ちか‐どう〔‐ダウ〕【地下道】例文一覧 6件

  1. ・・・駅の近所でブラブラして時間をつぶし、やっと夜になると駅の地下道の隅へ雑巾のように転ったが、寒い。地下道にある阪神マーケットの飾窓のなかで飾人形のように眠っている男は温かそうだと、ふと見れば、飾窓が一つ空いている。ありがたいと起きて行き、はい・・・<織田作之助「世相」青空文庫>
  2. ・・・葉の繁るころ、この路はうすぐらく、地下道のようである。いまは一枚の葉もない。並木路のつきるところ、正面に赤い化粧煉瓦の大建築物。これは講堂である。われはこの内部を入学式のとき、ただいちど見た。寺院の如き印象を受けた。いまわれは、この講堂の塔・・・<太宰治「逆行」青空文庫>
  3. ・・・いながら言って、記者たちは、もうそろそろ太宰も酔って来た、この勢いの消えないうちに、浮浪者と対面させなければならぬと、いわばチャンスを逃さず、私を自動車に乗せ、上野駅に連れて行き、浮浪者の巣と言われる地下道へ導くのでした。 けれども、記・・・<太宰治「美男子と煙草」青空文庫>
  4. ・・・もしも丸の内の他の建物もだんだんに地底の第三紀層の堅固な基礎の上に樹立される日が来れば、自然に建物と建物の各層相互の交通のために地下道路が縦横に貫通するようになるかもしれない。そうなれば丸の内の地図はもはや一枚では足りなくなって地下各層の交・・・<寺田寅彦「地図をながめて」青空文庫>
  5. ・・・ある暖かい日曜に自分もとうとう京成電車上野駅地下道の入口を潜った。おなじみの西郷銅像と彰義隊の碑も現に自分の頭の上何十尺の土層の頂上にあると思うと妙な気がする。 市中の地下鉄と違って線路が無暗に彎曲しているようである。この「上野の山の腹・・・<寺田寅彦「猫の穴掘り」青空文庫>
  6. ・・・ やがて一時半となり、今にも、と待つが、二時になっても目の下の議席は空っぽのままである。地下道を入ったときから一列におかれて傍目もふらず席まで運ばれて来たような傍聴人席にも、どこやら、だれたざわめきが漲って来た。しきりに手洗いに立つひと・・・<宮本百合子「待呆け議会風景」青空文庫>