だん‐ぱん【談判】例文一覧 23件

  1. ・・・始めから先方に腹を立てさすつもりで談判をするなどというのは、馬鹿馬鹿しいくらい私にはいやな気持ちです」 彼は思い切ってここまで突っ込んだ。「お前はいやな気持ちか」「いやな気持ちです」「俺しはいい気持ちだ」 父は見下だすよ・・・<有島武郎「親子」青空文庫>
  2. ・・・冷汗を流して、談判の結果が三分、科学的に数理で顕せば、七十と五銭ですよ。 お雪さんの身になったらどうでしょう。じか肌と、自殺を質に入れたんですから。自殺を質に入れたのでは、死ぬよりもつらいでしょう。―― ――当時、そういった様子でし・・・<泉鏡花「木の子説法」青空文庫>
  3. ・・・ 僕が出発した翌日の晩、青木が井筒屋の二階へあがって、吉弥に、過日与えた小判の取り返し談判をした。「男が一旦やろうと言ったもんだ!」「わけなくやったのではない!」「さんざん人をおもちゃにしゃアがって――貰った物ア返しゃアしな・・・<岩野泡鳴「耽溺」青空文庫>
  4. ・・・言うだけやったら、なんぼ言うたかてあんたは飲みなはれんさかい、こら是が非でも膝詰談判で飲まさな仕様ない思て、買うて来ましてん。さあ、一息にぱっと飲みなはれ」 と、言いながら、懐ろから盃をとりだした。「この寸口に一杯だけでよろしいねん・・・<織田作之助「秋深き」青空文庫>
  5. ・・・妹が聟養子をとるとあれば、こちらは廃嫡と相場は決っているが、それで泣寝入りしろとは余りの仕打やと、梅田の家へ駆け込むなり、毎日膝詰の談判をやったところ、一向に効目がない。妻を捨て、子も捨てて好きな女と一緒に暮している身に勝目はないが、廃嫡は・・・<織田作之助「夫婦善哉」青空文庫>
  6. ・・・「そんじゃ、こっちも、みんなで、ほかの重役のとこへ膝詰談判に行こうじゃないか。伊三郎が、そんなことをしくさるんなら、こっちだって、黙って引っこんでは居れんぞ。」「うむ、そうだ、そうだ。黙って泣寝入りは出来やせん!」 K市へ出かけ・・・<黒島伝治「浮動する地価」青空文庫>
  7. ・・・故郷の兄は私のだらし無さに呆れて、時々送金を停止しかけるのであるが、その度毎に北さんは中へはいって、もう一年、送金をたのみます、と兄へ談判してくれるのであった。一緒にいた女の人と、私は別れる事になったのであるが、その時にも実に北さんにお手数・・・<太宰治「帰去来」青空文庫>
  8. ・・・飼い主に談判するなど、その友人の弱気をもってしては、とてもできぬことである。じっと堪えて、おのれの不運に溜息ついているだけなのである。しかも、注射代などけっして安いものではなく、そのような余分の貯えは失礼ながら友人にあるはずもなく、いずれは・・・<太宰治「畜犬談」青空文庫>
  9. ・・・一人は車掌に談判する。今二人は運転手に談判する。車の屋根に乗っている連中は、蝙蝠傘や帽やハンケチを振っておれを呼ぶ。反対の方角から来た電車も留まって、その中でも大騒ぎが始まる。ひどく肥満した土地の先生らしいのが、逆上して真赤になって、おれに・・・<著:ディモフオシップ 訳:森鴎外「襟」青空文庫>
  10. ・・・そのかけにも老主人が勝ってそうしてすまして相手の銭をさらって、さて悠々と強敵と手詰めの談判に出かけるところにはちょっとした「俳諧」があるように思われた。 最後に、勲功によって授爵される場面で、尊貴の膝下にひざまずいて引き下がって来てから・・・<寺田寅彦「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」青空文庫>
  11. ・・・ホテルのポルチエーが自分を小蔭へ引っぱって行って何かしら談判を始める。晩に面白いタランテラの踊りへ案内するから十時に玄関まで出て来いというらしかった。借りた室の寝台にはこの真冬に白い紗の蚊帳がかかっていた。日本やドイツの誰彼に年賀の絵端書を・・・<寺田寅彦「二つの正月」青空文庫>
  12. ・・・先生は最初感情の動くがままに小説を書いて出版するや否や、忽ち内務省からは風俗壊乱、発売禁止、本屋からは損害賠償の手詰の談判、さて文壇からは引続き歓楽に哀傷に、放蕩に追憶と、身に引受けた看板の瑕に等しき悪名が、今はもっけの幸に、高等遊民不良少・・・<永井荷風「妾宅」青空文庫>
  13. ・・・僕が書肆博文館から版権侵害の談判を受けて青くなっている最中、ふらりと僕の家にたずねて来て難題を提出したのはこのお民である。 お民が始て僕等の行馴れたカッフェーに給仕女の目見得に来たのは、去年の秋もまだ残暑のすっかりとは去りやらぬ頃であっ・・・<永井荷風「申訳」青空文庫>
  14. ・・・すると女の方では大変怒ってとうとう男の所在を捜し当てて怒鳴り込みましたので男は手切金を出して手を切る談判を始めると、女はその金を床の上に叩きつけて、こんなものが欲しいので来たのではない、もし本当にあなたが私を捨てる気ならば私は死んでしまう、・・・<夏目漱石「現代日本の開化」青空文庫>
  15. ・・・実はそんな細かなことまで先方の意見を確かめたうえで、談判に来たわけではなかったのだからである。けれども行きがかり上やむをえないので、「そう話したら、承知するだろうじゃないか」と勢いよく言ってのけた。 すると、重吉は問題の方向を変えて・・・<夏目漱石「手紙」青空文庫>
  16. ・・・「まあいいよ。談判はあとにして、ここに宿の人が待ってるから……」「そうか」「おい、君」「ええ」「君じゃない。君さ、おい宿の先生」「ねえ」「君は御者かい」「いいえ」「じゃ御亭主かい」「いいえ」「じゃ・・・<夏目漱石「二百十日」青空文庫>
  17. ・・・昨日差配人が談判に来た。内の女連はバツが悪いから留守を使って追い返した。この玄関払の使命を完うしたのがペンである。自分は嘘をつくのは嫌だ。神さまにすまない。しかし主命もだしがたしでやむをえず嘘をついた。まずたいていここら当りだろうと遠くの火・・・<夏目漱石「倫敦消息」青空文庫>
  18. ・・・私は直接談判はしませんでしたけれども、その話を間接に聞いた時、変な心持がしました。というのは、私の方は個人主義でやっているのに反して、向うは党派主義で活動しているらしく思われたからです。当時私は私の作物をわるく評したものさえ、自分の担任して・・・<夏目漱石「私の個人主義」青空文庫>
  19. ・・・その馬士というのはまだ十三、四の子供であったが、余はこれと談判して鳥井峠頂上までの駄賃を十銭と極めた。この登路の難儀を十銭で免れたかと思うと、余は嬉しくって堪まらなかった。しかしそこらにいた男どもがその若い馬士をからかう所を聞くと、お前は十・・・<正岡子規「くだもの」青空文庫>
  20. ・・・        * さてルラ蛙の方でも、いろいろ仕度をしたりカン蛙と談判をしたり、だんだん事がまとまりました。いよいよあさってが結婚式という日の明方、カン蛙は夢の中で、「今日は僕はどうしてもみんなの所を歩いて明後日の式に・・・<宮沢賢治「蛙のゴム靴」青空文庫>
  21. ・・・さあ、しっかり談判しなくちゃいけないと考えて耕一はどきっとしました。又三郎はたしかに二人の居たのも知っていたようでしたが、わざといかにも考え込んでいるという風で二人の前を知らないふりして通って行こうとしました。「又三郎、うわぁい。」耕一・・・<宮沢賢治「風野又三郎」青空文庫>
  22. ・・・そこが区民としては虫が好かない点だったろう。虫のすかないのは同感だが、虫がすかないからと云って私たちは、素朴な、口実を与える方法で自分たちの大局的自主性を失おうとは思うまい。そこが談判のしどころであろう。その場の必要な行政的権限を確保しつつ・・・<宮本百合子「人民戦線への一歩」青空文庫>
  23. ・・・その前、ゴーリキイはこの労働者に対する射撃を防ごうとして他の同志とともにウイッテと会い、熱心に談判したがきき入れられなかった。ツァーの砲火の下に罪なく無智な労働者、女、子供の血が雪を染める間、ゴーリキイは大衆に混ってこの歴史的殺戮の証人とな・・・<宮本百合子「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」青空文庫>