ダンス【dance】例文一覧 30件

  1. ・・・しかもこの老教師は退屈まぎれに口笛を吹き吹き、一人ダンスを試みている。保吉はちょいと苦笑したまま、洗面台の前へ手を洗いに行った。その時ふと鏡を見ると、驚いたことにタウンゼンド氏はいつのまにか美少年に変り、保吉自身は腰の曲った白頭の老人に変っ・・・<芥川竜之介「保吉の手帳から」青空文庫>
  2.  亜米利加の排日案通過が反動団体のヤッキ運動となって、その傍杖が帝国ホテルのダンス場の剣舞隊闖入となった。ダンスに夢中になってる善男善女が刃引の鈍刀に脅かされて、ホテルのダンス場は一時暫らく閉鎖された。今では余熱が冷めてホテルのダンス場・・・<内田魯庵「四十年前」青空文庫>
  3. ・・・先生のところへいって、教わっているおもしろい唄をいい声でうたいながら、ダンスのまねをします。そこへ坊ちゃんが入ってくると、おっかけまわったりして、へやのうちを騒ぎます。しかし、じきに二人は、仲よくなって、暖炉の前に腰をかけて、チョコレートや・・・<小川未明「煙突と柳」青空文庫>
  4. ・・・社交ダンスよりも一石二鳥。初段、黒帯をしめ、もう殺される心配のない夜の道をガニ股で歩き、誰か手ごめにしてくれないかしら。スリルはあった。 ある夜、寂しい道。もしもし。男だ。一緒に歩きませんか。ええ。胸がドキドキした。立ち停る。男の手が肩・・・<織田作之助「好奇心」青空文庫>
  5. ・・・まア、一種のデカダンスですね。あんた達はとにかく思想に情熱を持っていたが、僕ら現在二十代のジェネレーションにはもう情熱がない。僕はほら地名や職業の名や数字を夥しく作品の中にばらまくでしょう。これはね、曖眛な思想や信ずるに足りない体系に代るも・・・<織田作之助「世相」青空文庫>
  6. ・・・速記者があっけに取られていると、二人は起ち上って、ダンスをはじめた。ダンスがすむと、また文学論に移ったということである。十日ほどして同じ雑誌でT・Mという福井に疎開している詩人をよんで、また座談会をした。T・Iが司会、酒……。やはりT・Mは・・・<織田作之助「中毒」青空文庫>
  7. ・・・欲しいと思ったものは誰が何と言おうと、手に入れなければ承知せず、五つの時近所の、お仙という娘に、茶ダンスの上の犬の置物を無心して断られると、ある日わざとお仙の留守中遊びに行って盗んで帰った。 早生れの安子は七つで小学校に入ったが、安子は・・・<織田作之助「妖婦」青空文庫>
  8. ・・・漆喰の土間の隅には古ぼけたビクターの蓄音器が据えてあって、磨り滅ったダンスレコードが暑苦しく鳴っていた。「元来僕はね、一度友達に図星を指されたことがあるんだが、放浪、家をなさないという質に生まれついているらしいんです。その友達というのは・・・<梶井基次郎「ある崖上の感情」青空文庫>
  9. ・・・、背広で行くダンス・ホール、ピクニック、――そうした場所で女友を拾い、女性の香気を僅かにすすって、深入りしようとも、結婚しようともせず、春の日を浮き浮きとスマートに過ごそうとするような青年学生、これは最もたのもしからぬ風景である。彼らが浮き・・・<倉田百三「学生と生活」青空文庫>
  10. ・・・「振い寄ると解釈すりゃ、ダンスでもする奴かな。」   七 少佐は、松木にとって、笑ってすませる競争者ではなかった。 二人が玄関から這入って行った、丁度その時、少佐は勝手口から出て来た。彼は不機嫌に怒って、ぷりぷりしていた・・・<黒島伝治「渦巻ける烏の群」青空文庫>
  11. ・・・ 肉色に透き通るような柔らかい絹の靴下やエナメルを塗った高い女の靴の踵は、ブルジョア時代の客間と、頽廃的なダンスと、寝醒めの悪い悪夢を呼び戻す。花から取った香水や、肌色のスメツ白粉や、小指のさきほどの大きさが六ルーブルに価する紅は、集団・・・<黒島伝治「国境」青空文庫>
  12. ・・・ まず、試みよ。ひょっとしたらどこかの人生の片すみに、そんなすごい美人がころがっているかも知れない。眼鏡の奥のかれの眼は、にわかにキョロキョロいやらしく動きはじめる。 ダンス・ホール。喫茶店。待合。いない、いない。醜くてすごいものば・・・<太宰治「グッド・バイ」青空文庫>
  13. ・・・タララ、タ、タタタ、廊下でタップ・ダンスの稽古をして、「返さない男じゃねえよ。我慢しろよ。ちょっとの間じゃねえか。」「きっとね?」「あさましい顔をするなよ。告げ口したら、ぶん殴る。」 悪びれた様子もなかった。節子は、兄を信じた。・・・<太宰治「花火」青空文庫>
  14. ・・・ピクニックよりもダンスよりも、婦人何々会で駆け回るよりもこのほうがはるかに身にしみてほんとうにおもしろいであろうということは、「物を作り出すことの喜び」を解する人には現代でもいくらか想像ができそうである。 ついでながら西洋の糸車は「飛び・・・<寺田寅彦「糸車」青空文庫>
  15. ・・・また同じ映画でダンス場における踊る主人公とこれをねらう悪漢との交互的律動的モンタージュもこれと全く同様である。これは二つの画面の接触作用によって観客の心に生ずる反応作用をその自然のリズムに従って誘導して行くのである。それでこのモンタージュの・・・<寺田寅彦「映画芸術」青空文庫>
  16. ・・・ 八十歳の老人でできるだけ長時間ダンスを続ける、という競技の優勝者ブーキンス君は六時間と十一分というレコードを取った。もっと若い仲間でのレコード七十九時間と三十分というのはウィーンのウィリー・ガガヴチューク君の手に帰した。三昼夜と七時間・・・<寺田寅彦「記録狂時代」青空文庫>
  17. ・・・するとこれらの侏儒のダンスはわれわれの目には実に目まぐるしいほどテンポが早くて、どんなステップを踏んでいるか判断ができないくらいであろう。しかしそれだけの速い運動を支配し調節するためにはそれ相当に速く働く神経をもっていなければならない。その・・・<寺田寅彦「空想日録」青空文庫>
  18. ・・・を宣言させ、そうして狂喜した被告が被告席から海老のようにはね出して、突然の法廷侵入者田代公吉と海老のようにダンスを踊らせさえすれば、それでこの「与太者ユーモレスク、四幕、十一景」の目的の全部が完全に遂げられる訳である。 とにかくなかなか・・・<寺田寅彦「初冬の日記から」青空文庫>
  19. ・・・この点スキーやダンスに似ている。そうしてだれでもある程度まではできるから楽しみになる。しかし連句は読んでおもしろくても作るのはなかなかたいへんである。この点映画と同じである。そうしてしかも現在の大衆にはわかりにくい象徴的な前衛映画である。・・・<寺田寅彦「俳諧瑣談」青空文庫>
  20. ・・・うなものになるという、そういう本質的内在的な理由もあったであろうが、また一方では、はじめはただ各個人の主観的詠嘆の表現であったものが、後に宮廷人らの社交の道具になり、感興や天分の有無に関せずだれも彼もダンスのステップを習うように歌をよむこと・・・<寺田寅彦「俳句の型式とその進化」青空文庫>
  21. ・・・これは人間の祖先の猿が手で樹枝からぶら下がる時にその足で樹幹を押えようとした習性の遺伝であろうと言った学者があるくらいであるから、猫の足踏みと文明人のダンスとの間の関係を考えてみるのも一つの空想としては許されるべきものであろう。・・・<寺田寅彦「備忘録」青空文庫>
  22. ・・・その時分にはダンスはまだ流行していなかったのだ。 麻布に廬を結び独り棲むようになってからの事である。深夜ふと眼をさますと、枕元の硝子窓に幽暗な光がさしているので、夜があけたのかと思って、よくよく見定めると、宵の中には寒月が照渡っていたの・・・<永井荷風「西瓜」青空文庫>
  23. ・・・ 女の裸体ダンスを見せる事について思出したことがあるから、ここに補って置く。それは大正十年頃、東京市中にダンス場ができ始めた頃である。新橋赤坂辺の茶屋の座敷で、レコードの伴奏で裸体ダンスを見せる女があった。一時評判になって前の日から口を・・・<永井荷風「裸体談義」青空文庫>
  24. ・・・ブルジョアが住んでいた時分はここでダンスでもやったのでしょう。今はレーニンの肖像が飾ってある。寄木の床です。「集会はいつもここでやるんです」 通りぬけた先が男の子たちの寝室です。こっちも仲々キチンと片づいています。が、面倒くさそうに・・・<宮本百合子「従妹への手紙」青空文庫>
  25. ・・・リス、楓、ぬれて横わるパン、インディアン ダンス○図書館 ○往来、 插話は此処へ入る。 ――○――○レークジョージ  ○メゾン ファシール、  ○チョプスイ。○アムステルダム  ○岩本さんのところ。○バン コートランド。・・・<宮本百合子「「黄銅時代」創作メモ」青空文庫>
  26. ・・・ この発言は、一九四七年の二・一ストとよばれている時期の前後に日本の勤労生活者の文化水準は半封建的でおくれているから、文学の創造をいうよりもダンスが直接にそれらの人々の文化欲求をみたすものであるという考えが一部におこった。この期間、実際・・・<宮本百合子「五〇年代の文学とそこにある問題」青空文庫>
  27. ・・・音楽にも軽音楽やダンス・ミュージック、みんなが口ずさむようないろいろな歌。舞踊でもこのごろはやっているスクウェアー・ダンスのようなものが娯楽のためのダンスであって、芸術としてのバレーとは自然ちがいます。映画や演劇は、芸術性と娯楽性のもっとも・・・<宮本百合子「質問へのお答え」青空文庫>
  28. ・・・美男の良人につかまって数番の初等トウダンスと両脚を床の上で一直線に展くことをおそわった時 ターニャ・イワノヴナは自分の姙娠したことを知った。踊りての良人は不機嫌に「僕あ赤坊なんぞいらないよ」と云った。ターニャ・イワノヴナは 人工流産・・・<宮本百合子「一九二九年一月――二月」青空文庫>
  29. ・・・という文化人のダンス・パーティーである流行作家の夫人に「さよならダンス」というのを教え、その夫人は、「男も女もお辞儀して――とても気持がいい。なんか貴族になった気持で――。」と語っているのは、ヨーロッパの十八世紀ごろの宮廷の模様が映画などを・・・<宮本百合子「戦争はわたしたちからすべてを奪う」青空文庫>
  30. ・・・ソヴェト同盟じゅうの労働者クラブが、演説、音楽、ダンス、芝居と、それぞれ趣向をこらして、記念の一晩を有益に愉快にすごす仕度をととのえているのである。 ニーナとナターシャとは、期待で眼を輝やかせながら、クラブの戸をあけて入って行った。今夜・・・<宮本百合子「ソヴェト同盟の三月八日」青空文庫>