」青空文庫>