ダンテ【Dante Alighieri】例文一覧 25件

  1. ・・・ 我ら会員は相次いでナポレオン、孔子、ドストエフスキイ、ダアウィン、クレオパトラ、釈迦、デモステネス、ダンテ、千の利休等の心霊の消息を質問したり。しかれどもトック君は不幸にも詳細に答うることをなさず、かえってトック君自身に関する種々のゴ・・・<芥川竜之介「河童」青空文庫>
  2. ・・・僕はダンテの地獄の中にある、樹木になった魂を思い出し、ビルディングばかり並んでいる電車線路の向うを歩くことにした。しかしそこも一町とは無事に歩くことは出来なかった。「ちょっと通りがかりに失礼ですが、……」 それは金鈕の制服を着た二十・・・<芥川竜之介「歯車」青空文庫>
  3. ・・・古来幾多のすぐれたる賢者たちがその青春において、そうした見方をしたであろうか。ダンテも、ゲーテも、ミケランジェロも、トルストイもそうであった。ストリンドベルヒのような女性嫌悪を装った人にもなおつつみ切れぬものは、女性へのこの種の徳の要請であ・・・<倉田百三「学生と生活」青空文庫>
  4. ・・・プラトンとダンテとを読むと読まないとではその人の理念の世界の登攀の標高がきっと非常に相違するであろう。 高さと美とは一目見たことが致命的である。より高く、美しいものの一触はそれより低く一通りのものでは満足せしめなくなるものである。それ故・・・<倉田百三「学生と読書」青空文庫>
  5. ・・・ 燃えるような恋をして、洗われる芋のように苦労して、しかも笛と琴とのように調和して、そしてしまいには、松に風の沿うように静かになる。それが恋愛の理想である。 ダンテを徳に導いた淑女ベアトリーチェ。ファウスト第二部の天上のグレーチヘン・・・<倉田百三「女性の諸問題」青空文庫>
  6. ・・・梅川忠兵衛がもし心中しなかったら、世間の人情はさらに傷つくかもしれないだろう。ダンテは神曲においてポーロとフランチェスカとの不義の愛着を寛大に取り扱った。しかしながら現代の男女としてはかような情緒にほだされていわゆる濡れ場めいた感情過多の陥・・・<倉田百三「人生における離合について」青空文庫>
  7. ・・・に筆を染めた。ダンテは九歳にして「新生」の腹案を得たのである。彼もまた。小学校のときからその文章をうたわれ、いまは智識ある異国人にさえ若干の頭脳を認められている彼もまた。家の前庭のおおきい栗の木のしたにテエブルと椅子を持ちだし、こつこつと長・・・<太宰治「猿面冠者」青空文庫>
  8. ・・・ いま、ふと、ダンデスムという言葉を思い出し、そうしてこの言葉の語根は、ダンテというのではなかろうか、と多少のときめきを以て、机上の辞書を調べたが、私の貧しい英和中辞典は、なんにも教えて呉れなかった。ああ、ダンテのつよさを持ちたいものだ・・・<太宰治「思案の敗北」青空文庫>
  9. ・・・ それでは、私は今月は何を言うべきであろうか。ダンテの地獄篇の初めに出てくるあのエルギリウスとか何とかいう老詩人の如く、余りに久しくもの言わざりしにより声しわがれ、急に、諸君の眠りを覚ます程の水際立った響きのことは書けないかも知れないが・・・<太宰治「如是我聞」青空文庫>
  10. ・・・「これは小さい声でいうことだが、僕は、ミケランジェロと老ダンテを思うと、からだがふるえる。それから、ニイチェ。」「僕は、ドストエフスキイの、白痴を読んだ。これこそ、野蛮人の作品というものだ。僕も書く。」かれは、ビュビュ・ド・モンパルナスを書・・・<太宰治「碧眼托鉢」青空文庫>
  11. ・・・「ダンテ、――ボオドレエル、――私。その線がふとい鋼鉄の直線のように思われた。その他は誰もない。」「死して、なおすすむ。」「長生をするために生きて居る。」「蹉跌の美。」「Fact だけを言う。私が夜に戸外を歩きまわると、からだにわるいの・・・<太宰治「めくら草紙」青空文庫>
  12. ・・・かつて祝福されたる人。ダンテの地獄篇を経て、天国篇まで味わうことのできた人。また、ファウストのメフィストだけを気取り、グレエトヘンの存在をさえ忘れている復讐の作家もある。私には、どちらとも審判できないのであるが、これだけは、いい得る。窓ひら・・・<太宰治「もの思う葦」青空文庫>
  13. ・・・そうして地獄を見物に行って来たダンテのように、今見て来た変わった世界の幻像をいつまでもいつまでも心の中で繰り返し蒸し返すように余儀なくされるのである。あるいはまた艶歌師アルベールが結婚の準備にと買って来た女のスリッパーを取り出す場面と切り換・・・<寺田寅彦「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  14. ・・・ホーマーやダンテの多弁では到底描くことのできない真実を、つば元まできり込んで、西瓜を切るごとく、大木を倒すごとき意気込みをもって摘出し描写するのである。 この幻術の秘訣はどこにあるかと言えば、それは象徴の暗示によって読者の連想の活動を刺・・・<寺田寅彦「俳諧の本質的概論」青空文庫>
  15. ・・・食卓でちょっと持出されたダンテ魔術団の話と、友人と合奏のときに出たフォイヤーマンのセロ演奏会の噂とでこの夢の西洋人が説明される。魔術が曲馬に変形してそれが猛獣を呼出したと思われる。それからやはり前夜の食卓で何かのついでから、ずっと前に動物園・・・<寺田寅彦「夢判断」青空文庫>
  16. ・・・D・H・ローレンスは、いつもたった一人の、風の変った、宙ぶらりんな反抗者であるしかなかった。ダンテが巧みにいっている、地獄の中でも辛い地獄は、宙ぶらりんという地獄、と。―― 彼の作品のあるものには、現代社会の機構や社会の生産にたずさわる・・・<宮本百合子「傷だらけの足」青空文庫>
  17. ・・・あの変り者のカーライルでも沙翁の家へ行ったときは自分の名など書く気になったのであろうかと面白い。ダンテの名もあるとハガキに父は書いているが、神曲の作者は沙翁がエリザベス女皇の劇場で活躍するより数世紀以前に白骨となっている。どこの、どの、神曲・・・<宮本百合子「中條精一郎の「家信抄」まえがきおよび註」青空文庫>
  18. ・・・ 明治学院の学生時分から、藤村はダンテの詩集などを愛誦する一方で芭蕉の芸術に傾倒していた。二十三歳頃吉野の方へ放浪した時も、藤村はこの経験によって一層芭蕉を理解することが出来るようになったと語っている。芭蕉の芸術はその文学的教養の面から・・・<宮本百合子「藤村の文学にうつる自然」青空文庫>
  19. ・・・カルメンの物語でばかりスペインを知っている人々にとって、またダンテとベアトリチェの物語だけでイタリヤの心を知ったと思う人は、これらの国々で不幸な愛人たちが自分たちの幸福への願望と共に流した血潮の多量なことに心から驚かずにいられないだろう。こ・・・<宮本百合子「人間の結婚」青空文庫>
  20. ・・・イタリーをムッソリーニのファシズムの政権が支配してから、私ども日本へもレオナルド・ダ・ヴィンチ、ダンテなどをイタリー文化の華としてたくさんの金をかけ、大規模な展覧会まで組織して紹介されました。ファシズムのイタリーが、どうしてレオナルド・ダ・・・・<宮本百合子「婦人の創造力」青空文庫>
  21. ・・・は、作者としてはダンテの神曲、地獄篇をひそかに脳裡に浮べて書かれたのかもしれないが、そこに地獄をも見据えて描き得る人間精神の踏んまえ、批判はなくて、作者そのものが、一箇の幽鬼であることを告白している。しかもそれは紙ばりの思想的凧に縛りつけら・・・<宮本百合子「文芸時評」青空文庫>
  22. ・・・     第三日 ダンテの像に黄色いきれで頬かぶりをさせたのと、百姓おやじに同じことをしたのと同じ位似合うのには一寸びっくりした。 可愛がらなければならないはずのものが可愛くなくって、可愛がらなくってもいいものが可愛・・・<宮本百合子「芽生」青空文庫>
  23. ・・・ 然し、自分の手で開いて見た扉の一重彼方は、私にとって、偉いダンテさえ当惑したような、紛糾の森林でした。 様々に描き、予想し、もう自己の内部を絶頂まで披瀝して当ったのですから、彼方此方で意外な齟齬に出会っても、自己を回収することすら容易・・・<宮本百合子「われを省みる」青空文庫>
  24. ・・・文学でも『イリアス』が戦争の詩である事は言うまでもなく、ダンテの『神曲』は十字軍から百年戦争までの間の暗い時代にダンテ自身の戦争経験をも含めて造られ、ゲエテの『ファウスト』は仏国大革命の時代をその製作期として持っている。これらは戦争の刺激に・・・<和辻哲郎「世界の変革と芸術」青空文庫>
  25. ・・・吾人が真正の社会主義の理想に歩を進め、ダンテの楽園に到達すべき出発点である。世人がすべてこれに傾向する時 To thee be all man Hero の境地はますます明らかになるであろう。ソシアリティの本義も恐らくはここである。深山に俗・・・<和辻哲郎「霊的本能主義」青空文庫>