たん‐しょ【短所】例文一覧 21件

  1. ・・・又見ずにはいられない場合もその短所を補うべき何か他の長所を探したであろう。何か他の長所と云えば、天下に我我の恋人位、無数の長所を具えた女性は一人もいないのに相違ない。アントニイもきっと我我同様、クレオパトラの眼とか唇とかに、あり余る償いを見・・・<芥川竜之介「侏儒の言葉」青空文庫>
  2. ・・・国民的の長所は爰であろうが短所も亦爰である。最っと油濃く執拗く腸の底までアルコールに爛らして腹の中から火が燃え立つまでになり得ない。モウパスサンは狂人になった。ニーチェも狂人になった。日本の文人は好い加減な処で忽ち人生の見巧者となり通人とな・・・<内田魯庵「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」青空文庫>
  3. ・・・ 学校に於ける画一教育の長所と短所は、すでに世論によって明にされたるが如く、彼等の、社会的という言葉の意味は、個性を没却し、特色を失うということであってはならない、全国一様の教科書は、単に学術的知識を教うるに役立つけれど、その知識が・・・<小川未明「新童話論」青空文庫>
  4. ・・・ しかし前の安全な方法にも短所はある。読んだ案内書や聞いた人の話が、いつまでも頭の中に巣をくっていて、それが自分の目を隠し耳をおおう。それがためにせっかくわざわざ出かけて来た自分自身は言わば行李の中にでも押しこめられたような形になり、結・・・<寺田寅彦「案内者」青空文庫>
  5. ・・・ 日本人、ことに知識階級の人々の中にはとかく同胞人の業績に対してその短所のみを郭大し外国人のものに対してはその長所のみを強調したがるような傾向をもつものがないとは言われない。そうしてかなりつまらない西洋の新しいものをひどく感嘆し崇拝して・・・<寺田寅彦「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  6. ・・・にはある第三者から見ると被審査者の方が審査員よりもずっと優れた頭脳の持主であって、そうして提出された論文が審査員諸氏の昔の学位論文よりもずっと立派だと思われる場合においてすらも、審査員諸氏がその論文の短所だけを強調して落第させようと思えば落・・・<寺田寅彦「学位について」青空文庫>
  7. ・・・それはとにかく、さし当たってそういう土民に鉄筋コンクリートの家を建ててやるわけにも行かないとすれば、なんとかして現在の土角造りの長所を保存して、その短所を補うようなしかも費用のあまりかからぬ簡便な建築法を研究してやるのが急務ではないかと思わ・・・<寺田寅彦「災難雑考」青空文庫>
  8. ・・・刷と高速度運搬の可能になった結果としてその日の昼ごろまでの出来事を夕刊に、夜中までの事件を朝刊にして万人の玄関に送り届けるということが可能になった、この事実から、いわゆるジャーナリズムのあらゆる長所と短所が出発するのであろう。 ジャーナ・・・<寺田寅彦「ジャーナリズム雑感」青空文庫>
  9. ・・・ この甲乙丙三種の定型はそれぞれに長所と短所をもっている。甲はうっかりにせ物に引っかかるような心配はほとんどない代わりに、どうかするとほんとうに価値のある新しいいいものを見のがす恐れがある。既知の真実を固守するにのみ忠実で未知の真実の可・・・<寺田寅彦「自由画稿」青空文庫>
  10. ・・・長所であり短所である。時々は世俗のいわゆる大作を見せてくださる事を切望する。 安井會太郎。 「桐の花咲くころ」はこれまでの風景に比べて黄赤色が減じて白と黒とに分化している事に気がつく。これは白日の感じを出しているものと思われる。果物やば・・・<寺田寅彦「昭和二年の二科会と美術院」青空文庫>
  11. ・・・ 思うに一般相対性原理の長所と同時にまたいくらかの短所があるとすれば、いちばん痛切にそれを感じているのはアインシュタイン自身ではあるまいか。おそらく聡明な彼の目には、なお飽き足らない点、補充を要する点がいくらもありはしないかという事は浅・・・<寺田寅彦「相対性原理側面観」青空文庫>
  12. ・・・余はその罪のない横顔をじっと見入って、亡妻のあらゆる短所と長所、どんぐりのすきな事も折り鶴のじょうずな事も、なんにも遺伝してさしつかえはないが、始めと終わりの悲惨であった母の運命だけは、この子に繰り返させたくないものだと、しみじみそう思った・・・<寺田寅彦「どんぐり」青空文庫>
  13. ・・・これが現代の科学的方法の長所であると同時に短所である。この両者は実は合して一つの有機体を構成しているのであって究極的には独立に切り離して考えることのできないものである。人類もあらゆる植物や動物と同様に長い長い歳月の間に自然のふところにはぐく・・・<寺田寅彦「日本人の自然観」青空文庫>
  14. ・・・名前はやはり新聞でもそれはさしつかえないが、ともかくも現在の日刊新聞の短所と悪弊をなるべく除去して、しかもここに仮定した必要の知識を必要な程度まで供給する刊行物である。 私はこの二三年ロンドンタイムスの週刊を取っている。これがロンドンで・・・<寺田寅彦「一つの思考実験」青空文庫>
  15. ・・・即ち自分というものを発揮してそれで短所欠点悉くあらわす事をなんとも思わない。そして無理の事がなくなる。昔は負惜みをしたものだ、残酷な事も忍んだものだ。今はそれが段々なくなって、自分の弱点をそれほど恐れずに世の中に出す事を何とも思わない。それ・・・<夏目漱石「教育と文芸」青空文庫>
  16. ・・・かかる立場から出来上った作物にはそれ相当の長所があると同時に短所もまた多く含まれている。作家は身辺の状況と天下の形勢に応じて時々その立場を変えねばならん。評家もまた眼界を広くして必要の場合には作物に対するごとにその見地を改めねば活きた批評は・・・<夏目漱石「写生文」青空文庫>
  17. ・・・だからいかな長所があっても、この長所を傷ける短所があって、この短所を忘れ得せしむるだけに長所が卓然としていない作物は、惜しいけれども文句がつきます。私はとくに惜しいけれどもと云いたい。惜しいと云うのは、すでに長所を認めた上の批評であり、かつ・・・<夏目漱石「文芸の哲学的基礎」青空文庫>
  18. ・・・而してその政権はもとより上士に帰することなれば、上士と下士と対するときは、藩法、常に上士に便にして下士に不便ならざるを得ずといえども、金穀会計のことに至ては上士の短所なるを以て、名は役頭または奉行などと称すれども、下役なる下士のために籠絡せ・・・<福沢諭吉「旧藩情」青空文庫>
  19. ・・・その時虚心平気に考えて見ると、始めて日本画の短所と西洋画の長所とを知る事が出来た。とうとう為山君や不折君に降参した。その後は西洋画を排斥する人に逢うと癇癪に障るので大に議論を始める。終には昔為山君から教えられた通り、日本画の横顔と西洋画の横・・・<正岡子規「画」青空文庫>
  20. ・・・   十、その長所と短所 今まで読んだところでは長所が沢山目に附いて、短所と云う程のものは目に附かない。<森鴎外「夏目漱石論」青空文庫>
  21. ・・・ 私が愛を感じている人の短所は、同情をもって見ることができる。時にはその短所のゆえに成長が早められているとさえも思う。しかし愛を感じない人の短所は、多くの場合致命的に見える。私はともすればそういう人の長所や苦しみや努力を見脱してしまう。・・・<和辻哲郎「転向」青空文庫>