たん・ずる【嘆ずる/×歎ずる】例文一覧 5件

  1. ・・・衣食の計に追われている窮民の苦痛に比べれば、六十何銭かを歎ずるのは勿論贅沢の沙汰であろう。けれども苦痛そのものは窮民も彼も同じことである。いや、むしろ窮民よりも鋭い神経を持っている彼は一層の苦痛をなめなければならぬ。窮民は、――必ずしも窮民・・・<芥川竜之介「十円札」青空文庫>
  2. ・・・ 椎の葉の椎の葉たるを歎ずるのは椎の葉の笥たるを主張するよりも確かに尊敬に価している。しかし椎の葉の椎の葉たるを一笑し去るよりも退屈であろう。少くとも生涯同一の歎を繰り返すことに倦まないのは滑稽であると共に不道徳である。実際又偉大なる厭・・・<芥川竜之介「侏儒の言葉」青空文庫>
  3. ・・・と自ら疑うように又自ら歎ずるように、木沢は室の一隅を睨んだ。 其後幾日も無くて、河内の平野の城へ突として夜打がかかった。城将桃井兵庫、客将一色何某は打って取られ、城は遊佐河内守等の拠るところとなった。其一党は日に勢を増して、・・・<幸田露伴「雪たたき」青空文庫>
  4. ・・・くたって、夫が死んだら、どうなるか、子供があったら、まあその子供の家にお世話になるという事になるんだろうが、これだって自分の家ではない、寓居だ、そのように三界に家なしと言われる程の女が、別にその孤独を嘆ずるわけでもなし、あくせくと針仕事やお・・・<太宰治「鉄面皮」青空文庫>
  5. ・・・実に国のために歎ずるに堪えずとて、福沢先生一篇の論文を立案し、中上川先生これを筆記し、「学問と政治と分離すべし」と題して、連日の『時事新報』社説に登録したるが、大いに学者ならびに政治家の注意を惹き来りて、目下正に世論実際の一問題となれり。よ・・・<福沢諭吉「学問の独立」青空文庫>