ち‐かく【地殻】例文一覧 18件

  1. ・・・大垣米原間の鉄道線路は、この顕著な「地殻の割れ目」を縫うて敷かれてある。 山の南側は、太古の大地変の痕跡を示して、山骨を露出し、急峻な姿をしているのであるが、大垣から見れば、それほど突兀たる姿をしていないだろうという事は、たとえば陸地測・・・<寺田寅彦「伊吹山の句について」青空文庫>
  2. ・・・そのほんとうの原因的機巧はまだよくわからないが、要するに物理的には全くただ小規模の地震であって、それが小局部にかつ多くは地殻表層に近く起こるというに過ぎないであろうと判断される。 もし「孕のジャン」として知られた記録どおりの現象が、実際・・・<寺田寅彦「怪異考」青空文庫>
  3. ・・・例えば火山の噴火を示すのでも本当に子供だましの模型や如何わしい地殻断面図の行列であって、一つも現象の科学的な要点に触れていなかった。また例えば子供の誤って呑込んだおはじきが消化器系を通過する径路を示すのを見たが、これなどでも消化器というもの・・・<寺田寅彦「教育映画について」青空文庫>
  4. ・・・ほど明確な単独性をもった個体と考えてよいか悪いかさえも疑いがある、のみならず、たとえいわゆる震源が四元幾何学的の一点に存在するものと仮定しても、また現在の地震計がどれほど完全であると仮定しても、複雑な地殻を通過して来る地震波の経路を判定すべ・・・<寺田寅彦「地震雑感」青空文庫>
  5. ・・・ 実験室における割れ目の問題が地殻に適用されるとなると、そこには地質学や地震学の方面に多大な応用範囲が見いだされる。これに関してはかえって地質学者の多くが懐疑的であるように見えるが、物理学者の目から見れば、この適用は、もし適当な注意のも・・・<寺田寅彦「自然界の縞模様」青空文庫>
  6. ・・・ 地震が如何にして起るやは今もなお一つの疑問なれども、ともかくも地殻内部における弾性的平衡が破るる時に起る現象なるがごとし。これが起ると否とを定むべき条件につきては吾人いまだ多くを知らず。すなわち天気の場合における気象要素のごときものが・・・<寺田寅彦「自然現象の予報」青空文庫>
  7. ・・・それは地震の波が地殻を伝播する時に、陸地を通る時と海底を通る時とでその速度に少しの相違がある、そういう事実を説明すべき一つの理論の糸口のようなものであった。 とにかく一生懸命で絵を描いている途中でどうしてこんな考えが浮き上がって来たもの・・・<寺田寅彦「断片(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  8. ・・・それは同一地域の三角測量や精密水準測量を数年を隔てて繰り返し、その前後の結果を比較することによってわれらの生命を託する地殻の変動を詳しく探究することである。近着のアメリカ地理学会の雑誌の評論欄にわが国の地球物理学者の仕事を紹介してあるその冒・・・<寺田寅彦「地図をながめて」青空文庫>
  9. ・・・そうしてその増加率は年とともに増すとすれば遠からず地殻は書物の荷重に堪えかねて破壊し、大地震を起こして復讐を企てるかもしれない。そういう際にはセリュローズばかりでできた書籍は哀れな末路を遂げて、かえって石に刻した楔形文字が生き残るかもしれな・・・<寺田寅彦「読書の今昔」青空文庫>
  10. ・・・このような地質的多様性はそれを生じた地殻運動のためにも、また地質の相違による二次的原因からも、きわめて複雑な地形の分布、水陸の交錯を生み出した、その上にこうした土地に固有な火山現象の頻出がさらにいっそうその変化に特有な異彩を添えたようである・・・<寺田寅彦「日本人の自然観」青空文庫>
  11. ・・・ 次に地震の問題に移って、地殻内部構造に論及するのは今も同じである。ただ彼は地下に空洞の存在を仮定し、その空洞を満たすに「風」をもってしたのは困るようであるが、この「風」を熔岩と翻訳すれば現在の考えに近くなる。彼はまた地下に「川」や「水・・・<寺田寅彦「ルクレチウスと科学」青空文庫>
  12. ・・・ロプ・ノールの転位でも事によると地殻傾動が原因の一部となっているかもしれないと思われる。 同じ雑誌にエリク・ノーリンがタリム盆地の第四紀における気候変化を調べた論文がある。これによると、最後の氷河期の氷河が崑崙の北麓に押し出して来て今の・・・<寺田寅彦「ロプ・ノールその他」青空文庫>
  13. ・・・「諸君、手っ取り早く云うならば、岩頸というのは、地殻から一寸頸を出した太い岩石の棒である。その頸がすなわち一つの山である。ええ。一つの山である。ふん。どうしてそんな変なものができたというなら、そいつは蓋し簡単だ。ええ、ここに一つの火山が・・・<宮沢賢治「楢ノ木大学士の野宿」青空文庫>
  14. ・・・今や地殻までが裁判長の神聖な裁断に服するのだ。」 二番目の判事が云いました。「実にペンネンネンネンネン・ネネム裁判長は超怪である。私はニイチャの哲学が恐らくは裁判長から暗示を受けているものであることを主張する。」 みんなが一度に・・・<宮沢賢治「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」青空文庫>
  15. ・・・山、氷河、および地殻の歴史を語られるにつれて、私たちの心によみがえるのはチンダルの「アルプスの旅より」「アルプスの氷河」などである。どちらも岩波文庫に訳されているのは知られるとおりである。アイルランド生れの物理学者であったジョン・チンダルは・・・<宮本百合子「科学の常識のため」青空文庫>
  16. ・・・ 暖く晴れわたった空を画して、くっきりと見える長い校舎の屋根、その上に懸ってまどろんでいるような雲の、柔かい煙りのような輪郭。 地殻から立ちのぼるあらゆる騒音や楽音、芳香と穢臭とは、皆その雲と空との間にほんのりと立ちこめて、コロコロ・・・<宮本百合子「地は饒なり」青空文庫>
  17. ・・・此の地殻の上に何処からか生れ出たものは、その出生の地を、彼等の魂のどん底から剥ぎ取る事は出来ないのである。 静かな夜の中に坐して、記憶の裡に蘇返る「祖国」に、慄えるような愛着と、叫び度くなる程の嫌厭と恐怖とを感じる時、私は此の感動が、果・・・<宮本百合子「無題」青空文庫>
  18. ・・・しかしそれは彼の根が一つの地殻に突き当たってそれを突破する努力に悩んでいるからである。やがてその突破が実現せられた時に、どのような飛躍が彼の上に起こるか。――私は彼の前途を信じている。根の確かな人から貧弱な果実が生まれるはずはない。・・・<和辻哲郎「樹の根」青空文庫>