たん‐ぜん【端然】例文一覧 5件

  1. ・・・ ただ二人、閨の上に相対し、新婦は屹と身体を固めて、端然として坐したるまま、まおもてに良人の面を瞻りて、打解けたる状毫もなく、はた恥らえる風情も無かりき。 尉官は腕を拱きて、こもまた和ぎたる体あらず、ほとんど五分時ばかりの間、互に眼・・・<泉鏡花「琵琶伝」青空文庫>
  2. ・・・そうして客は端然として竿先を見ているのです。船頭は客よりも後ろの次の間にいまして、丁度お供のような形に、先ずは少し右舷によって扣えております。日がさす、雨がふる、いずれにも無論のこと苫というものを葺きます。それはおもての舟梁とその次の舟梁と・・・<幸田露伴「幻談」青空文庫>
  3. ・・・ 先生はいつも黒い羽織を着て端然として正座していたように思う。結婚してまもなかった若い奥さんは黒ちりめんの紋付きを着て玄関に出て来られたこともあった。田舎者の自分の目には先生の家庭がずいぶん端正で典雅なもののように思われた。いつでも上等・・・<寺田寅彦「夏目漱石先生の追憶」青空文庫>
  4. ・・・曲の最後に打ち止めの主和弦が端然として響く前にあらかじめ不協和な一団の音群があって、それから最後の和弦への推移がいわゆる「解決」によってきわめて自然に行なわれて、たとえば肩の凝りがすうととけるように感じる、そうしてそれによって終局安堵の感じ・・・<寺田寅彦「連句雑俎」青空文庫>
  5. ・・・ 米内首相の答弁ぶりは、一つも気の利いたところのないものであるが、答弁の精神的態度とでもいうべきものは、正面に自分の体の幅全体を向けて端然としているこのひとの体の構えと全く一致していて興味ふかい。壮重な声が一見、余りあたり前の、努力いた・・・<宮本百合子「待呆け議会風景」青空文庫>