だん‐せい【男性】例文一覧 30件

  1. ・・・彼もあらゆる男性のように三重子に倦怠を感じ出したのであろうか? けれども捲怠を生ずるためには同一のものに面しなければならぬ。今日の三重子は幸か不幸か全然昨日の三重子ではない。昨日の三重子は、――山手線の電車の中に彼と目礼だけ交換した三重子は・・・<芥川竜之介「早春」青空文庫>
  2. ・・・ただK君と違うのは、――僕はいつも小説などを読むと、二人の男性を差別するために一人を肥った男にすれば、一人を瘠せた男にするのをちょっと滑稽に思っています。それからまた一人を豪放な男にすれば、一人を繊弱な男にするのにもやはり微笑まずにはいられ・・・<芥川竜之介「手紙」青空文庫>
  3. ・・・戦の街を幾度もくぐったらしい、日に焼けて男性的なオッタヴィアナの顔は、飽く事なき功名心と、強い意志と、生一本な気象とで、固い輪郭を描いていた。そしてその上を貴族的な誇りが包んでいた。今まで誰れの前にも弱味を見せなかったらしいその顔が、恨みを・・・<有島武郎「クララの出家」青空文庫>
  4. ・・・その容色がある男性的の感じを起すのである。あの鼠色の寐惚けたような目を見ては、今起きて出た、くちゃくちゃになった寝牀を想い浮べずにはいられない。あのジャケツの胸を見ては、あの下に乳房がどんな輪廓をしているということに思い及ばずにはいられない・・・<著:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ 訳:森鴎外「罪人」青空文庫>
  5. ・・・芸術の与うる感じは愉悦の感じでなければならぬ。男性的のものゝ中にも女性を帯びたものでなければならぬ。言を換えていえば芸術の姿其れ自身が本来女性的であると思う。 或る芸術品に対した時、其の作品から吾人は何等の優しみも、若やかな感じも与えら・・・<小川未明「若き姿の文芸」青空文庫>
  6. ・・・……やはり男性には解らない感じのものかもしれないな」と、自分は多少の憐憫を含めた気持で、彼女のそうした様子を眺めて、思ったりした。「蠢くもの」では、おせいは一度流産したことになっている。何カ月目だったか、とにかく彼女のいわゆるキューピー・・・<葛西善蔵「死児を産む」青空文庫>
  7. ・・・そしてこれを保証することは国家と男性との義務でなくてはならぬ。 最後にこの天理の自然、生命の法則という視点から、最初に立ちかえって、夫婦生活というものには無理が含まれていることも、英知をもって認めておかなくてはならぬ。この無理をどう扱う・・・<倉田百三「愛の問題(夫婦愛)」青空文庫>
  8. ・・・     五 相互選択と男性のイニシアチヴ 青年男女はその性の選択によって相互に刺激し合い、創造と淘汰との作用がおのずと行われる。青年や、娘の美の新しい型が生み出される。これは個人と個人との間だけでなく、ひとつのゼネレーショ・・・<倉田百三「学生と生活」青空文庫>
  9. ・・・ 何といっても男性は荒々しい。その天性は婦人に比べれば粗野だ。それは自然からそう造られているのである。それは戦ったり、創造したりする役目のためなのだ。しかしよくしたもので、男性は女性を圧迫するように見えても、だんだんと女性を尊敬するよう・・・<倉田百三「女性の諸問題」青空文庫>
  10. ・・・たいていの妻子ある男性との結合は女性にとって、それが素人の娘であるにせよ、あるいはいわゆる囲い者であるにせよ、早晩こうした別離の分岐点に立たねばならなくなるのが普通である。そこには相互の間に涙の感謝と思い出と弁解とがあるであろうが、しかもこ・・・<倉田百三「人生における離合について」青空文庫>
  11. ・・・これは結局は社会改革と男性の矜りある自覚とにまたなければならない問題である。母性愛と職業との矛盾は国家の保護政策を抜きにして解決の道はない。元来子孫の維持と優生という男女協同の任務の遂行が、女子に特別な負荷を要求する以上、男子が女子を保護し・・・<倉田百三「婦人と職業」青空文庫>
  12. ・・・駄目、駄目、もうすこし男性の心情が理解されそうなものだとか、もうすこし他の目に付かないような服装が出来そうなものだとか、もうすこしどうかいう毅然とした女に成れそうなものだとか、過る同棲の年月の間、一日として心に彼女を責めない日は無かった――・・・<島崎藤村「刺繍」青空文庫>
  13. ・・・ アグリパイナの男性侮辱は、きわめて自然に行われ、しかも、歴史的なる見事さにまで達した。時の唇薄き群臣どもは、この事実を以て、アグリパイナの類まれなる才女たる証左となし、いよいよ、やんやの喝采を惜しまなかった。 アグリパイナの不幸は・・・<太宰治「古典風」青空文庫>
  14. ・・・ これ、これが、私の最も関心を有し、かつ久しく待ち望んでいたところのものでございまして、もうこれからは私も誰はばかるところなく、男性の権利を女性に対して主張する事が出来るのかと思えば、まことに夜の明けたる如き心地が致しまして、おのずから微笑・・・<太宰治「男女同権」青空文庫>
  15. ・・・ その解明は出来ないけれども、しかし、アブラハムは、ひとりごを殺さんとし、宗吾郎は子わかれの場を演じ、私は意地になって地獄にはまり込まなければならぬ、その義とは、義とは、ああやりきれない男性の、哀しい弱点に似ている。・・・<太宰治「父」青空文庫>
  16. ・・・鋼鉄の感じである。男性的だ。ひょっとしたら、鉄面皮というのは、男の美徳なのかも知れない。とにかく、この文字には、いやらしい感じがない。この頑丈の鉄仮面をかぶり、ふくみ声で所謂創作の苦心談をはじめたならば、案外荘重な響きも出て来て、そんなに嘲・・・<太宰治「鉄面皮」青空文庫>
  17. ・・・それらの気質は、すべて、すこぶる男性的のもののように受取られているらしいけれども、それは、かえって女性の本質なのである。男は、女のように容易には怒らず、そうして優しいものである。頑固などというものは、無教養のおかみさんが、持っている頗る下等・・・<太宰治「如是我聞」青空文庫>
  18.      制服の処女 評判の映画「制服の処女」を一見した。最初に、どこかの柱廊前に並んだ、ものはなんだかわからないが、何かしら勇ましくたくましい男性的彫像などが現われ、それから男性的なラッパの音に導かれて兵隊の行列が・・・<寺田寅彦「映画雑感(2[#「2」はローマ数字、1-13-22])」青空文庫>
  19. ・・・この鵺だけが雌で、他の三匹はいずれも男性であった。 生長するにつれて四匹の個性の相違が目について来た。太郎はおっとりして愛嬌があって、それでやっぱり男らしかった。次郎もやはり坊ちゃんらしい点は太郎に似ていたが、なんとなく少し無骨で鈍なと・・・<寺田寅彦「子猫」青空文庫>
  20. ・・・富士が女性ならばこれは男性である。苦味もあれば渋味もある。誠に天晴な大和男児の姿である。この美しい姿を眺めながら妙な夢のような事を考えてみるのであった。 誰かも云ったように、砂漠と苦海の外には何もない荒涼落莫たるユダヤの地から必然的に一・・・<寺田寅彦「札幌まで」青空文庫>
  21. ・・・何を話しているかはわからなかったが、ただ一瞥でその時に感ぜられたことは、その日本の紳士たちのその西洋人に対する態度には、あたかも昔の家来が主人に対するごとき、またある職業の女性が男性に対するごとき、何かしらそういったような、あるものがあるよ・・・<寺田寅彦「試験管」青空文庫>
  22. ・・・上のほうのは言わば乾性、あるいは男性的の痛さで少し肩に力を入れて力んでいればなんでもないが腰のほうへ下がって行くと痛さが湿性あるいは女性的になって、かゆいようなくすぐったいような泣きたいような痛さになる。動かすまいと思っても腰をひねらないで・・・<寺田寅彦「自由画稿」青空文庫>
  23. ・・・鷺娘がむやみに踊ったり、それから吉原仲の町へ男性、中性、女性の三性が出て来て各々特色を発揮する運動をやったりするのはいいですね。運動術としては男性が一番旨いんだそうですが、私はあの女性が好きだ、好い恰好をしているじゃありませんか。それに色彩・・・<夏目漱石「虚子君へ」青空文庫>
  24. ・・・左れば広き世の中には随分悪婦人も少なからず、其挙動を見聞して厭う可き者あれども、男性女性相互に比較したらんには、人非人は必ず男子の方に多数なる可し。此辺より見れば我輩は女大学よりも寧ろ男大学の必要を感ずる者なり。 婦人に七去と言う離縁の・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
  25. ・・・れを人の大倫と称し、社会百福の基、また百不幸の源たるの理由は、前に陳べたる所を以て既に明白なりとして、さて古今世界の実際において、両性のいずれかこの関係を等閑にして大倫を破るもの多きやと尋ぬれば、常に男性にありと答えざるを得ず。西洋文明の諸・・・<福沢諭吉「日本男子論」青空文庫>
  26. ・・・ 自然は、人間の恋愛を唯だ男性と女性との+《プラス》だけでは終らせず、精神に於て、男をA、女をBとすれば A+A×B:B+B×Aという風な関係にすると思われます。そして、数学と全然違うところは、これらの関係がまるで逆になって、+《プ・・・<宮本百合子「愛は神秘な修道場」青空文庫>
  27. ・・・ここでは服従すべきものとして人民全体が扱われていたから、昔から男性に服従すべきものとして考えられていた婦人の社会的地位の改善などということはまったく眼の中に入れられていなかった。今度改正された憲法は、その中に、すべての人民は法律の前に平等で・・・<宮本百合子「明日をつくる力」青空文庫>
  28. ・・・云々と一方的にだけいっていて、そのような婦人が存在する社会の他の現実関係として、当時の男性が婦人に対して持っていた習俗なり態度なりについては、男自身のこととしてまるで省察の内にとりあげていないのは興味があるところではなかろうか。婦人の知って・・・<宮本百合子「異性の間の友情」青空文庫>
  29. ・・・ もし日本の習俗の中で男性というものが女性にとって、良人候補者、あるいは良人という狭い選択圏の中でばかりいきさつをもって来るものでなかったら、異性の間の友情について常に何かロマンティックな色どりを求めるいくらか病的な感傷性も、きっとずい・・・<宮本百合子「異性の友情」青空文庫>
  30. ・・・女性と男性との差は、斯う云う心持に於ても何か異っては居ないだろうか。 ○彼等の運命の裡に於て、長与氏は、性慾を極端にまで厭うべき文字で呼んで居る。「結婚した許りの夜と同じく獣の真似をして居た。」或は「獣的遊戯」と呼ん・・・<宮本百合子「黄銅時代の為」青空文庫>